Steam公式の携帯型ゲーミングPC「Steam Deck OLED」は従来モデルのSteam Deck LCDと形状や処理チップのスペックはそのままに、「有機ELディスプレイを採用」「40g以上の軽量化」「リフレッシュレートが90Hzに向上」といった変化が加わっています。そんなSteam Deck OLEDのサンプルが編集部に届いたので、有機ELディスプレイを採用したことによりゲームプレイ体験の変化やバッテリー性能などを確かめてみました。

Steam Deck OLED登場

https://www.steamdeck.com/ja/oled

Steam Deck OLEDはSteam Deck LCDとほぼ同一の外観を継承をしつつ、液晶ディスプレイではなく有機ELディスプレイを搭載したり、ボタンの配色が変化したりと細かなアップデートが施されています。Steam Deck OLEDとSteam Deck LCDの外観の違いは、以下の記事で詳しくまとめています。今回は、Steam Deck OLEDで実際にゲームをプレイした際のゲームプレイ体験についてまとめてみました。

有機ELディスプレイを搭載して40gの軽量化も果たした携帯型ゲーミングPC「Steam Deck OLED」外観レビュー、液晶ディスプレイ版Steam Deckとの比較もあり - GIGAZINE



・目次

◆1:検証環境はこんな感じ

◆2:リフレッシュレートをチェック

◆3:有機ELディスプレイのメリットをチェック

◆4:ゲームプレイ時の発熱チェック

◆5:バッテリー持続時間をチェック

◆1:検証環境はこんな感じ

今回の検証のゲームプレイ部分は、すべて「Apex Legends」をデフォルト設定で動作させています。デフォルト設定の内容は以下の通り。



設定画面の続きが以下。



◆2:リフレッシュレートをチェック

Steam Deck OLEDには、ゲームプレイ中に画面上にGPU使用率やCPU利用率などの情報を表示できる「パフォーマンスオーバーレイ」という機能が存在します。この機能を用いてApex Legendsをプレイ中のリフレッシュレートやフレームレートをチェックしてみました。



オーバーレイ部分に近づくとこんな感じ。ディスプレイのリフレッシュレートは90Hzで、フレームレートは85fps〜90fpsの間を推移していました。プレイ中には特にブラックアウトやプチフリーズは発生せず、スムーズにプレイできました。



◆3:有機ELディスプレイのメリットをチェック

有機ELディスプレイの最大の特徴は「バックライトがないため黒い部分を真っ黒に描画でき、白と黒のコントラストが明確になる」という点です。写真では分かりにくいですが、以下のような暗いシーンでもオブジェクトの位置をハッキリ見分けることができました。



また、Steam Deck OLEDとSteam Deck LCDはディスプレイの表面処理が異なり、照明の映り込み方に違いがあります。照明の映り込み方を比較するために、以下のように照明スタンドを配置し、カメラの露出設定を同一にして両モデルのディスプレイを撮影してみました。



まず、Steam Deck LCDの映り込みはこんな感じ。照明の光がギラギラ反射し、ディスプレイがかなり見にくくなっています。



一方で、Steam Deck OLEDでは光が全体に分散するような反射の仕方でした。反射を抑える性能はそこまで高くないようです。



有機ELディスプレイのデメリットとして「同じ画面を長時間出力し続けると、焼き付きが発生する」という問題が存在し、有機ELディスプレイの種類によっては数時間で焼き付きが発生することもあります。Steam Deck OLEDの焼き付き耐性を確認するべく、画面の自動消灯を無効化した状態で同じ画面を長時間表示させてみました。



今回は、以下の画面を約17時間表示させました。



約17時間後に別の画面に切り替えてディスプレイをチェックしてみたところ、特に焼き付きは確認できませんでした。Steam Deck OLEDの有機ELディスプレイは少なくとも数十時間くらいの連続点灯なら問題なく使えるようです。



Steam Deck OLED(上)とSteam Deck LCD(下)で同じ画面を表示させた様子が以下。ディスプレイは大きさはSteam Deck OLEDが7.4インチで、Steam Deck LCDは7インチです。画面消灯時の黒いディスプレイエリアの大きさは同じですが、画面を表示するとSteam Deck OLEDの方が黒い枠が細く、表示領域が大きいことが分かります。また、画面の最大輝度はSteam Deck OLEDがSDR表示で600ニト、HDR表示で1000ニトで、Steam Deck LCDは最大400ニトなのですが、SDR表示の場合は肉眼ではあまり違いが分かりませんでした。



照度計で明るさを測定してみると、Steam Deck OLED(左)の方が明るい数値がでました。肉眼ではあまり分からないものの、Steam Deck OLEDの方が輝度が高いようです。



◆4:ゲームプレイ時の発熱チェック

GIGAZINE公式DiscordサーバーでSteam Deck OLEDに関する質問を募集したところ、「どれくらい発熱するのか知りたい」というコメントが寄せられたので、発熱状況をチェックしてみました。

まず、電源に接続した状態でApex Legendsを15分間プレイしてみた結果、GPU温度が74度、CPU温度が69度にまで上昇しました。



赤外線サーモグラフィーで温度を測定してみると、正面はディスプレイの中央部分が39.5度になっていました。



背面は天面の排気孔に近い部分が40.9度にまで上昇。



天面の排気孔は53.8度でした。



続いて、電源アダプターを取り外してバッテリー駆動状態でApex Legendsを15分間プレイしたところ、GPU温度は74度、CPU温度は69度になりました。



ディスプレイの中央は37.3度。



背面の上部は40.5度。



天面の排気孔は54.4度でした。



◆5:バッテリー持続時間をチェック

Steam Deck OLEDのバッテリー持続時間を検証するべく、Apex Legendsの射撃訓練場で約1時間動き回ってみました。検証開始時のバッテリー残量は96%で、推定駆動可能時間は1時間59分でした。



約1時間後のバッテリー残量は50%で、推定駆動可能時間は1時間7分。Steam Deck OLEDでは、Apex Legendsなら約2時間はプレイできそうです。



なお、Steam Deck OLEDは正規代理店のKOMODOで購入可能。価格は内蔵ストレージ512GBモデルが税込8万4800円、内蔵ストレージ1TBモデルが税込9万9800円です。

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