作家の司馬中原さん

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(台北中央社)怪談の語り部として知られる作家の司馬中原(本名・呉延玫)さんが4日、死去した。90歳だった。訃報を受け、史哲(してつ)文化部長(文化相)は同日、文化部(文化省)の報道資料を通じて深い哀悼と敬意を表した。

1933年、南京生まれ。49年に中華民国国軍と共に台湾に移り住んだ。15歳で軍に入り、自力で執筆を学んだ。軍在籍中に作家活動を開始し、「軍中作家」の代表的人物の一人とされる。抗日戦争や国共内戦を題材とした作品の他、自身が見聞きした地域の伝説を伝える作品を数多く残した。代表作には「郷野伝奇」シリーズや「狂風沙」「春遅」などがある。また、怪談を紹介するラジオ番組やテレビ番組の司会も務め、幅広い世代の人々に親しまれた。

遺族によれば、司馬さんは数日前に転倒して入院。当初は大腿骨にひびが入った以外に体の異常はなかったものの、後に各臓器に相次いで問題が生じたという。

(王宝児、黄麗芸/編集:名切千絵)