暗号資産はもうかる?

写真拡大

メルカリの子会社が、メルカリアプリ内で暗号資産(仮想通貨)のひとつ「ビットコイン」の売買ができるサービスを2023年3月から始めるなど、暗号資産をめぐる動きが活発化している。

そんななか、モバイル専門の市場調査を行うMMD研究所(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2023年12月25日に発表した「2023年仮想通貨(暗号資産)に関する調査」で、約1割の人が暗号資産サービスを利用していることがわかった。

20代〜30代の男性では、5人に1人が利用しているという。暗号資産はこれからますます広がるのだろうか。調査担当者に聞いた。

「ポイント購入派」と「投資派」の二極化

MMD研究所の調査(2023年11月24日〜11月29日)は、20歳〜69歳の男女3万人が対象。さらに、その中から「楽天ウォレット」「bitFlyer」「Coincheck」「GMOコイン」「メルカリのビットコイン取引サービス」「DMM Bitcoin」「SBI VC トレード」「ビットバンク」の利用者計1600人を選び、詳しく聞いた。

まず、3万人に暗号資産サービスの利用経験があるかを聞くと、「利用したことがある」と回答したのは10.8%となった。 これを性別年代別にみると、「利用したことがある」と回答したのは男性20代(21.4%)が最も高く、次いで男性30代(20.6%)、男性40代(16.5%)、女性20代(11.8%)となった【図表1】。

利用したことのある暗号資産サービスを聞くと(複数回答可)、「楽天ウォレット」(27.5%)が最も多く、次いで「bitFlyer」(23.1%)、「Coincheck」(19.8%)が上位に並んだ【図表2】。

しかし、最近の傾向を調べるために、今年(2023年)に利用開始したと回答した1728人を対象に、そのサービスを聞くと(複数回答可)、「メルカリのビットコイン取引サービス」(24.7%)と「楽天ウォレット」(24.2%)がダントツのツートップとなった【図表3】。

ところで、暗号資産を始めたきっかけは何なのだろうか。8つのサービスの利用者1600人に上位3つの理由を聞いた結果が【図表4】だ。

これを見ると、「楽天ウォレット」と「メルカリのビットコイン取引サービス」の1位は「ポイントで購入できた」こと。「bitFlyer」「Coincheck」「GMOコイン」「SBI VC トレード」「ビットバンク」は「投資に興味があった」ことが1位。そして、「DMM Bitcoin」は「広告を見て興味をもった」ことが1位だった。

「ポイント購入派」と「投資目的派」に、ほぼ二分されたかたちだ。

新NISA開始で、投資へのハードルが低くなった

J‐CASTニュースBiz編集部は、MMD研究所の調査担当者に話を聞いた。

――2022年4月にもMMD研究所で、暗号資産の調査をしていますが、その時の保有経験は9.1%、今回の利用経験は10.8%で、約2ポイント増えています。日本でも暗号資産が拡大しているということでしょうか。

調査担当者 2022年の調査と聴取形式が異なるため、単純に比較はできないのですが、2024年からの新NISAの始まりなどもあり、ユーザー側の投資への興味が高まっています。

事業者側としても金融市場のうち投資分野に注力している現状があります。メルカリのビットコイン取引サービスなど新しいサービスがどんどん出てきている領域のため、今後も拡大の余地があると思います。

――2022年の調査では、利用したことがある暗号資産は「bitFlyer」と「CoinCheck」がツートップでしたが、今回は、今年から利用開始したサービスに限れば、「メルカリのビットコイン利用サービス」と「楽天ウォレット」がダントツのツートップになっています。この2つの暗号資産が利用歴の短い人に人気の秘密、魅力はどこにあるのでしょうか。

また、これほど順位が変わったのは、この1年間で、日本の暗号資産業界に何が起こったからでしょうか。

調査担当者 「メルカリのビットコイン取引サービス」に関しては今年3月に始まった新しいサービスですが、メルカリの売上金を利用してビットコインを購入できるので、初心者にとって暗号資産への入り口になっていると考えられます。

「楽天ウォレット」は普段ポイント経済圏を意識して生活している人にとって、関連サービスとして始めやすいということが考えられます。利用経験に関しては大きく順位が変わっているわけではありませんが、新しいサービスの登場で今後のシェアに影響が出る可能性はあると思います。

――暗号資産を始めたきっかけとして、「メルカリのビットコイン利用サービス」と「楽天ウォレット」はポイント購入できる点が1位にあがっています。一方、「bitFlyer」や「CoinCheck」は「投資に興味があった」が1位です。ということは、暗号資産の世界では、ポイント購入派と投資派の二極化が進んでいるということでしょうか。

調査担当者 現状、ポイントで購入できる機能のあるサービスが限られているため一概には言えませんが、新しく暗号資産を始める人にとっては、まずは試しにポイントで購入することができるというのは魅力的です。

ポイントで始めてから勉強をして本格的に投資をやってみるという方もいると思うので、初心者にとって利用開始のきっかけになりやすいと思います。

安心・安全な利用には勉強が必要

――2022年の調査では、暗号資産のメリット、デメリットとして、「少額で投資できる」「変動が激しくリスクがある」がそれぞれトップにきています。今回はメリット、デメリット調査をしていませんが、特にデメリットについてはどう考えていますか。

調査担当者 投資や暗号資産と聞くと、やはりまだリスクがあり気軽に始められないというイメージがあると思います。そうした不安を払拭する機能として、少額投資や先ほどのポイント購入などがあると思います。

私自身利用経験はなく、友人でも利用している話を聞いたことはないのですが、今回の調査を踏まえて、普段利用しているサービスの関連サービスであったり、ポイントで購入できたりと、投資初心者へのハードルは下がってきている印象です。

また、新NISAの開始などで投資に対するイメージも今後大きく変わってくると思いますので、まだやったことがない人向けに、デメリットを上手く解消したサービスが増えてくるといいなと思っています。

ただ、暗号資産に関しては金融庁からも「トラブルの注意喚起」がされているので、すぐに始められるとはいっても、安心・安全に利用するためにはチャートの見方など、ある程度の勉強が必要になってきますから、暗号資産自体の理解度を向上させる必要があると感じております。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)