荻野 永策 / 株式会社ALUHA

写真拡大

本記事は弊社WEBサイト「BtoBマーケティングの課題とは?よく発生する6つの社内障壁と突破のヒント」の記事を要約した内容となっています。

BtoBマーケティングのよくある6つの社内障壁

BtoBマーケティングの6つの推進課題・障壁とは、下記のような障壁だ。御社でも下記のような障壁が発生していないだろうか?このコラムでは各障壁の概要と、突破するためのヒントをご紹介する。

成果が先か業務が先か(やる前から効果・成果を問われる)マーケティングに対する理解不足、リテラシー不足言葉の一人歩きによる認識齟齬の発生BtoBマーケター不足(ひとりぼっちマーケター)、扱う商材も多いとさらに大変マーケティングコンテンツ作成が進まない他部門連携がスムーズでない、場合によっては部門間対立も

(1)成果が先か業務が先か(やる前から効果・成果を問われる)

1つ目の障壁は、まさに鶏と卵問題のような障壁である。新しいことに対する投資に懐疑的である場合や、過去にうまくいった経験がないといった場合は、この障壁が発生する。実際に、弊社のお客様からも下記のようなご相談をいただいている。

社内にWebによる集客の重要性を訴えるも、1年で売り上げという形での貢献が見えないだろうと、会社としてリソースの投入を拒絶されてしまう状態にあります。新規でマーケティング部を設立する際の立ち上げ時に何をすべきか?DXが得意でなく、投資に懐疑的な会社風土に対して、またマーケティングを任された本人もDXの活用方法がわからない中で中期としてどのように成果を上げながらマーケティング部を確立していけばいいのか?

この障壁を突破するには、「成功事例を作りながら徐々にマーケティングを推進する」といったやり方がベストだ。最初の成功事例作りが「キモ」になるため、スモールスタートで始められる成功事例作りのマーケティングプロセスを具体化し、まずはそこから始めていくといった工夫が重要である。

最初の成功事例作りとして、おすすめしたいのは、休眠リードや休眠顧客からの案件掘り起こしだ。休眠リードや休眠顧客は営業部門や事業部門も「放置」している可能性があり、そこから案件や商談のきっかけを創出することができれば、1つの成果として社内に訴求できる。ターゲットの連絡先も判明しているためアプローチもしやすく、すぐに施策展開できる。

ホワイトペーパーなどを設計・製作し、それを起点に案件や商談を創出してみるとよいだろう。

(2)マーケティングに対する理解不足、リテラシー不足

2つ目の障壁は、理解とリテラシー不足だ。BtoBマーケティングやデジタル活用、マーケティングDXに対して、推進するかどうかを判断する責任者が正確に状況を把握していないのである。その結果、マーケティング推進に懐疑的・保守的になり、話が進まなくなる。実際に、弊社のお客様からも下記のようなご相談をいただいている。

DXの意識改革、コスト削減・新しいサービス・顧客体験・マーケティング施策と課題が山積み。 社内の決定権側(社長・役員)に理解が無く、時代に対応できていない。

この障壁を突破するには、1つ目の障壁でもご紹介した「成功事例を作りながら徐々にマーケティングを推進する」が効果的だ。成功事例を創出できれば、マーケティングに対する興味・関心が深まる可能性があるためだ。

さらに、自社の競合分析をするのも良い突破口になる可能性がある。自社の競合がどのくらいマーケティングに力を入れているのか、デジタル活用をどのくらい推進しているのかなどを分析しまとめるのである。特にデジタル活用においては、WEBサイトなどを確認すれば、「新規リード獲得にWEBを使っているか?」「リード育成にメルマガを使っているか?」などは調査できるため分析しやすい。競合の状況を伝えることで、客観的な説得材料となり、そこが突破口になる可能性がある。

(3)言葉の一人歩きによる認識齟齬の発生

3つ目の障壁は、言葉の一人歩きだ。障壁1、2をクリアできても、「BtoBマーケティング」「DX」「デジタルマーケティング」「営業DX」などの言葉が社内で一人歩きすることがある。実際に弊社のお客様からも下記のようなご相談をいただいている。

たとえば「デジタルマーケティング」という言葉だけが一人歩きして、実際に営業部門が言っているデジタルマーケティングの内容が「メルマガを出すこと、ウェビナーを開催すること」といったピンポイントの施策のことだけを指していることがあり、実際にユーザーデータをどう抽出して蓄積するかとか、分析の手法をどうするかといった視点は抜け落ちてたりするケースがありました。

こういった事態になると、関係者間で認識齟齬が発生し、認識調整に時間を取られることになる。関わる人数が多くなればなるほど、認識齟齬は深刻化し、マーケティング推進の障壁となる。

こういった事態を防ぐには、マーケティング部門にて、言葉を定義し事前に関係部門に、社内向けサイトなどで周知しておく必要がある。その上で、打ち合わせのたびに言葉の定義を確認し合うということも必要になるだろう。

さらに、こういった事態を最小化するために、弊社では、BtoBマーケティングフレームワークを構築するのも効果的だと考えている。例えば、弊社であれば、BtoBマーケティング戦略フレームワーク「UFiC」と「MaRPIC」というフレームワークを構築し、実際のBtoBマーケティングコンサルティングの現場で活用している。フレームワークがあると、言葉が定義されて共通用語化していくため、非常に進めやすくなる。

(4)BtoBマーケター不足(ひとりぼっちマーケター)、扱う商材も多いとさらに大変

4つ目の障壁は「ひとりぼっちマーケター」だ。実際に下記のようなご相談をいただいている。

昨年webサイトをリニューアルした事もあり、問い合わせ数が数倍になっています。しかしながら、ニッチな領域だからこそ潜在的な顧客がまだまだ眠っていると確信してます。そこで、更なるweb強化を図りたいと思ってはいるのですが、基本的に私一人で制作・解析・分析・対策を行っている手前、いいアイデアや次のステップに踏み込めないのが現状です。

自社製品や事業数が多いとさらに業務負荷は増大し、なかなか推進できないといった事態に陥る。

解消する方法は、人を増やすこと以外にも、BtoBマーケティング戦略のKPIを絞り込みし、やるべき施策を最小化することが重要だ。KGIを達成するためのやるべき施策を最小化できれば、業務量を少なくすることができるため、人数が少なくてもより多くの業務をこなせるようになる。

人を増やすことは、なかなか難しいケースも多いため、業務量の削減に取り組むのが良いと弊社では考えている。

(5)マーケティングコンテンツ作成が進まない

BtoBマーケティングでは、マーケティングコンテンツ(WEBやメール、動画など)の作成が必要になる。しかし、このコンテンツ作りが課題になるケースが非常に多い。実際に、弊社のお客様からも下記のようなご相談をいただいている。

社内のコンテンツ作成を依頼しても協力してくれない・後回しにされる。コンテンツ更新の重要性を社内浸透できない。

この他にも「作成したコンテンツが自社目線でただの商品紹介になっている」「技術用語、専門用語だらけでリードに伝えにくい」など、コンテンツの内容に問題があるケースも多い。

これを解消するには、コンテンツ作成者との信頼関係を作ることが重要だ。そのためには、「どんなコンテンツを作るべきかのコンテンツ設計書」と「そのコンテンツである理由(エビデンス)」を準備しておく必要がある。そうしなければ、顧客目線のコンテンツではなく、コンテンツ作成の担当者が作りたいコンテンツを作ってしまうことになるだろう。

その上で、コンテンツ制作をした結果、ここのKPIがこれだけ改善したとコンテンツ作成者にフィードバックすることが重要だ。成果を示すことで、マーケティングへの貢献が可視化されるため、コンテンツ作成者のモチベーション維持に役立つ可能性がある。

(6)他部門連携がスムーズでない、場合によっては部門間対立も

BtoBマーケティングは営業部門やインサイドセールス、技術部門などと連携してマーケティング業務を推進する。しかし、部門間連携がうまくいかず、場合によっては対立することもある。実際に、弊社では、下記のようなご相談をいただいている。

これまで対面形式の営業に拘っていた営業員など事業担当者の意識を変えるための方法を知りたい。社内協力体制がなく、個人商店化している。 なおかつ、顧客第一より自分都合なため、失注が増えている。 新しいことをしようとしない。フィールドセールスとインサイドセールスのコンフリクト解決が課題。フィールドセールスは、自分の顧客に触れられてほしくない傾向があり、インサイドセールスが架電可能な対象が狭まってしまう。フィールドセールスも自分の全ての顧客に、コンタクトできるわけではないはずだが、心情的に他人に触られたくない様子。

解決策の1つの方法としては、「営業担当者(もしくは管理者)にマーケティング思考を、マーケティング担当者(もしくは管理者)にセールス思考を習得させる」があるだろう。こうすれば、それぞれがそれぞれの視点を持つことができ、対立解消と連携強化につながる可能性がある。

やり方としては、それぞれの部門の業務を経験するというのが理想論だ。人事に関わる問題になるが、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの3つを体験することができれば、対立の解消につながる可能性はあるだろう。

まとめ

以上、BtoBマーケティングのよくある6つの社内障壁についてご紹介した。ご紹介した内容以外にも、各社それぞれ障壁はあるだろう。こういった障壁の存在を認識し、早めに対処策を考えておくことで、早い段階から手が打てるようになる。

ご紹介した内容をヒントに、御社内で一度検討いただけたら幸いだ。