「肥満」を解消にはどれ? サプリの効果が感じられない人必見、指導歴26年の医師が教える「サプリのホント」
美容や健康意識の高まりから、サプリメントへの関心が高まっています。種類も豊富で、情報が乱立していることも多く、結局どんなものを摂ったらいいのかわらかない人も多いのでは。稲毛病院の医師・佐藤務先生に、今だから知っておいてほしいサプリメントの基礎について聞きました。
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■サプリを摂る前に知っておいてほしい「代謝」
すでにサプリメントを摂っている人の中には、なかなか効果を実感できないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。1997年にビタミン外来を新設し、26年にわたり、臨床の現場でサプリメントの摂り方を指導してき佐藤先生は「サプリの摂り方の前に理解してほしい“代謝”の話があります」と話します。
健康的に活動するためには、「新陳代謝」と「エネルギー代謝」の2種類が最低限必要。
「このいずれかが停滞したり、うまくいかなくなれば、身体の不調や疾病に徐々に侵されていく可能性があります。そして両代謝がうまくいくサポートをしてくれるのが、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素になります」(佐藤務先生/以下同)
代謝の流れとして、新陳代謝ができてからエネルギー代謝が促進されます。佐藤先生によると「新陳代謝を促進してから、エネルギー代謝を改善する流れを意識する事が大切」と言います。
「代謝をよくしようと、新陳代謝を無視して、いきなりエネルギー代謝系のウォーキングをする方もいますが、これは間違いです」
■基本のサプリメントとそのメリットを解説
「新陳代謝」と「エネルギー代謝」には、カロリーに見合った量のビタミン等が不可欠。それが不足すると代謝が停滞し、代謝しきれなかったカロリーは脂肪として蓄積され、生活習慣病の温床となります。
「代謝を促進するためには、不足しているビタミン等を補う必要があります。現代食から、代謝に必要な量のビタミンを摂取しようとすると、その分カロリーも増えるため、カロリーなくビタミン等を温存した逆加工食品=サプリメントが有効な手段になってきます」
ビタミン、ミネラルは両代謝の要。ここに不足があると、新陳代謝もエネルギー代謝も制限され停滞し、不調の原因に。基本は、『マルチビタミン』と『マルチミネラル』で、全体の摂取量を底上げをして、さらに、意外に不足している『タンパク質(プロテイン)』を強化しましょう。
「基本の栄養素が不足していると両代謝の流れは正常には行われないので、ベースサプリメントとして、ビタミン、ミネラル、プロテインの3種を摂ることから始めましょう」
〇マルチビタミン
【特徴】複数のビタミンを一度に摂ることが出来るサプリメント。ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、パンテトン酸、葉酸、ビオチン、C、E、D、Kの13種類すべて入っているものが理想。少なくともビオチンとビタミンKを除く11種類が入っているものが良い。
〇マルチミネラル
【特徴】複数のミネラルを一度に摂ることができるサプリメント。必須ミネラル16種類のうち、少なくとも、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、ヨウ素、クロム、セレン、銅が含まれているものがよい。
〇プロテイン(タンパク質)
【特徴】サプリメントは粉末状のものが多く、牛乳やヨーグルトに混ぜて摂るのが一般的。子どもや高齢者はやや多めに摂ることを心がけると良い。大豆原料が良い。
これ以外にも、肌や目の健康に欠かせない栄養素『βカロテン(ビタミンA)』、ストレスやたばこで大量に消費されてしまう『ビタミンC』、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす、血圧を下げるといった効果がある『EPA/DHA』なども基本のサプリメントになるので、覚えておくといいでしょう。
■サプリメントは単体でも意味ある? 複数摂るべき?
ビタミンやミネラルは何種類もあります。どれか1種類だけとっても代謝は改善しません。できれば複数、総合栄養補助が重要になります。
「代謝は必要なものがすべてそろっているところまでしか行えません。どれか1種類をたくさん摂るのではなく、不足しないようにバランスよく摂りましょう」
また、サプリメントの中には一緒に摂ることでプラスの働きをしてくれるものがあります。例えば、『ビタミンE』と『還元型コエンザイムQ10』です。ともに抗酸化作用を持ち、活性酸素を直接消去しますが、『還元型コエンザイムQ10』は、直接消去するだけでなく、抗酸化物質である『ビタミンE』を再生し、間接的に抗酸化力を高め復活させてくれます。
「実はコエンザイムQ10には、『還元型コエンザイムQ10』と『酸化型コエンザイムQ10』の2種類があります。『還元型コエンザイムQ10』のみが抗酸化作用があり、効率よく体内で働いてくれます。選ぶ際は“還元型”を選ぶのがおすすめです」
■肥満を予防・解消したい時に摂るサプリは?
ダイエットサプリメントと呼ばれるのが『コエンザイムQ10』、『α−リポ酸』、『L−カルニチン』。これらは一緒に摂ることで、エネルギーづくりに欠かせない“クエン酸サイクル”に働きかけ、糖質や脂質のエネルギー代謝を促進します。
過食傾向にある人は食前に『ファイバー』を摂っておくと、満腹感を得やすくなります。油分の使用も適度に制限しすぎないこと。油分を減らすと脂溶性ビタミンの『カロテン』や『ビタミンE』の吸収が落ちることになるので注意。
「おすすめの量を厳守し、副作用が出たり、数ヵ月続けてみて効果が感じられないときには中止しましょう」
肥満の解消、予防に必要なのは、「食習慣の改善と運動と睡眠。食事は単に量を減らすのではなく、栄養素をバランスよく摂ることが大切です。栄養のバランスが崩れると代謝が悪くなり、エネルギーが消費されにくくなってしまいます」と佐藤先生は言います。
サプリメントは補給するだけではダメ。それを代謝で使えるよう筋トレや有酸素運動といった運動に毎日6時間ほどの睡眠と、他の生活習慣も改善することがマストです。
〇監修者/佐藤務先生
(さとう つとむ)
稲毛病院整形外科・リハビリテーション科/健康支援科部長。1997年、臨床の現場にサプリメントの摂り方を指導するビタミン外来を新設。2000年には全国初の健康支援科を創設、8つの健康支援外来を新設。昭和大学医学部統合医学科講師に就任し、医学生にサプリメントや栄養の講義を開始。専門は整形外科・リハビリテーション科だが、予防を含めた総合医療を提唱
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■サプリを摂る前に知っておいてほしい「代謝」
すでにサプリメントを摂っている人の中には、なかなか効果を実感できないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。1997年にビタミン外来を新設し、26年にわたり、臨床の現場でサプリメントの摂り方を指導してき佐藤先生は「サプリの摂り方の前に理解してほしい“代謝”の話があります」と話します。
「このいずれかが停滞したり、うまくいかなくなれば、身体の不調や疾病に徐々に侵されていく可能性があります。そして両代謝がうまくいくサポートをしてくれるのが、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素になります」(佐藤務先生/以下同)
代謝の流れとして、新陳代謝ができてからエネルギー代謝が促進されます。佐藤先生によると「新陳代謝を促進してから、エネルギー代謝を改善する流れを意識する事が大切」と言います。
「代謝をよくしようと、新陳代謝を無視して、いきなりエネルギー代謝系のウォーキングをする方もいますが、これは間違いです」
■基本のサプリメントとそのメリットを解説
「新陳代謝」と「エネルギー代謝」には、カロリーに見合った量のビタミン等が不可欠。それが不足すると代謝が停滞し、代謝しきれなかったカロリーは脂肪として蓄積され、生活習慣病の温床となります。
「代謝を促進するためには、不足しているビタミン等を補う必要があります。現代食から、代謝に必要な量のビタミンを摂取しようとすると、その分カロリーも増えるため、カロリーなくビタミン等を温存した逆加工食品=サプリメントが有効な手段になってきます」
ビタミン、ミネラルは両代謝の要。ここに不足があると、新陳代謝もエネルギー代謝も制限され停滞し、不調の原因に。基本は、『マルチビタミン』と『マルチミネラル』で、全体の摂取量を底上げをして、さらに、意外に不足している『タンパク質(プロテイン)』を強化しましょう。
「基本の栄養素が不足していると両代謝の流れは正常には行われないので、ベースサプリメントとして、ビタミン、ミネラル、プロテインの3種を摂ることから始めましょう」
〇マルチビタミン
【特徴】複数のビタミンを一度に摂ることが出来るサプリメント。ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、パンテトン酸、葉酸、ビオチン、C、E、D、Kの13種類すべて入っているものが理想。少なくともビオチンとビタミンKを除く11種類が入っているものが良い。
〇マルチミネラル
【特徴】複数のミネラルを一度に摂ることができるサプリメント。必須ミネラル16種類のうち、少なくとも、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、ヨウ素、クロム、セレン、銅が含まれているものがよい。
〇プロテイン(タンパク質)
【特徴】サプリメントは粉末状のものが多く、牛乳やヨーグルトに混ぜて摂るのが一般的。子どもや高齢者はやや多めに摂ることを心がけると良い。大豆原料が良い。
これ以外にも、肌や目の健康に欠かせない栄養素『βカロテン(ビタミンA)』、ストレスやたばこで大量に消費されてしまう『ビタミンC』、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす、血圧を下げるといった効果がある『EPA/DHA』なども基本のサプリメントになるので、覚えておくといいでしょう。
■サプリメントは単体でも意味ある? 複数摂るべき?
ビタミンやミネラルは何種類もあります。どれか1種類だけとっても代謝は改善しません。できれば複数、総合栄養補助が重要になります。
「代謝は必要なものがすべてそろっているところまでしか行えません。どれか1種類をたくさん摂るのではなく、不足しないようにバランスよく摂りましょう」
また、サプリメントの中には一緒に摂ることでプラスの働きをしてくれるものがあります。例えば、『ビタミンE』と『還元型コエンザイムQ10』です。ともに抗酸化作用を持ち、活性酸素を直接消去しますが、『還元型コエンザイムQ10』は、直接消去するだけでなく、抗酸化物質である『ビタミンE』を再生し、間接的に抗酸化力を高め復活させてくれます。
「実はコエンザイムQ10には、『還元型コエンザイムQ10』と『酸化型コエンザイムQ10』の2種類があります。『還元型コエンザイムQ10』のみが抗酸化作用があり、効率よく体内で働いてくれます。選ぶ際は“還元型”を選ぶのがおすすめです」
■肥満を予防・解消したい時に摂るサプリは?
ダイエットサプリメントと呼ばれるのが『コエンザイムQ10』、『α−リポ酸』、『L−カルニチン』。これらは一緒に摂ることで、エネルギーづくりに欠かせない“クエン酸サイクル”に働きかけ、糖質や脂質のエネルギー代謝を促進します。
過食傾向にある人は食前に『ファイバー』を摂っておくと、満腹感を得やすくなります。油分の使用も適度に制限しすぎないこと。油分を減らすと脂溶性ビタミンの『カロテン』や『ビタミンE』の吸収が落ちることになるので注意。
「おすすめの量を厳守し、副作用が出たり、数ヵ月続けてみて効果が感じられないときには中止しましょう」
肥満の解消、予防に必要なのは、「食習慣の改善と運動と睡眠。食事は単に量を減らすのではなく、栄養素をバランスよく摂ることが大切です。栄養のバランスが崩れると代謝が悪くなり、エネルギーが消費されにくくなってしまいます」と佐藤先生は言います。
サプリメントは補給するだけではダメ。それを代謝で使えるよう筋トレや有酸素運動といった運動に毎日6時間ほどの睡眠と、他の生活習慣も改善することがマストです。
〇監修者/佐藤務先生
(さとう つとむ)
稲毛病院整形外科・リハビリテーション科/健康支援科部長。1997年、臨床の現場にサプリメントの摂り方を指導するビタミン外来を新設。2000年には全国初の健康支援科を創設、8つの健康支援外来を新設。昭和大学医学部統合医学科講師に就任し、医学生にサプリメントや栄養の講義を開始。専門は整形外科・リハビリテーション科だが、予防を含めた総合医療を提唱