BtoBマーケティングの戦略立案と実行方法「特定市場における4つの施策展開」/荻野 永策
本記事は弊社WEBサイト「BtoBマーケティングの戦略立案と実行方法「特定市場における4つの施策展開」」の記事を要約した内容となっています。
特定市場向けデジタルマーケティングで重要視すべき2つのKPI
ここでいう「特定市場」とは、「ある特定の業種・業界・業務」でかつ「規模・母数も少ない」市場のことをいう。BtoBの場合、例えば、大病院向け、大学向け、金融業向けなどが該当するだろう。こういった「特定市場」の場合、「日本国内では顧客になりそうな企業が最大でも●社しかいない」といった制限が発生する。市場母数が少ないため、マーケティングやセールス活動にも制限があるという特性がある。
そんな特定市場向けデジタルマーケティングで重要視すべきKPIは2つあると考えている。1つ目は、総母数に対するリード化の割合「リード化率」、もう1つは、「1社あたりのリード人数」である。
総母数に対するリード化の割合「リード化率」とは?
ここでいう、「リード化率」とは、総母数に対して実際にリード化できた割合のことだ。例えば、日本国内で200社しか顧客がいない場合において、担当者の個人情報まで判明している社数が50社であれば、「リード化率」は25%となる。
1社あたりのリード人数とは?
「1社あたりのリード人数」とは、リード化に成功している企業において、1社あたり何人のリードがMAなどに登録されているか?の人数の平均値だ。例えば、担当者の個人情報まで判明している社数が50社で、リードリストの人数が225人であれば、「1社あたりのリード人数」は225/50で4.5人ということになる。
なぜ2つのKPIを重要視するか?
では、なぜ「リード化率」と「1社あたりのリード人数」を重要視するのか?
その理由は、そもそも市場の母数が少ないため、リードの獲得件数をKPIにすることはできない。日本国内で200社しか顧客がいないのであれば、200社以上のリード獲得(企業としてのリード獲得)はできないからである。
しかしながら、200社しか顧客がいなくても、各リード企業には製品購入に関わる関係者・意思決定権者が複数人存在する。そのため、1社1名ではなく、1社N人と考えて、リード獲得すべきである。Nの人数が多ければ多いほど、リードに対する影響度も大きくなり、商談創出やクロージングの際に有利に働く。
だからこそ、「リード化率」と「1社あたりのリード人数」を重要視すべきであると考えている。
特定市場向けデジタルマーケティングの戦略立案・実行方法
では、具体的にどう戦略立案・実行すべきかの方向性を考えてみよう。重要なKPIを2つ設定したため、下記のような4象限に分類すれば、方向性が見えてくる。
方向性1「リード化率が高く、1社あたりのリード人数が少ない」
「リード化率が高く、1社あたりのリード人数が少ない」状況であれば、「1社あたりのリード人数」を増やすデジタルマーケティングを実施することが最優先だ。特に、意思決定権者の個人情報をどうすれば取得できるか?を考える必要がある。当然、戦略目標は、方向性2「リード化率が高く、1社あたりのリード人数が多い」の状態に持っていくことである。
具体的な施策案としては、「社内セミナー」のような施策を展開すると1社あたりのリード人数を増大できる可能性がある。「社内セミナー」とは、社内の関係者であれば何名でも参加できるオンライン・リアル(訪問)のセミナーである。関係者が複数名参加することで、1社あたりのリード人数の増大に繋げることが可能だ。
方向性2「リード化率が高く、1社あたりのリード人数が多い」
「リード化率が高く、1社あたりのリード人数が多い」状況であれば、これ以上の新規リード獲得は難しい。そのため、今保有しているリードリストから、いかに商談や案件を継続的に作り出すか?にデジタル活用の可能性を見出すしかない。
具体的な施策案としては、リードの課題調査を行い、解決策を提案するソリューション提案の継続であろう。受注まであと一歩のところまで来ているため、リードの課題調査(アンケートメールなど)を継続的に行い、商談創出を狙うとよい。
方向性3「リード化率が少なく、1社あたりのリード人数が少ない」
「リード化率が少なく、1社あたりのリード人数が少ない」状況であれば、リード化率の向上を優先しよう。ただ、特定市場であるため、デジタル活用による新規リード獲得ができるのかどうか?が大きな問題となる。検索市場を調査し、本当にデジタル活用でリード化率を高められるか、見極めてから実行するかどうか?を考えなければならない。
具体的な施策案としては、ロングテールワードでのSEO対策やリスティング広告で自社サイトに集客し、ホワイトペーパーを使ってコンバージョンを狙うといった方法が考えられる。もしくは、ホワイトペーパーとDMや電話営業などと連動させるのもありだ。例えば、ホワイトペーパーの資料請求を受け付けるDMを送付するなどである。こういった活動をコツコツ行い、リード化率を高めていく地道な施策の継続が重要になるだろう。
方向性4「リード化率が少なく、1社あたりのリード人数が多い」
「リード化率が少なく、1社あたりのリード人数が多い」状況であれば、方向性2と同様に、商談・案件創出を継続しつつも、方向性3のように、新規リード獲得を行わなければならない。2つのことを同時に行う必要がある。
特定市場向けマーケティングの戦略立案・実行方法まとめ
4つの方向性から施策案を検討した。重要なポイントは下記の3つである。
1社あたりのリード人数を増大させる社内セミナーのような施策案を具体化しておくことリード化率を地道に高めるためにホワイトペーパーの活用などの施策案を具体化しておくこと継続的に商談を作り続けるためにアンケートメールなどを活用して課題調査を実施すること特定市場を狙う場合は、このポイントを意識しつつ、最適なマーケティング戦略の立案を行なってほしい。