よく見かける光景ですが…。

道路法に根拠あり

「道路上に段差解消用のステップ等を置かないでください」
 
 西東京市が2023年12月頭、市のウェブサイトでこう注意喚起しました。段差解消用のステップとは、自宅車庫と道路との出入りをしやすくするために置かれた、傾斜のついたステップのこと。街なかでよく見かける光景かもしれません。しかし、ステップの設置は道路法第43条で禁止されています。条文は以下の通りです。


段差解消用ステップ(画像:西東京市)。

「みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。」
「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為をすること。」

 さらに第76条にも、以下の規定があります。
「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」

 つまりステップは「土石、竹木等の物件」に該当し、その設置は「道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為」、あるいは「交通の妨害となるような方法」に該当すると解釈できます。

 前出の西東京市は「歩行者がつまずくなどの危険が生じたり、自転車やバイクなどの事故の原因となったりし、事故の発生時には設置者の責任が問われることがあります」としたうえで、「雨水の排水にも支障が生じる可能性があり、生活環境の悪化につながるため、速やかに撤去してください」と呼び掛けます。

でも実際に段差が… どうすればよい?

 とはいえ、道路と車庫のあいだに段差があるせいで生活に支障をきたしている場合はどうすればよいのでしょうか。ある道路管理者は以下のように話します。

「まず、その段差が家の敷地のものである場合、敷地側で切り下げるなどしてください。家から歩道を経て車道に下りる形の場合は、縁石と歩道をそこだけ自費で切り下げ、段差を無くすという方法があります」

 これは道路法第24条に基づく工事(24条工事)であり、道路管理者の持ち物である道路構造物を、道路管理者以外が手を加える行為です。勝手に工事はできず、あらかじめ道路管理者(県道なら県の土木事務所、市道なら市役所など)に、24条工事の承認申請を行う必要があります。


段差解消には、24条工事の申請という方法がある(画像:写真AC)。

 ちなみに、ステップを置くなどし前出の道路法に違反した場合、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また、その行為によって実際に事故が発生した場合は、ステップを置いた本人はその責任を問われることとなるでしょう。

 実際、1999(平成11)年に大阪府堺市で発生した死亡事故は、原付バイクの大学生が段差解消用のステップに乗り上げて転倒し、他車にはねられたことが原因でした。一件では、ステップ設置者が有罪判決を受け、書類送検されています。