日本戦で先発した台湾の古林睿煬【写真:荒川祐史】

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西武で通算117勝、MVPにも輝いたオリエンタル・エクスプレス

 東京ドームで開催された「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」。3位で大会を終えた台湾の練習時、グラウンドには西武で通算117勝をマークした「オリエンタル・エクスプレス」こと郭泰源氏がいた。18日、取材に応じてくれたレジェンドは、かつてバッテリーを組んだ伊東勤氏の思い出、今大会の日本戦で快投した157キロ右腕・古林睿煬について語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内宏哉)

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 銅メダルを獲得した1984年のロス五輪で剛腕を見せつけた郭泰源氏は、翌85年から西武でプレー。1年目の6月4日、日本ハム戦(平和台)でノーヒットノーランを記録するなど15登板で9勝5敗、防御率2.52の好成績を残した。以降2ケタ勝利6度、91年には184.1回を投げて15勝6敗1セーブ、防御率2.59でリーグMVPに輝いた。

 西武黄金期を支えた1人。バッテリーを組んだ伊東氏とは、ともに1962年生まれで信頼しあう間柄だった。「1年目から組んだけれど、2人の相性、コミュニケーション。お互いに信用していたんですよ。それが一番大事かなと思います。配球は勤に任せていた」。来日1年目で何もわからない頃から、伊東氏のサインは心から安心できるものだった。

「サインミスをするなとよく言われました。最初は結構あったので『多いから気をつけろ』と。勤がほとんど助けてくれた。サイン通り投げればいいと思っていました」

 懐かしく思い出を語ってくれた台湾のレジェンドに、評価を聞いてみたい投手がいた。16日の日本戦で好投した最速157キロ右腕・古林睿煬(統一)だ。

 侍打線を相手に力強い真っすぐを制球良く投げ込み、5回まで打者15人で抑える完全投球。6回に門脇誠に初安打を許し、7回には森下のソロを被弾したが、日本のX上では「台湾のピッチャー」がトレンド入り。各球団ファンから“勧誘合戦”も始まるほどの衝撃だった。

 2000年6月生まれの23歳。今季は台湾プロ野球CPBLで13試合に先発して5勝2敗、防御率1.80の好成績を残している。郭泰源氏は「(日本戦で)凄くいいピッチングをした。ボールの回転もいいし、制球もなかなかいい。精神的にも成長している」と高評価。試合後の会見で「チャンスがあれば日本や大リーグに挑戦したい」と夢を語っていたが、「日本で通用すると思うよ」と大先輩も太鼓判を押した。

 敢えて課題があるとすれば何か問うと「このまま、このピッチングしていけばいけるんじゃないですか。私は、彼がもし日本に来たら成功すると思う」と改めて称賛。自身も大活躍したNPBの舞台で、将来的にブレークする可能性を説いていた。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)