源泉数&湧出量、日本一の実力。大分「界 別府」はお宿の中に温泉街あり♡

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しっぽり&のんびり、プチ贅沢して旅情に浸る旅。今回の目的地は大分県・別府です。別府といえば、別府温泉。大分県は源泉数・湧出量ともに全国1位で、全国にある源泉総数27,367のうち、別府市だけで2,291もあるなんてご存知でしたか?温泉に浸かって癒されたいお疲れ世代としては、否応にも期待感が高まります。

温泉街に逗留する文化人気分。昭和レトロとモダンの塩梅がちょうどいい

お宿に選んだのは、「界 別府」です。星野リゾートが運営する温泉旅館ブランドで、和の伝統やご当地文化を感じるおもてなしに定評あり。

界 別府はJR別府駅から徒歩10分と、電車でアクセスしやすい好立地。大分空港からは車で約60分、もちろん駐車場も完備しています。

フロントの手前ですでに温泉づくし。開放感のある湯の広場には、サワラの桶がたくさん並んでいます。ここは手湯コーナー。

湯の広場の外は、別府湾を眺めながら足湯に浸かれます。チェックアウトまでの間、取材スタッフは街歩きの前後に、夕食の後にと足湯に入りまくり。短時間でも足を温めると疲れがほぐれて冷えも解消される!

あつ湯とぬる湯、露天風呂…。素人でも、浸かれば泉質のよさがわかる!

足湯もいいけれど、やっぱり気になるのは大浴場の温泉です。内風呂は源泉かけ流しのあつ湯とぬる湯があり、あつ湯で体をしっかり温めてからぬる湯でクールダウン。

界 別府のお湯は炭酸水素塩泉で重曹成分が多く含まれているそう。「とにかくお肌がプルプルになります!」とスタッフさんに言われていた通り、浸かると一皮むけたような印象。短時間でも、温泉成分がしっかり身体に浸透している気がします。

それなりに全国各地の温泉をめぐってきたけれど、語れるほど泉質に詳しくはない…。そんな人でも「別府の温泉は一味違う」と断言できるのでは!

内湯はデザインにもこだわっていて、ご当地の磁器、臼杵焼き(うすきやき)でつくったモチーフが埋め込まれていました。8種類の花があしらわれていてほっこり。この花モチーフは、箸置きとして館内ショップでも販売されていました。

内湯を堪能したら、いざ露天風呂へ。別府石を組んだ岩風呂で、女性露天風呂はプライバシーも守りつつ風や光を適度に感じられるつくりです。まだ明るい夕方、照明がついた夜、早朝、どの時間帯も心地いい!

客室は全室オーシャンビュー。絞り染めの伝統工芸が高級感あり

別府湾に面した界 別府は、どの客室タイプもオーシャンビューを確保。大判ガラスのピクチャーウィンドウから絶景を楽しめました。

ご当地の伝統工芸や文化を大切にしている界らしく、大分の豊後絞りという絞り染めを使った装飾が客室の各所に。

今回泊まったのは「ご当地部屋 柿渋の間」で、露天風呂もオーシャンビュー。大浴場も楽しみたいけれど、景色ひとり占めの露天風呂もいい…。どちらにいつ、何回入ろうか、贅沢な悩みを抱えることになりそうです。

ちなみに別府は、伝統工芸の宝庫と言えるほど昔ながらの素材や工芸が充実している場所。竹細工の装飾もあちこちに飾られていました。食事処の吹き抜けには80個の竹とんぼが。

界 別府の設計を手掛けた建築家・隈研吾氏の構想をそのまま形にしたものだそうです。

館内の案内表示も竹素材!

そのほかにも杉や麻、和紙など色も素材も形もさまざまの装飾があって館内は賑やか。

大浴場へ行ったり、ショップをのぞいたり、トラベルライブラリーでコーヒー休憩をしたり…。界 別府という小さなひとつの温泉街をそぞろ歩きしている気分です。

お食事は “胃もたれしない”優しさを感じる魚介&かぼす

食事は半個室の食事処でいただきます。季節の和会席で提供される「豊後鍋」会席は、大分県の名産品をぜいたくに使用。特に海の恵みがたっぷりです。旬の魚のお造りはもちろん、メインの豊後鍋にはクエやふぐ、伊勢海老が入っていました。

先付けから甘味まで品数もボリュームもたっぷりですが、不思議とスルスル胃の中へ。素材を最大限に活かしたあっさり系の味つけと、野菜や魚介が中心だからか温泉宿の食事にありがちな極限の満腹感は感じません。

この特別会席は、脂っこいものを食べすぎると胃がもたれる…なんて言いそうな大人世代にぜひ食べてほしい!

ちなみにお食事のお供には上品な地酒をいただきましたよ。

お宿の中でいろいろ遊べるのはうれしい

界 別府は「ドラマティック温泉街」をコンセプトにしているだけあって、イベントも盛りだくさんでした。気になったものをまとめてご紹介!

温泉ミスト作り

館内にある「ラボ」という場所で毎日行われている温泉ミスト作り。源泉をベースに、お好みのアロマオイルを使って自分でミストを仕上げていくというものです。

温泉の知識に長けたスタッフさんによる、別府温泉や入浴法のレクチャーも必見。まさかの参加費無料で、当日フロントで受付するだけで参加できるのはうれしいところ。

スマートボール&葛アイスバー

夕方から夜にかけては、館内が一気にお祭りムードに!温泉街の食べ歩きにぴったりの葛アイスバーが配られています。

別府はかつて「不夜城」と呼ばれていたそう。この写真は手湯と足湯がある湯の広場がライトアップした様子で、まさに眠らない街そのものの雰囲気です。ライトが窓に反射してとんでもなく美しい無限の光の空間。

夜の湯の広場には昭和の温泉宿を彷彿とさせるボードゲーム、スマートボールも設置されています。そんな時代を知らなくても、「懐かしい」と思わず言ってしまいそうになる…!

別府温泉しぼり体験

大分に古くから伝わる豊後絞りから生まれた、別府温泉絞りをプチ体験(有料、要事前予約)。前もって青または赤に染めてある木綿のハンカチに絞り模様を自由につけていきます。

丸い玉をゴムで結んだり、ボタンを挟んだり、折り目をつけたり。仕込みが終わったら、スタッフさんが温泉に浸けて色を抜いてくれます。

どんな模様になっているか出来上がるまでわからない、世界に1枚だけのオリジナル絞りハンカチが完成です。

一に温泉、二に温泉。食事と伝統工芸体験も抜かりなし。できればここに長期逗留(ワーケーション)したい…。そんな願望を抱いてしまうくらいいいお宿でした。

撮影/瀬津貴裕(biswa.) 取材・文/佐藤望美