日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。4人の子どもを育てる専業主婦のさやかさん（仮名・46歳）は現在夫と17年以上レスの関係が続いているといいます。入籍後に判明した多額の借金、嘘で塗り固められた夫の人生とは？　「デキ婚という形で巻き添えを食ってしまった」という壮絶な結婚生活をお話していただきました。

「結婚するまで気がつかなかった」偽りの経歴と借金

“多産DV”という言葉を知っていますか？　女性の意向を無視して、避妊せずに性交渉を強いて、妊娠・出産を繰り返させることです。女性にとって望まぬ妊娠や出産は、経済的にも身体的にも自由を奪われる結果に。

判断基準として男性側が避妊に協力しないこと、子どもを4人以上出産していること、出産から妊娠の期間が短いこと、中絶経験があることなどが挙げられますが、今回取材した主婦のさやかさんも子どもが4人。結婚するまでそんな夫の真の姿にまったく気がつかなかったといいます。

●金銭感覚が壊れていた夫

「夫と交際が始まったのは、私がまだ大学に通っていた頃です。保険会社の営業の仕事をしていて、とにかく羽振りがいい人というのが第一印象でした。社会人はみんなこんなものなのかなと思っていたのですが、必要以上にお金持ちに見せるためにだいぶ見栄をはっていたんですよね」とさやかさん。

夫は4歳年上。趣味は絵画に投資をすることで、人気アーティストの作品を買いに行くという名目のデートにもよく誘われたそう。

「かっこつけて投資と言っていましたが、じつはローンを組んで購入していたことが結婚後に発覚しました。私たちは授かり婚だったのですが、あんなに借金があるって初めから知っていたら、結婚しないで産むという選択肢も選べたのに。本当、詐欺に遭った気分です」

●入籍後、区役所で転出届けが出せない！？

所有しているクルマや家のなかの家財なども多額のローンが組まれて購入されたものでした。さらに驚くべきは毎月の返済額が、夫の収入をはるかに上回っていたこと。しかもそれを知ったのは入籍直後だったといいます。

「二人で暮らす新居へ住所を移すために、転出届を出そうとしたんです。そしたら、夫が税金を払っていなくて…。だから『まず精算しないと転出できない』と役所の人に言われて、そのときは私がいったん立て替えて支払ったのですが、そこで『どういうことなのか説明して』と詰め寄って、初めて多額の借金があることを知りました」

けれど、このとき夫から説明されたのはほんの一部。実際は公共料金の支払いも滞っていたそう。

「自転車操業じゃありませんが、督促状が来たタイミングでちょっとずつ支払うということを繰り返していたんです。どのお金がどうなっているのかわからず、とにかくお金の整理をすることから始まった結婚生活でした。子どもの頃から積み立てていた預貯金や、結婚するときに親から渡されたお祝いのまとまったお金が、夫の借金返済でどんどん消えていくのがとにかく辛かったです」

●「なにもかもが遅すぎた…」もう引けないタイミング

投資なんてしている場合ではないということで、さやかさんは夫を説得し、とにかく家のなかの金目になるものは絵画もクルマも売り払ったといいます。

「交際中に聞いていた夫の学歴や会社でのポジションも嘘だらけでした。年収も、聞いていた金額よりかなり少なかったんです。とにかく毎月の返済額を減らすために、売れるものはどんどん売りました。そんな生活を見かねて、私の親には『子どもはあきらめろ』『今からでも離婚しろ』と言われてしまったのですが、私はどうしても産みたいという気持ちが強くて。今になって思えば、もうなにもかもが遅すぎました」

結婚の翌年、無事に第一子を出産。ところが、そこでまた新たな問題が発覚します。今度は夫の親族がお金の無心をしてきたのです。

●夫の親族も借金だらけだった

「お金にだらしないのは夫だけでなく、夫の両親、そして夫の妹さん夫婦も一緒。どちらの家も、すでに銀行からの借り入れを断られているような状態だったんです。とくに妹さん夫婦のところは、複数の消費者金融からも借金をしていて『ご主人の仕事先に怖い人が来てしまって、うちで貸せるなら助けてあげたい』と夫に泣きつかれて…。けれど、はっきり言って夫の収入で貸せる余裕なんてありません。すでに私が結婚前に貯めていた貯金をきり崩しているというのに、なにを言っているのかと思いました」

こうして結婚してすぐから両方の親、そして親戚づき合いが完全にきれてしまったというさやかさん。子育てはだれの助けも借りることができず、孤独を極めたといいます。

●意地でも離婚はしないという決意が仇に

「親の反対を押しきって結婚し、出産し、頼れるあてがなくなった私はとにかく判断を誤り続けました。当時は目の前のことローンの返済と育児のことでいっぱいいっぱい。避妊してくれないので次々と子どもを妊娠して、なんとか生活のたしにと思ってせっかく働き口が見つけても、またすぐ妊娠して辞めなければならなくなってしまって…。けれど4人目を産んだあとに、もう限界だと思って実家へ帰る決心ができました」

産後、さやかさんがどんなに疲れていても、したくなると布団にもぐりこんできたという夫。拒否をしても結果的に力負けして断りきれずにまたすぐに妊娠。ほぼ1年おきにこれを繰り返し、働くことも離婚することも、だれかに相談することもできず、身動きがとれないまま、気がつけば4人の子どもの母に。

実家に帰ったとき、さやかさんは29歳。以降17年以上夫とは完全レスのまま。「もうあの人に絶対に体を許すつもりはない」といいます。次回は、夫とのセックスを避けるため別居しようとしたところ、夫が暴れ出し、警察沙汰になったお話です。