エンゼルスの大谷翔平【写真:ロイター】

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「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者が見解

 米大リーグで右肘靭帯損傷と診断されたエンゼルス大谷翔平投手について、米メディアも一斉に報じている。今オフにフリーエージェント(FA)となる新契約への影響が懸念する報道も相次ぐが、スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」は「ショウヘイ・オオタニは打者のみでもFAで5億ドル(約729億円)の価値がある」とのタイトルで大幅な下落に否定的な見解を示した。

 これまで多くのメディアは大谷の新たな契約について総額5億ドルをひとつのボーダーに、最大6、7億ドルを予想する声もあった。今回の負傷により、影響は必至とみられるが、同メディアの敏腕記者ケン・ローゼンタール氏は、執筆したコラムで未だ5億ドルの価値があることを強調。「右肘のUCL(内側側副靭帯)を損傷したが、未だに球界最高の打者だ」と打者としての価値を根拠に挙げた。

「アーロン・ジャッジがFAになったよりも2歳若い29歳でFAとなる。ヤンキースはジャッジと9年3億6000万ドル(約525億円)で契約し、彼が登板する可能性はなかった。オオタニにはその可能性がある」と野手として巨額契約を結んだヤンキース・ジャッジとその年齢も比較しながら金額の根拠を示した。

 一方で、右肘の手術に踏み切った場合にも言及。「2度目のトミー・ジョン手術を受けることになっても、マウンドに戻ることが濃厚だろう。メジャーでの6年間で、彼は全ての予想を覆し、何度も疑問を沈黙させてきた。2度目のトミー・ジョン手術からの復帰の難易度は高い。しかし、オオタニはそれをもう一つの挑戦として捉えるだろう」と前向きに報じ、こうも補足した。

「彼と契約する球団は長期契約の序盤で彼の復帰を焦らせたくはないだろう。オオタニは2024年前半を欠場したとしても重大な価値をもたらせる。そして、最終的に投手の面を放棄しなければらなくなったとしても、彼のスピードと運動能力の高さにより、ほぼ確実に平均以上の外野手になるだろう。もしエリートレベルにならなかったとしてもだ」

選手としての成績のみならずマーケティング面でも球団に好影響

 さらに、今季メジャー単独1位の44本塁打を記録、長打率、OPSもトップであり、加えて17盗塁を記録していることも特筆。「これがFAになる選手なのだ。さらに彼のマーケティング面でのバリューは彼の価値を高めるのみ。オオタニが打者のみだったとしても、新天地でチケットセールスやグッズの売り上げなどを助けるだろう。彼がロースターにいるというだけでだ」と球団の興行面への好影響もつづった。

「肘の怪我の前のオオタニの限界点は不明だった。全てが可能なようにさえ思えた。しかし、現実は投手としての彼の将来は常に不確実だった。彼はあと2年投球するだろうか? それとも4年? 6年? 長期契約を結ぶ球団が、彼が毎シーズン、サイ・ヤング賞を争う投手になると想像していると考える難がある」

 大谷もあくまで生身の人間であり、肩肘が消耗品になり得る投手として、あと何年トップコンディションでプレーできるかは不透明と現実的に指摘。その上で「球団は投手としての彼の将来に疑問が残る中で二刀流のスーパースターとして契約することはできない。しかし、それでも彼らは球界最高の打者として彼と契約することができる。それは5億ドルの価値がある。少なくとも」と繰り返し打者としての価値を強調した。

(THE ANSWER編集部)