夏の風物詩、違反になる? 道路や駐車場で「花火」はしたらダメ? どんな法律に触れるのか
夏の風物詩 家の前の道路で花火は…違反?
夏には皆で集まって花火をする機会があるかもしれませんが、場所や時間によっては周囲の人に迷惑を及ぼすことがあります。
では、もし道路や駐車場で花火をしていた場合、何らかの法律に抵触することはあるのでしょうか。
夏休みになると普段会えない家族や親戚、友人などと集まる機会が増えます。
【画像】家の前の「スロープ」違反です! 違法行為ないの? NGな設置がこれです!(17枚)
中には自宅の庭や空き地などで花火をするという人もいるかもしれません。
花火は皆で楽しめるイベントである一方、火事や騒音問題などが懸念されます。
SNS上においても、個人が行う花火に関して「近所の家族が自宅前の道路で花火をしているけど火事になりそうで心配」、「燃えやすいものが花火のまわりに置かれている」などの声。
さらには「寝ている人の多い時間帯に花火やる神経が分からない」といった厳しい意見が多数寄せられていました。
では、もし道路や駐車場などで花火をした場合、何らかの法律に抵触する可能性はあるのでしょうか。
まず道路で花火をした場合、道路交通法第76条第4項第4号の規定に違反する可能性があります。
同条では「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人もしくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること」を禁止しており、火のついたタバコや花火などもこれに含まれると考えられます。
特にロケット花火のように遠くへ発射できるタイプであれば、花火が道路にいた歩行者に当たって怪我をさせたり、通行していたクルマに傷を付けたりするおそれがあります。
交通の妨げにもなるため、道路上での花火はやめましょう。
なお、この法律違反に対しては5万円以下の罰金が罰則として設けられています。
また、道路以外の場所でも時間帯によって花火が禁止されているケースがあります。
例えば兵庫県宝塚市の「夜間花火規制条例」では午後10時から翌日の午前6時までの間、公共の場所での花火を禁止。
指定された禁止区域では違反者に対して中止勧告・命令などを実施し、命令に違反した人に対して10万円以下の罰金を科す場合があると公表しています。
さらに島根県出雲市の「夜間花火規制条例」では、午後10時から翌日の日の出までの時間に公共の場所で花火をすることを禁止。
また市長が指定した禁止区域において中止命令に従わなかった場合には5万円以下の罰金が科されます。
それら以外にも兵庫県西宮市や福井県小浜市、岡山県浅口市など各自治体で同様の条例が作られており、基本的に夜間、公園や広場、河川、海岸などの公共の場所で花火をすることは控えるべきといえるでしょう。
花火によるトラブルで刑法第116条の「失火罪」に問われる恐れも? どういうこと?
そのほか、私有地の空き地や駐車場などで花火をする際にも注意が必要です。
風の強いときや、しっかりと火の始末をしていなかった場合には火が周りの草や紙などに燃え移り、火事の原因となることがあります。
仮に花火の不始末で火事に発展し、建物などを燃やしてしまった場合には刑法第116条の「失火罪」に問われる恐れがあります。
加えて、軽犯罪法第1条第9号には「相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者」に対して拘留または科料という罰則も設けられており、火気の取扱いには十分気をつけなければいけません。
また駐車場では花火が周りのクルマに当たって傷が付いたり、ブロック塀などに焦げ跡が残ったりするケースが想定されます。
その場合には所有者から損害賠償請求をされる可能性があるため、花火の際にはできるだけ周囲に何もない広い場所を選定することも重要といえます。
※ ※ ※
個人で花火をする際には条例などで禁止されていない場所で、なおかつ周囲の人に迷惑とならない時間帯を選びましょう。
また火事にならないように水の入ったバケツを用意する、燃えやすいものを近くに置かないといった対策を講じるほか、周りの人や建物などへの配慮を怠らないことが大切です。