10分の充電で400km走行できる超高速充電バッテリーを大手EVバッテリーメーカーCATLが発表、2024年に出荷開始か
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わずか10分の充電で400kmの走行が可能な新しい電気自動車用バッテリー「Shenxing Superfast Charging Battery(Shenxing:神行超充電池)」を、中国の大手EV(電気自動車)バッテリーメーカーでテスラのサプライヤーでもある寧徳時代新能源科技(CATL)が、2023年8月16日のイベントで発表しました。CATLは、Shenxingが1回のフル充電で700km超の走行距離を実現できる、世界初のLFPバッテリー(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー)だとアピールしています。
https://electrek.co/2023/08/16/catl-new-fast-charging-battery-250-mi-10-min/
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CATLが超高速充電バッテリーShenxingを発表、EV超高速充電の時代を開く | Contemporary Amperex Technology Co., Limitedのプレスリリース | 共同通信PRワイヤー
https://kyodonewsprwire.jp/release/202308178178
CATL to produce world’s fastest EV battery that offers 400km driving range with just 10 minutes of charging, to keep prices affordable for ‘ordinary consumers’ | South China Morning Post
https://www.scmp.com/business/china-business/article/3231316/catl-produce-worlds-fastest-ev-battery-offers-400km-driving-range-just-10-minutes-charging-keep
Tesla supplier CATL unveils battery that can add up to 400km of range in 10 minutes | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/08/16/tesla-supplier-catl-unveils-battery-that-can-add-up-to-400km-of-range-in-10-minutes/
CATLは中国の福建省寧徳市に本拠を置くEVバッテリーメーカーであり、中国でEVへの補助金支給が始まった直後の2011年に創業されました。CATLを創業したRobin Zheng(曾毓群)氏は、スマートフォンバッテリーの世界市場シェア1位を誇るアンプレックステクノロジー(ATL)の創業者でもあり、CATLもATLで培った基盤を生かして急成長し、2017年にはパナソニックを抜いて世界最大のEVバッテリーメーカーに上り詰めました。
韓国の市場調査会社・SNEリサーチが8月3日に発表したデータによると、2023年1月〜6月に世界中で新規登録されたEVのバッテリー搭載量に占めるCATLの割合は36.8%で、2位のBYDの15.7%を大幅に上回って世界1位をキープしています。
23年1〜6月世界車載電池搭載量:中国CATLが6年連続トップ、韓国3社地盤沈下 | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア
https://36kr.jp/246190/
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CATLはイーロン・マスク氏が創業したEVメーカーのテスラと2020年から提携しており、2023年3月にはテスラと共同でアメリカにバッテリー工場を設立する計画が報じられたほか、大手自動車メーカーのフォードとも工場設立に向けて提携しています。
そんなCATLは、高価な金属であるニッケルやコバルトを含まないLFPバッテリーの開発に注力しています。LFPバッテリーは正極側にリチウム・鉄・リンを使用したリチウムイオン電池の一種であり、耐久性と価格面で優れているものの、エネルギー密度が小さく気温の低い環境でパフォーマンスが低下する点がネックとなっていました。
ところが近年はLFPバッテリーの課題が解消されつつあり、テスラなどは積極的にLFPバッテリーの採用を進めています。CATLは新たに発表したShenxingについて「長い航続距離と簡単な充電の完璧なバランスを体現しています」と述べ、これらの問題を解決したLFPバッテリーになっていると主張しています。
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Shenxingは1回の充電で700km以上の航続距離を実現可能であり、10分という短時間の充電でも400kmの走行ができるとのこと。また、マイナス10度という気温が低い環境でも、30分で80%まで充電することが可能だそうです。
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CATLは2023年末までにShenxingの量産体制に入り、2024年の第1四半期には市場への出荷を開始する予定です。CATLの最高科学責任者を務めるWu Kai氏は、発表イベントで「EV用バッテリー技術の未来は、経済的利益だけでなく、世界的な技術フロンティアにしっかり定着しなければなりません。EVの消費者が先駆的なユーザーから一般的なユーザーへと変化するにつれ、先進技術を誰もが利用できるようにし、誰もがイノベーションの成果を享受できるようにすべきです」と述べました。