スーパーとコンビニ、本当にどれもコンビニのほうが高いのでしょうか?(写真:筆者撮影)

連日の猛暑に加え、今度は台風もやってきた。激しい天候がもはや当たり前になってきた日本。これはわれわれの日常の買い物行動をも変えてしまいそうだ。

1円でも安い食品を求めてスーパーをあちこち回る……というのはなかなかつらい。手近にあるコンビニで済まそうという誘惑にかられる。とはいえ、コンビニで買うと高いから節約にならないし――との声が聞こえてきそうだ。しかし、本当にそうだろうか?

コンビニのPB食品とスーパーの最安商品を比較

近年のコンビニはプライベートブランドに力を入れている。その1つが食品だ。セブン-イレブン「セブンプレミアム」、ファミリーマート「ファミマル」、ローソン「ローソンオリジナル」など、店頭ではナショナルブランドよりも自社PBが目立つ。こうしたコンビニのPB食品は、どの程度スーパーより高いのか、店頭リサーチをしてみた。

なお、対象コンビニは東京23区内、および公式サイト掲載のPB価格。比較したのは同じエリアのスーパーの特売チラシ記載商品・スーパーのPB商品・店頭で最も安かった商品の価格となっている(価格は税込み)。なお、コンビニによっては下記商品の扱いがない店舗もある。

まず、冷蔵庫によく入っているいわゆる日配品から。豆腐と納豆の価格を調べてみた。

どちらもスーパーでもよく見る3個パックの商品だ。スーパーは全国的に利用者が多いと思われるイオン系列のスーパー価格(東京23区内)を含んでいる。

・コンビニ/豆腐3個パック…98〜127円   
・スーパー/豆腐3個パック…105〜117円 

・コンビニ/納豆3個パック…95〜108円
・スーパー/納豆3個パック…73〜106円

この比較を見る限り、必ずしもコンビニが節約に反するほど高いわけではないとわかる。しかも分量も異なっていて、あるスーパーの納豆は1パックが40g、コンビニは45〜50gだった。コンビニのほうが良心的な商品もあるとは驚きだ。

ハム・ソーセージ対決はノーサイド

次に、今や値上げの常連となった加工品を見てみる。まずはちくわ。

・コンビニ/ちくわ…127〜171円
・スーパー/ちくわ…105〜150円

こちらもコンビニ・スーパーとも4本入りと5本入りが混在しているので、正確なジャッジは難しいが、若干スーパーが安いと言えそうか。

次はハム・ソーセージ。しかし、ここで問題が起きた。コンビニのハム・ソーセージ・ベーコン類は5枚入りなどの少量パックが主だからだ。ファミリー層をメイン客に想定するスーパーでは、少量パックもあるにはあるが逆に価格は高めとなる。つまり、少量だけあればいいというときにはコンビニ、通常使いではスーパーというのが正しい買い物方法だろう。残念ながら価格比較はお休みし、コンビニだけを入れておく。

・コンビニ/ロースハム(4枚入り)…75〜90円
・コンビニ/ベーコン(5枚入り・34〜37g)…87〜95円 
・コンビニ/あらびきソーセージ(97g)…148〜151円

以前に、少額だけ残ったスマホ決済残高を使い切ろうと、100円以下で買えるものを探す記事を書いたことがあるが(「1円で買えるものは?スマホの残高を使い切る秘策」)、コンビニによってはハムやベーコンが買えるということだ(ただしセブンには同じ量の商品はなかった)。手元のスマホに使い切りたい100円程度の残高が残っているときは、コンビニに行ってハムを買うとしよう。

次は、今年価格が急騰した卵。コンビニで買ってもあまり変わらないのではという気がする。店頭価格はこうだった。

コンビニ/卵10個入り…318〜368円
スーパー/卵10個入り…300〜322円

どっちも高い! いまだに300円以上する。しかも、スーパーの卵は店によって扱う種類も価格もさまざまで、最も安い価格を引っ張ったものの比較が難しかった。コンビニの卵はそれほど価格が変動しないので、卵が得意なスーパーを見つければもっと安く買えるかもしれない。一消費者として、早く価格が落ち着いてくれることを望む。

ついで牛乳。

・コンビニ/牛乳1ℓ…218〜230円
・スーパー/牛乳1ℓ…235〜236円

コンビニが安い場合があるのは、メーカーやブランドの差といっていい。コンビニ牛乳はPBだが、スーパーのほうはPB品がない店ではメーカー品となるため、価格で負けてしまったのだろう。とはいえ、スーパーの特売チラシ価格よりも安いときがあるという事実は、コンビニ=絶対高とは言えない好例ではないか。

夏と言えばそうめん。麵とめんつゆで勝負

猛暑の友といえば、そうめん。消費量も半端ないところだが、こちらの価格はどうだろうか?

コンビニPBを調べたところ、1袋184〜213円というところ。スーパーでは1袋199〜214円と似たような値段なのだが、実は分量が違う。300g入りと400g入りを売値だけで比べるのはさすがに不公平のため、100g当たりの価格で比較してみた。

・コンビニ/そうめん100g当たり…約51〜67円
・スーパー/そうめん100g当たり…約33〜54円

これはスーパーが優位と言ってよさそうだ。ちなみに、コンビニのそうめんは300〜360g入りがメインに対し、スーパーは400〜600gもある(比較に使ったのは最もリーズナブルな価格のもので、三輪そうめん等のブランド品ではない)。ちなみに、600g入りはイオンのPBであるトップバリュブランドで、こんなに入っているのに価格は200円程度だった。

次に、めんつゆ。スーパーには1ℓタイプもあるが、コンビニとそろえて500mlタイプで比較している。

・コンビニ/めんつゆ(500ml)…181〜203円
・スーパー/めんつゆ(500ml)…204〜214円

なんと、こっちはコンビニが安いとの結果に。ただし、スーパーによっては1ℓボトルが200円程度の特価になっている場合もあるので、家庭の消費量によってオトク度は変わってくる。めんつゆを調味料としても消費するなら、スーパーで買うほうがオトクだ。

ついでに、マヨネーズ、ケチャップ、ソース等の調味料も調べてみたが、こちらも分量がバラバラで一律の比較は難しかった。コンビニのマヨネーズは250〜310g入りで、スーパーだと400〜450gが売れ筋サイズとなるため、300gくらいのサイズだと逆にコンビニより高くなってしまうからだ。

ケチャップも、スーパーは500g入りで、コンビニはセブンには500gがあったが、ほかでは見つからなかった(ただし、セブンのケチャップ価格はスーパーと肩を並べる)。ソースについても、コンビニは300ml入り、スーパーは500ml入りと比較が難しい結果になった。とはいえ、コンビニがバカ高いかといえばそうでもないので、参考までに価格だけをあげておく。

・コンビニ/マヨネーズ…198〜250円
・コンビニ/ケチャップ…149〜185円
・コンビニ/ソース(ウスター、中濃、とんかつ用)…180〜255円

200円を切る価格なら高いとは言えないのでは。筆者の家では、これらの使用頻度が高くないので、大きなサイズを買うと余ってしまう。スーパーサイズでは多いと感じる家庭は、コンビニで買うほうがムダがないだろう。

コンビニ食品では節約にならない、とは言えない

冒頭に書いたように「コンビニは高い。だから食品を買うのは節約に反する」という声はまだ多いようだ。しかし、それは少し古い常識だと思う。日配品にしろ、調味料にしろ、PBはかなりリーズナブルな価格設定だ。前に冷凍食品について調べたこともあるが、コンビニPBの中にはスーパーより安いものも多かった。

その理由は品ぞろえの違いであり、メーカー品ばかりを扱っているスーパーだったり、買いたいのが少量サイズだったりすると、コンビニのほうが優位になるのだ。家族構成によって食品の購入量は異なるのだから、ものによってはコンビニサイズを買うことで食費を抑えることは可能だ。

いやいや、うちの近所のスーパーのほうが断然安いよ、という声は当然あるだろう。生鮮食品の扱いがないコンビニでは買い物の用が足りないのも現実だ。ただし、「思ったよりコンビニ食品は高くない」という事実は頭の片隅に入れておきたい。


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(松崎 のり子 : 消費経済ジャーナリスト)