JR北海道が、2022年3月に発生した福島県沖地震で被災して廃車となった新幹線車両を再利用しようとしています。どのように活用するのでしょうか。

福島県沖地震で脱線、損傷して廃車に

 2022年3月に発生した福島県沖地震で、東北新幹線は大きな被害を受けました。福島〜白石蔵王間では、車両の脱線事故が発生。脱線した列車は、JR北海道の「H5系」10両とJR東日本の「E6系」7両を連結した編成で、約半月かけて線路に戻して白石蔵王駅へ収容されました。


H5系(画像:写真AC)。

 しかし車体の歪みや台車部品の曲がり、モーターの破損などが確認されたことから、登録抹消を意味する「廃車」扱いとなっています。当該のH5系H2編成は2014年に新造されたもので、東北・北海道新幹線での活躍は約8年という短さでした。
 
 この廃車となったH5系、実はJR北海道は全車解体せず、有効活用しようとしています。

 JR北海道 広報部によると、被災したH5系は仙台に運ばれ、そこで10両編成のうち4両(5、6、7、8号車)については、座席やカーテンなどを取り外したあと、解体済み。残った6両(1、2、3、4、9、10号車)は、北海道新幹線の車両基地である「函館新幹線総合車両所」に運ばれ、新たな6両編成として再組成し、留め置かれているそうです。

「6両編成のH5系」何に使われる?

 営業運転時にはあり得なかった「6両編成のH5系」が生まれた形ですが、今後どのような「第二の人生」を歩むのでしょうか。引き続きJR北海道に尋ねてみました。

――この6両編成のH5系は、今後何に使われるのでしょうか。
 
 現在、どのように活用するかを検討しており、乗務員養成や検修社員養成、訓練など、社員教育用として使用する予定です。

――再び本線上で姿を見られることはあるのでしょうか。
 
 車両基地内を低速で走行することは可能ですが、本線上の走行については、列車として必要な処置は行わないため、不可能です。
 
――今回、H5系が廃車となったことで、車両数が減少していますが、どのようにして運行本数を維持しているのでしょうか。

 運行に影響が無いよう、必要に応じて、性能など基本的な仕様が同じであるJR東日本の「E5系」を借用しています。なお代替車両の新造予定はありません。
 
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 旅客用の運用から外れた後も、無駄にせずしっかりと活用される新幹線車両。短くなったH5系はあくまで非走行用ですが、もしかしたら「車両基地イベント」などでお目にかかる機会があるかもしれません。