都営地下鉄のホームにある最新の列車案内板は、情報更新時に画面が「クルン」と回る仕組みで、かつての「パタパタ」を彷彿とさせます。

液晶が「ほとんどアナログ」になりつつある時代

 都営地下鉄のホームに掲げられている「次に来る列車の案内装置」が、液晶画面の新しいものへ更新が進んでいます。


2022年に使用終了となった京急川崎駅の「パタパタ」列車案内装置(画像:写真AC)。

 この新しい列車案内、電車が発車して情報が更新される際、「各停 白金高輪行き」といった文字がクルンと一回転する演出になっています。

 この“クルン”の動きに懐かしさを覚える人がいるかもしれません。それは、かつて全国でよく見られた、いわゆる「パタパタ」と呼ばれた「フラップ式案内表示装置」です。

 LEDも無い時代、列車案内の板を上半分と下半分に分割し、パタパタとめくっていくことで大量の案内情報をさばいていたのです。京急でも2022年2月まで京急川崎駅で現役でしたが、惜しくも引退となってしまいました。

 さて、21世紀に入って方向幕も列車案内もLED化が進み、粗いドットで文字情報が表示されるように。アナログならではの独特のフォントが醸し出す「鉄道情緒」が失われてしまったという声も聞かれます。

 しかし、時代はさらに進み、液晶画面の技術が進歩し、いまやドットがわからないほどきめ細かになりました。普及が進んで価格が下がると、LEDで表示されていたものが次々と液晶画面に置き換わっていったのです。

 そこで誕生した液晶画面の「方向幕」「列車案内」は、もはやアナログで作ったものと違いが無いほど、滑らかな文字で表示されています。かつての「鉄道情緒」は、技術の進歩で蘇りつつあるのかもしれません。

 この一回転のアニメーションはやはり、「パタパタ」を意識して採用したのでしょうか。東京都交通局にたずねてみたところ、「特定の理由・背景はありません」との回答でした。

【動画】懐かしの「パタパタ」っぽい!? 都営地下鉄の案内装置