消防車のひとつ「はしご車」のはしごは、どれくらい長く伸びるのでしょうか。高さ60mを超えるようなタワーマンションの火災時などはどうするのでしょうか。

はしご車はどれくらい長く伸びるのか。

 ビルなどの高い場所での消火や救助活動で重用される消防車の「はしご車」。東京消防庁によると、日本で初めて導入されたのは1903年といいます。1901年にベルリンで開催された万国消防博覧会に出席した消防署長の提言により、日本に木鉄混合のはしご車が導入されることになりました。


はしご車のイメージ(画像:写真AC)。

 当時のはしご車には「バスケット」と呼ばれるかごが付いていなかったので、はしごをよじ登って先端までたどり着かないと作業ができなかったようです。もちろん今では自動ではしごやバスケットを上げることができますが、どれくらいの長さまで伸びるのでしょうか。

 はしご車のはしごの長さは、30mのものが最も多いといいます。届く階数は一般的な建物の10階前後です。消防署によっては30mより長いはしご車もあり、消防車両トップメーカーの「モリタ」は国内最長54mのはしご車をラインアップしています。

 そうはいっても、20階以上が目安とされるタワーマンションは一般的に高さ60m以上、都市部では高さ200mを超えるものもあります。はしごよりもはるかに高い高層建築の高所で火災が発生した場合はどうしているのでしょうか。

 現役の消防士に話を聞くと、「30m以上の高さの建物には“非常用エレベーター”が設置されているので大丈夫」と答えてくれました。「非常用エレベーター」と聞くと、避難用のエレベータを想像するかもしれませんが、実際は消防隊が乗り込んで火災箇所に向かうために作られたエレベーターです。

 炎や煙が回らないように、非常用と一般用エレベーターの間は耐火構造の壁などで区画されているほか、一定以上の高さの建物には放水口が設置されており、建物内部から消火活動ができるようになっています。また、消防当局は超高層建築物での消防活動のため、屋上にヘリポートなどの設置を指導しています。