「絶景の秘境ローカル線」JR只見線に「オリジナル観光列車」導入検討へ 改造元の車両確保へ調査
オリジナルの観光列車導入で「海の五能線」に並ぶ「山の只見線」を目指すそう。
只見線利活用推進協議会が2027年度までの利活用計画を策定
福島県や観光団体などで構成する「只見線利活用推進協議会」は2023年4月末、第二期となる2027年度までの只見線利活用計画を策定しました。その中で、オリジナル観光列車を導入し、定期運行をめざすとしています。
只見線の車両(画像:写真AC)。
只見線は、福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶ135.2キロの鉄道路線。絶景の秘境を走るJR東日本のローカル線として知られます。近年では海外からも注目されており、特に台湾やタイを中心としたアジア圏から多くの観光客が訪れていました。
2011年7月に発生した豪雨で只見〜会津川口間が長らく不通となっていましたが、2022年10月に全線で運転を再開。運行主体と施設管理主体を分離し、施設管理を福島県に移管する「上下分離方式」で再スタートを切っています。
只見線利活用計画では、同線の目指すべき姿を「日本一の地方創生路線」に設定。利用促進を図る複数の重点プロジェクトを進めるとしています。
その一つとなる「目指せ海の五能線、山の只見線プロジェクト」には、「会津地域ならではの企画列車を運行し、将来的にはJR五能線リゾートしらかみのような只見線オリジナルの観光列車の定期運行を目指す」方針が盛り込まれました。
具体的には、県が観光列車のタイプや運行形態 (運行方法、運行区間、ダイヤ等)、サービス、列車の仕様などについて検討を実施。いっぽうJR東日本は、観光列車として改装を行う車両の確保に向けて調査するとしています。
JR東日本では、五能線の「リゾートしらかみ」や大湊線・津軽線の「リゾートあすなろ」など、各地で観光列車「のってたのしい列車」を運行していますが、屈指の絶景路線である只見線には、意外にもそうした路線専属の列車は導入されていません。なお臨時列車としては、「びゅうコースター風っこ」「只見海里」などイベント列車の運行実績があります。
今回の取組みにより、将来的に「海の五能線」に並ぶ「山の只見線」として、世界から注目されるエリアを目指すとしています。只見線利活用計画にはこのほか、「快速」の運行を視野に入れたダイヤ検討、只見線専用のフリー切符の導入可能性検討なども盛り込まれています。