こんなん聞いたことがない!

2002年8月より運航開始

 2002年8月より約20年、JAL(日本航空)で運用されたボーイング777-200ER初号機「JA701J」が2023年5月16日午後20時過ぎ、売却にともなうフェリーフライト(回送運航)のため、羽田空港を出発しました。しかし、この「ラストフライト」では、国内初となる企画が組み込まれています。売却のための回送便にも関わらず、乗客が乗っているのです。


ロサンゼルスに向かうJALのボーイング777-200ER「JA701J」退役チャーター便(2023年5月16日、乗りものニュース編集部撮影)。

 JALのボーイング777-200ERは、この「JA701J」を皮切りに、導入以来長らく国際線をメインで担当。近年では国内線機材に転換され、おもに羽田発着の国内幹線などへ投入されていました。同社では777-200ERを、2023年度上期中に退役させる方針を決定済み。現在運用されている777-200ERは1機のみで、同機の退役をもって、JAL国内線で長年主力機のひとつだったボーイング777シリーズが姿を消すことになります。

 この「退役機の米国カリフォルニアまでの国際フェリーフライトに搭乗」する特別便には47人の乗客が搭乗します。行き先はカリフォルニア州のロサンゼルス国際空港。JALによるとこの企画は「777-200ER型機を深く愛し、共にフライトを支えてきた当社運航チームと運航乗務員が力を結集し、これまでご愛顧いただいたJALファンの皆さまも参加できる『最高の送り出し』を本気で考えたツアーとなります」とのこと。また、国内線に活躍の場を移していたJA701J号機が、本ツアー限定で国際線の営業運航に復帰するという一面もあります。

「伝説のラストフライト」の内容とは?

 担当者によるとこの企画の実現には1年程度を要し、当初は4人体制から計画が進められたとのこと。「フェリーフライトにお客様を乗ることができるのかというのがもっとも大きな課題だった」といいます。

 フライトもこの日のための特別な内容となっており、ボーイング777を担当するパイロットがこの機の特徴、コックピット内の業務や当日のフライトの様子などを、運航中に解説をします。

 また、アメリカ上空では、米国カリフォルニア州の上空を飛行する特別ルートで運航予定。また、ロサンゼルス到着後のJA701Jも最終的に安置される予定の場所で、かつ航空機の保管先として有名なビクタービルのサザンカリフォルニア・ロジスティックス空港の上空ではローパス(低空飛行)を実施し、世界中から集まった航空機が整然と砂漠に眠る姿を、上空から案内する予定です。担当者はこの飛行計画の設定について、「早い段階で地上が見えるようにしながら、どの程度まで高度を降ろせるか」というところがポイントと話します。

 なお、このフライトに際し、旅客がJA701Jのエンジンにメッセージを書き込めるようなサプライズがあったほか、前方ドアに特別ステッカーも。機内のヘッドレストも、この日のための特別仕様のものが採用されています。