中戦車とはいうが海外では軽戦車扱い。

2023年中の導入を目指す

 アルゼンチン国防省は現地時間の2023年5月11日、アルゼンチン中戦車(TAM)のアップデート車両であるTAM 2CA2の射撃及び調整テストを実施し、ホルヘ・タイアナ国防相が視察したと発表しました。


ホルヘ・タイアナ国防相とTAM(画像:アルゼンチン国防省)。

 テストは同国のマグダレナ戦車射撃場で行われ、TAMの近代化をアピールしました。アルゼンチン陸軍では、第1段階として74両のTAM近代化を行い、2023年中に数両を部隊に導入したいと考えているようです。タイアナ国防相は「我々が設定した期限内に近代化が進んでいることを非常に嬉しく思っています」と述べました。

 TAM 2CA2への近代化では、高度なデジタル火器管制システムの導入や、砲塔の動力システムを油圧式から電子式に変更するなどの改修が行われます。アルゼンチン国防省はこのアップデートにより導入した技術に関して「世界の最新鋭戦車に採用されている技術と同じ」としています。

 そもそもTAMはアルゼンチンの国情を強く反映した戦車になっています。元々はM4「シャーマン」中戦車の後継として考えられましたが、そのときの他国製戦車は軒並み重量が40tを超えていたため、アルゼンチン国内の未発達な鉄道網や道路事情では輸送が困難として、ドイツのマルダー歩兵戦闘車を基に同車両を開発し、1979年から配備した経緯があります。中戦車と表記されていますが、軽戦車扱いされることも多い車両です。

 2000年代半ばから老朽化が指摘されており、ドイツの「レオパルド2A4」や、イギリスの「チェレンジャー2」、ロシアのT-90などの近代的な主力戦車の導入が検討されましたが、長らく続く国内の財政難や、フォークランド戦争以来のイギリスの禁輸措置などの影響で断念。TAMを近代化する計画となりました。