5月13日はトム・クルーズ主演で大ヒットした映画『トップガン』の初公開日に近いということで、アメリカではイベントなどが行われ「トップガンデー」と言われています。その作品を意識し、日本で公開された映画があります。

航空自衛隊全面協力なのでF-15のシーンは良し!

 5月13日は「トップガンの日」とされます。トム・クルーズ主演で1986年に公開され大ヒットした映画『トップガン』の初公開日に近い5月13日を、アメリカのファンがトップガンデーとして呼びかけたのが始まりとされ、毎年ファンが盛り上がる日となっています。なお日本では「トップガンの日」として2020年に日本記念日協会が認定・登録しています。


映画『ベストガイ』で使用された機体と同種のF-15戦闘機(画像:航空自衛隊)。

 同作の続編である『トップガン マーヴェリック』が2022年5月に公開されたのも記憶も新しいところですが、かつて日本にも“和製トップガン”を目指して作られた映画がありました。織田裕二主演で1990年に公開された『ベストガイ』です。

 同作は航空自衛隊のF-15戦闘機乗り、通称「イーグルドライバー」にスポット当てた作品ではありますが、劇中のセリフで「トップガンの上の称号としてベストガイを設置する」と言っているように、明らかに『トップガン』超えを目指して作られた作品です。

 内容はというと……。そもそも航空自衛隊の設定で、アメリカ海軍のパイロット育成機関のような話を作ろうと、変に意識しすぎた点が目立っています。航空機用語で言うならバーディゴ(空間識失調)に陥り迷走しているシーンが所々で見られます。2022年に『トップガン マーヴェリック』の公開に合わせ、動画配信サービスの「GYAO!」で『ベストガイ』が無料公開された際は、視聴者レビューの総合評価が星5評価中“星1.7”をたたき出したそうです。

 ただ、同作で抜群に見ごたえのある部分といえば、航空自衛隊の全面協力によるF-15など軍用機の描写でしょう。航空祭などでは安全上の問題でまず見られないであろう、エアインテークや、アフターバーナーのノズルの動きなど、機体の詳細な映像も見ることができ、上空での機動もかなりの迫力です。

 しかし『トップガン』終盤見せ場となっていた“某国”との空戦シーンに関しては、『ベストガイ』にもあるものの、空対空ミサイルや機銃を撃ち合うシーンはなく、威嚇のロックオンをする程度です。そこには日本特有の政治的背景があるのかもしれません。

 また、F-5戦闘機をMIG-28という架空機として描いている本家に対し、同作ではSu-27と思われるシルエットがチラッと登場します。ちなみに、2023年4月末から中国国内で公開されている中国版トップガン『長空之王(大空の王)』は、アメリカと思わしき“某国”を追い詰めるシーンがあるようです。

 本家『トップガン』は空母艦載機の話ですが、2023年5月現在、日本ではいずも型護衛艦の実質的な空母化が進められています。1990年代よりもSFXの技術が向上した昨今、もしかすると空母艦載機パイロットでもう一度『ベストガイ』の続編が作られる可能性が……ないとも言い切れませんね。