50代の夫婦生活。「閉経した私はもう女じゃない?」:セックスレス・良子さんの場合2
日本では6割の夫婦が陥ると言われるセックスレス。今回は「もう女として見てもらえないんだな」と寂しさを噛みしめる50代の主婦・良子さんにお話を伺いました。60歳の夫が急性心筋梗塞に倒れた時期と前後して、良子さん自身の体にも不調が…。今後、迎える老後の夫婦生活についてもお話を伺いました。
「もう女じゃない?」閉経した妻の悩み
前回は、60歳になった夫が急性心筋梗塞に倒れ、救急搬送されたお話をしました。
夫は手術後4日ほどICUにいたものの、経過は順調で一般病棟へ移り、一週間ちょっとの入院を経て無事に退院。後遺症も残らずに回復し、会社にも復帰できました。
しかし、今度は妻である良子さん自身の体に変調が起きたといいます。
●心身共に落ち着かない日々。もはやセックスどころじゃない
夫が取締役になって家のなかがバタバタし始めてから、私自身、なんとなく心も体も落ち着かない感じで過ごしていました。そこに重なった夫の心筋梗塞。退院後も、血管がつまっていないか検査入院することがあり、その都度、不安でいっぱいでした。
医師からは「原因は仕事。心臓が弱いわけではなくて、この年齢だとありがちですが、環境の大きな変化がよくなかった」とも言われ、いろんな意味で腫れ物に触るような雰囲気に。
もはやセックスどころじゃありません。時を同じくして私の生理が来なくなってしまいました。
●PMSがひどくて悩んでいた私
私は若いときから生理が重い体質で、20代の頃には子宮筋腫も見つかっていました。
ピーク時が8cmくらいにまで大きくなってた子宮筋腫。年に1度の人間ドックのたびに、医師からは「10cmを超えたら手術を考えましょうね」と言われながらの経過観察が続いていていました。
子宮筋腫が原因なのかは不明ですが、生理中は頭痛や体のむくみ、そして微熱や倦怠感がひどかったです。じつは、私の母親も同じような症状でずっと悩んでいたのですが「逆にずっとダルかったから、更年期は軽く感じたくらいよ」と話していました。
●更年期の症状にすら気がつかなかった
生理も不順で、2か月くらい来ないことがありました。けれど、このときは半年待っても結局戻らず。あぁ、閉経したんだなと思いました。
夫が入院した時期は私も忙しく、疲れているからフラフラしてるんだくらいに思っていました。今になって思えば、あれは更年期の症状だったかもしれません。それくらい、若いときからのPMSがハードモードだったのです。母親と同じく、更年期は比較的軽めですみました。
●「もう女として見てないでしょ」と本音を夫にぶつけた
夫が退院してすぐの頃は心臓に負担をかけちゃいけないのかなと思い、気遣いのつもりでそういう行為に誘わないでいたのですが、自分も閉経してしまって、夫婦の距離感がなんとなくつかめない時間が流れました。
もう女性の体じゃなくなっちゃったみたいだなと思うと寂しさも。メンタル直撃でした。結果的に私の性欲が薄れていったこともレスの原因になったと思います。
もう夫に女性として見てもらえないままだんだん年を取っていくんだなと、ふと夜中に目が覚めて泣いてしまったこともありました。だれにも相談できないし、どうしていいかわからなかったんですよね。
そんなある日、二人でお酒を飲んでいて、酔った勢いで「もう私のことを女として見てないでしょ」と夫に冗談っぽく本音を打ち明けました。そしたら即座に「そんなことないよ。立派な女性だよ」と言われて、救われた気持ちになりました。
私がけっこう真面目に悩んでいたことを夫は知らないのですが、これ以降も、忘れた頃にふと「愛しているよ」とか「大好きだよ」というセリフを伝えてくれるように。もしかしたら夫なりに完全レスになっている状況を気にしていたのかもしれません。
●性生活はだれかと比べるものではない
まさかこういう形でレスに陥ってしまうなんて、若い頃は想像もしませんでした。けれど、だんだんと夫と暮らす老後の生活も見えてきて、このままでもいいかなと自分のなかで折り合いがつきました。
これがもっと若いときにレスになっていたら、外に目が向いてしまう可能性があるし、危機感を持ったかもしれません。でも、もう私も50代半ば。お互いに関係性が確立している今となっては、話し合いの必要性も感じません。
それに今も一緒にお風呂に入っていて、夫との夫婦仲は良好です。セックスはないけれど、愛し合えていることをちゃんと実感できています。
夫婦の性生活の話は、よその夫婦と比較するようなことではないし、私たちなりに寄り添い合いながら楽しく過ごしていければいいなと思っています。