<壮絶>地下アイドルの実態『一緒にベッドで隠れよう』パワハラやセクハラ、メンバー同士のいじめも…

写真拡大 (全3枚)


テレビでよく見る人気アイドルから地域密着型のローカルアイドルまで…日本のアイドルは多様化している。さまざまなアイドルグループが存在する中で、メジャーデビューせず、ライブハウスやファンとの交流イベントを中心に活動しているのが「地下アイドル」。最近は、SNSや動画配信により、地下アイドルへの認知も広がってきたが、果たしてその実情は?

今回の「テレ東プラス 人生劇場」は、現役地下アイドル・Tさん(仮名)を取材。小柄でパッチリとした目が印象的、どこか女優の広瀬すずを思わせる彼女に、ギャラ事情からハラスメント問題まで、過酷な"地下アイドルの裏側"を聞いた。

一時はよく、物が盗まれたことも…



――まずは、Tさんがアイドルを目指したきっかけから教えてください。

「小さい頃から人前で何かすることが好きで、芸能の世界に憧れがありました。色々なオーディションに応募して、5年前に合格したのが今の事務所です。
芸能のお仕事だけで生活するのが最終的な目標ですが、なんだかとても疲れてしまい、今、事務所を辞めることを考えています」――今の事務所を辞めようと思った一番の理由は?

「プロデュースしてもらいたくて入所しましたが、もう5年目になるのに、全くプロデュースしてもらえなくて…。当初『この段階になったらプロデュースしてやる』と言われていたところまで進みましたが、状況は全く変わりませんでした。
うちの事務所には5つのアイドルグループが存在しますが、私のグループだけ、衣装や楽曲もありません。最初に『売り上げを作れるようになるまでは、何でも自分たちでもやれ』と言われ、頑張った結果、少しずつお客さんがつくようになってきましたが、事務所が関わっていないところで結果を出したことが気にくわなかったのか、何年やっても下っ端扱い。売り上げがある今でも、衣装は自分たちで用意しています。ライブも、事務所が力を入れているグループはいい時間帯に出演できますが、そうじゃないグループは、条件も悪いです」

――当初の約束が全く守られていないのですね。

「そうなんです。事務所内のパワハラが多いので、もう疲れてしまいました。社長やマネージャーを交えた飲み会で、社長が新人の子を強めに叩いたり、キツイ言葉をかけたりするんです。ツッコミ感覚だと思いますが、泣いてしまった子もいます。マネージャーも止めないので、先輩アイドルが社長をなだめ、新人の子を守っていました。社長は普段から口調が強く、傲慢なタイプ。セクハラもするので、社長が来る飲み会が嫌で辞める子もいます」――セクハラというのは、具体的にどんなことですか?

「体を触られたり、露骨にベッドに誘われたりすることです。私は事務所の寮に入っていますが、同室の子を驚かせるために、『一緒にベッドで隠れよう』と…魂胆が見え見えですよね(笑)。
みんな頑張って断ろうとしますが、一線越えてしまった子もいると思います。社長とそういう関係にある子は、センターになれたり、歌の割り振りが多くなったりするというのは実際にあります。そういう子って、見た目は気弱で断れなさそうな雰囲気なんですけど、実は気が強く、戦略家な一面があるんだと思います」

――なるほど。戦略家で逆に社長を利用している側面もありそうだと。事務所内の上下関係は厳しいのでしょうか。

「上下関係はきっちりしています。先輩への挨拶も厳しいし、新人はスタッフと同じくらい朝早く現場に入って、雑務を手伝います。新人という立場であるのをいいことに、何時間も無償で働かされるので、それが原因で辞めた子もいます。
私はそれでも『続けていけば、いつか自分にもチャンスがある」と思って5年間やってきました。しかし結局、社長のお気に入りグループしか目をかけてもらえず、私たちはいつまでたっても引き立て役。これからもずっとこのままだろうなと思い、辞めることを決意しました」

――本当に大変だったんですね…。改めて、根性なしには生き残れない世界なんだなと。
さらにこんなことを聞いて恐縮なのですが、グループ内でいじめなんかもあったりしましたか?

「特定のメンバーを仲間はずれにする、口をきかない、わざと孤立させるなど、絵に描いたようないじめをしているグループはありました。いじめをする理由はさまざまですが、売り上げがグッと上がった子は標的になりやすいです。
以前、事務所内で盗難事件が起きた時、いじめのターゲットにされていた子が疑われてしまいました。いじめの主犯格がマネージャーに『あの子が怪しい』と告げ口したんですけど、結果的にその子は無実。あーいじめだったんだと思いました」――事務所内での盗難もよくあるのでしょうか。

「はい。私も一時期よく物を盗まれましたが、犯人は同じグループのメンバーでした。アクセサリーがなくなることが多かったんですけど、私は昔から物をなくすことが多かったので、自分のせいだと思い込んでいました。でも他のメンバーが、たまたまその子が同じアクセサリーを着けているのを目撃して…。
私のものだという確証はありませんでしたが、疑うきっかけになったのは、その子がTwitterの裏アカウントで私の悪口を書いていたから。エゴサーチして見つけましたが、問い詰めてスマホをチェックしたところ、やはり本人でした。それ以外にも、その子に、チェキの売り上げを書き換えられたこともありました。給料に直接関わってくるので、死活問題です」

――うわっ、壮絶ですね…。売れようとすると、周りが見えなくなってしまうのかもしれませんね。チェキなどの売り上げの仕組みについても、詳しく教えてください。

「"チェキ撮影"は地下アイドルの定番イベントで、ほとんどの会場でライブ後に行われています。
相場は1枚500〜2000円ほどで、私たちの場合、1000円なら1分間会話してその場でお渡し。1500円なら3分間会話し、一度チェキを持ち帰って、デコレーションしてから次のライブで渡したり、郵送したりします。
チェキのバック率は30%ほどで、一定の枚数が売れたら歩合も多くなりますが、ハードルはかなり高いです」

――もらえるのはチェキのバックだけで、チケット代などは給料に反映されないのでしょうか?

「チケット代やグッズの売り上げは全て運営側に流れるので、私たちに入ってくるのは基本的にチェキのバックのみです。なので、お客さんをあまり呼べない子は、1カ月の給料が5万円を切っていると思います。逆にもっと稼いでいる子もいて、グループ内でもかなり差があります。
大事なのは、いかに太いお客さんをゲットするか。アイドル活動をある程度続けていくと、自分を激推ししてくれるお客さん、通称TO(トップオタク)がつきます。TOはライブにたくさん来てお金を使ってくれるので、一番の味方ではありますが、逆に新規のファンがつきにくくなるというデメリットも。TOに遠慮して、新規で推してくれる人が減ってしまうので、ファンの全体数を増やすことも大事です。
あと、TOになってくれるような人は一癖ある人が多いので、いいオタクであるように、アイドル側が教育しなければいけません。推す気持ちをこじらせてしまうと危ないし、『これだけやったんだから』と見返りを求めて逆上するタイプもいるので…」


――なるほど…。実際に危ない目に遭ったことはありますか?

「私はありませんが、ストーカー被害や、プレゼントの中に盗聴器が入っていたと聞いたことがあります。差し入れとして現金や金券をプレゼントするTOもいて、結構な額を貢ぐので、推しのために引っ越した、家を売ったという話も。そういう人は推しにお金を使うのが好きなので、配信イベントの投げ銭で、100万円使ったという話も聞いたこともあります。
投げ銭の場合、チケット代と違って何割かはそのアイドルに還元されるのでいいと思いますが、同じ金額なら、チェキの方がバック率は高いですね。
ライブをたくさんやれば、お客さんはお金を落としてくれますが、正直言うと『搾り取っている』という感覚で心苦しい時もあります。私たちもこれだけ必死にやっているのだから、事務所にも協力してほしいし道を作ってほしいのですが、それをやってもらえないのが辛いですね」