POP思想家/イラストレーターの水野しず氏
POP思想家/イラストレーターの水野しず氏が7日、論考集『親切人間論』の発売記念イベントを都内で開いた。

自身初の論考集は、すこぶる笑えて、思わず唸る哲学書で、講談社から発売された。

同書のタイトル・親切人間論について「私以外に誰も考えてくれないが、私以外にとっても根本的かつ致命的と思われる問題について取り上げていて『少しダサいよりも、もの凄くオシャレな方が面白し、少しふざけているよりも実は真面目なほうが劇的に楽しい』という態度で、真剣に考え抜いた末の論考です」と事前に語っている。

今日の合同インタビューの場所で、”親切人間論”について、改めて質問したところ「私は、世の中、詐欺が大ブームだと思っていて、一番の親切を伝えたいと思って書きました。そう流行っていると思う"詐欺"は、違法な詐欺ではなくて、倫理的にも問題はないのですが、それをよく考えてみると、人の道を外れているんじゃないかという物事です。その物事や行いが、社会にルーティンのように組み込まれていると感じています」と思いを語った。

「そこで私は、網の中を何とか、かいくぐって、今日や明日、明後日、明々後日…と、自分の意識を数珠つなぎのようにして、何とか命をつないでいる。何か目的を自分の中に作って、回収していく、そんな生き方を強いられるような気がしています。でも私は、それらの考えは、凄く可笑しいことだと思います。そんな範囲の中で生きていくことは、全然、必要無いと思っています。そういう力学に対抗できるものは、何かないか、凄く真剣に考えぬいた結果、辿り着いたのが、親切だったのです。親切しか、この、おぞましさに打ち勝てるものはないんじゃないか、そう胸を打たれたものがございまして、この本を書きました」と自身の捉え方と、強くした思いを表していた。


▼ 論考集『親切人間論』を手にした、水野しず氏