WBC準決勝で先発した侍ジャパンの佐々木朗希【写真:Getty Images】

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メキシコ戦で「Sasaki」がトレンド1位になる注目度

 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は20日(日本時間21日)、米マイアミのローンデポ・パークで準決勝が行われ、日本はメキシコに6-5で逆転サヨナラ勝ちした。先発の佐々木朗希投手(ロッテ)は初回に164キロを計測するなど圧巻の立ち上がりも、4回に手痛い3ランを被弾。降板後はベンチから声援を送り続けた怪物右腕は「絶対勝ってくれると信じていた」と劇的勝利を喜んだ。

「バッター陣に助けられて、最高です」

 試合後の取材に応じた令和の怪物・佐々木の声は、かすかに枯れていた。

 現地メディアやファンから大きな関心を集めた米国初登板。立ち上がりは圧巻だった。1番アロサレーナへの第1球から100マイル(約161キロ)を計測。追い込んだ5球目はど真ん中への速球だったが、バットは空を切って三振。102マイル(約164キロ)の場内表示に、ローンデポ・パークは大歓声に包まれた。

 鋭い高速フォークも駆使し、初回は3者凡退の2奪三振。気合の咆哮も見せたが、4回に不運から失点した。2死後、テレスの打席で内野手が一塁寄りに守るシフトを敷いたが、広く空いた三塁線への打球がヒットに。続くパレデスも打ち取った打球だったが、三塁後方にポトリと落ちた。

 続くウリアスへの2球目フォークが抜け、真ん中付近に入ってしまった。左翼席への先制3ラン。うなだれた佐々木はこの回でマウンドを降りた。4回5安打3失点。「(ホームランの場面は)配球は間違っていなかった。投げ切れなかったところが反省点」と悔やんだ。

降板後はベンチで声援「打ってくれると思って」

 ただ、昨季ロッテで完全試合も成し遂げた怪物右腕は確かに米国に衝撃を与えていた。登板中から、将来に期待する米メディアが続々と反応していたのだ。

 ツイッターでは、米スポーツメディア「バースツールスポーツ」の野球専門アカウントは「見たことないほど楽々と102マイルを投げる」と紹介し、米専門誌「ベースボール・アメリカ」のJJ・クーパー記者も「ササキの1回の投球を説明しろと聞かれたら、自分なら、全盛期のデグロムのもう少しエグいレベルだと応える」などと最大級に評価。アメリカのトレンドで「Sasaki」が1位になるなど、強烈なインパクトを残した。

 マウンドを降りた怪物は、21歳の好青年に戻った。侍ベンチの最前列に陣取って、声を張り上げて応援。「打ってくれると思って見ていた」。村上宗隆の逆転サヨナラ打に歓喜した後には山本由伸とともに、グラウンド上で取材に応じていたヒーローにドリンクを頭からぶっかけるお茶目な一面も見せた。

「雰囲気も日本と違うし、バッターもレベル高い中で投げられていい経験になった。相手は1巡目からいいアプローチをしてきたし、2巡目で結構甘いところに行ってしまった。結果的に打たれてしまったけれど、自分のパフォーマンスはある程度発揮できたと思う」

 3大会ぶり3度目の優勝をかけて戦う21日(同22日)の決勝・米国戦は「精一杯、応援したい」とサポートに徹する。豪華投手陣にバトンを託し、怪物としてのWBCは一足先に終わった。後は若きサムライらしく、今日のようにベンチから声を届ける。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)