「どのディビジョンでも『自分のサッカーで勝ち抜く』というのは一緒。資金不足や選手集めの苦労といったJ3のマイナス面を気にして『やっぱりJ1じゃないと難しい』と考える人もいるかもしれないけど、僕は代表に携わった経験もあって『こうじゃなきゃダメ』という考え方は持っていない。他の監督も同じだと思います。こうしてJ3に多士済々が集まるようになったのも、リーグ30年の成果の1つ。その意義は大きいですね」と前向きにコメントしていた。
 
 中山、戸田、いわてグルージャ盛岡の松原良香といった知名度のある指揮官たちがあえて同カテゴリーからスタートしようと思うのも、「ゼロから自分の色を出しながらチーム作りができる」というメリットがあるからだろう。野心ある指導者が個性ある多種多彩なサッカーを構築し、魅力的な戦いを見せてくれれば、J3は盛り上がるし、Jリーグ自体も活性化する。

 2016年に当時J3の大分トリニータの監督に就任し、3年でJ1まで引き上げた片野坂知宏監督のようなサクセスストーリーも期待できる。片野坂監督は2018年にJ1優秀監督賞を受賞。2021年には天皇杯準優勝まで達成している。

 2022年のガンバ大阪では、途中解任の憂き目に遭ったが、現在は第2次森保ジャパンのコーチ就任も噂されるほどの存在になっている。そういった成功ロードを歩みたいと考える指揮官も皆無ではないだろう。
 
 とはいえ、このリーグで勝てなければ、指導者としての成功が遠のくリスクも否定できない。特にW杯レジェンドの中山、戸田の両監督はここから最高峰リーグに駆け上がりたいという思いもあるはず。W杯経験者の指導者がJの舞台で成功した例がまだ少ないだけに、彼らには目覚ましい成果を残し、近い将来には代表を担ってほしいと願う人々も少なくない。そういった人々の期待に応えられるのか。そこは注視していくべきだ。

 ただ、予算規模ではJ2上位同等だった松本が足踏み状態を強いられ、J2から降格した相模原や愛媛、ギラヴァンツ北九州が下位に沈み、逆にJFLから昇格したばかりのいわきFCがJ3優勝・J2昇格を果たした昨季を見ても、このリーグは本当に一筋縄ではいかない。

 先読みの難しいJ3をリードするのは一体、どの監督なのか。3月4日、5日の開幕が今から待ち遠しい限りだ。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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