宿題を代わりにやってもらうことや、異性の口説き方を教えてもらうこともできるレベルに精度の高い対話型AI「ChatGPT」のAPIをベースに、法律に特化したAI弁護士を作り上げ、法廷で弁論させることを計画する企業が登場しました。

DoNotPay Offers $1M for Its AI to Argue Before Supreme Court

https://gizmodo.com/donotpay-ai-offer-lawyer-1-million-supreme-court-airpod-1849964761

AI弁護士の作成を目指すのは、AIによる対話型の法律相談サービスを開発する「DoNotPay」です。DoNotPayは「世界初のロボット弁護士」と呼ばれており、駐車違反切符の取り消しの訴えや離婚調停合意書の作成補助などを弁護士の代わりに行ってくれます。2016年には、サービス開始から21カ月で25万件の駐車違反取り消しの訴えを受領し、そのうち16万件で訴えを認めさせることに成功したと伝えられています。

この経験を基に、DoNotPayのCEOであるジョシュア・ブラウダー氏は今後アメリカの最高裁判所で行われる予定の裁判にDoNotPayを参加させることを表明しました。実際に出廷するのは人間の弁護士ですが、弁護士はAirPodsを装着し、DoNotPayが行う主張を繰り返すだけとのこと。ブラウダー氏は「実現のためには100万ドル(約1億3000万円)支払ってもいい」と豪語しています。





テクノロジー系メディアのGizmodoはこの主張に懐疑的な見方を示しており、「最高裁での弁論と交通違反の取り締まりは明らかに全く異なるものです。裁判所のウェブサイトによると会期中の最高裁判所への電子機器の持ち込みは禁止されているため、技術的な観点からAirPodsが最高裁で認められるかどうかは不明です」と意見しました。

これに反論するように、ブラウダー氏は「合理的な便宜を図るために裁判所の電子機器ポリシーを免除することができるアクセシビリティルールがあります」とGizmodoに伝え、「最高裁の訴訟で提携することに興味を持つ弁護士からは連絡がありませんでしたが、連邦裁判所と控訴裁判所の訴訟に関わる複数の弁護士からは非常に真剣な申し出を受けました。人々が自分の法的権利にアクセスするためにテクノロジーを利用することは重要だと思います。この試みを行うことで、法廷でのAIを認めるという重要なメッセージを送ることになります」と語ったそうです。