歩行者妨害の罰則強化へ 道交条例改正案、立法院交通委で来週審査 台湾

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(台北中央社)海外メディアで台湾の道路交通環境の悪さが指摘されたのを受け、国内で交通安全への関心が高まっている。王国材(おうこくざい)交通部長(交通相)は13日、歩行者妨害に対する罰則強化を盛り込んだ道路交通管理処罰条例改正案が立法院(国会)交通委員会で来週審査されると明らかにした。

米CNNテレビは7日、台湾の交通環境を「生き地獄」と形容し、歩行者が危険にさらされやすい現状を指摘。海外からの観光客を呼び戻すためには交通安全の改善にまず取り込むべきだと報じた。昨年の台湾の人口10万人当たりの交通事故死者数は12.67人に上り、これは日本の約6倍、英国の約5倍の多さだとデータも交えて紹介した。

王氏は交通部の交通安全シンポジウムに出席した際に取材に応じた。台湾の交通環境について、過去の都市計画では道路建設は自動車を中心に考えていたとした上で、近年は歩行者の需要がある場所には歩行者道を設けたり、線を引くなどし、改善を図ってきたと言及。だが、改善状況は不十分だとの見方を示し、現在の比較的深刻な問題は、既存道路で歩行者道が途切れ途切れになることや、騎楼(連なる建物の2階部分が連続して張り出し、その下を歩道としたもの)が占拠されている状況、運転者が歩行者の通行の権利を尊重しないことだと指摘した。

歩行者優先の徹底を図るため、交通部は今年4月、道路交通管理処罰条例改正案を提出。現行では、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるのに運転者が一時停止して道を譲らない場合、1200台湾元(約5350円)以上、3600元(約1万6000円)以下の過料が科される。改正法案では、過料を6000元(約2万6700円)以下に引き上げる内容が盛り込まれた。

王氏は改正法案について、立法院交通委員会で来週、審査が行われると説明した。

(汪淑芬/編集:名切千絵)