この記事をまとめると

■三菱自動車初のDOHCエンジンを搭載して1970年にコルトギャランGTO MRが登場した

■1973年には2リッターSOHCエンジン搭載のコルトギャランGTO GS-Rへとマイチェン

■グレード名である「MR」「GS-R」は伝統のグレード名としてランエボにも採用された

ブランド初のDOHCエンジンと5MTを採用したスポーツカー

 どことなくアメリカンな雰囲気が漂う1970年代の三菱車。そのなかでも1970年に登場した「コルトギャランGTO」は、アメリカンマッスルカーの雰囲気をコンパクトなボディサイズのクルマにうまくデフォルメしたモデルとして、現在でも見劣りしない魅力を放ち続けている。

 そんなコルトギャランGTOは、4ドアセダンであるコルトギャランのプラットフォームを使用して作られており、コルトギャランよりも幅広かつ背の低いスタイルはボディサイズ以上に大きく見せるデザインとなっていた。

 もちろんスポーティなのは見た目だけではなく、トップグレードの「MR」には、三菱の市販車としては初めてのDOHCエンジン(1.6リッター)と、こちらも三菱の市販車としては初の5速MTを採用し、そのイメージにそぐわない性能を手に入れていたのだった。

 ちなみに「MR」とは「MITSUBISHI RACING」の頭文字を採ったものであり、近年ではランサーエボリューションにも採用された伝統ある名前を初めて冠したモデルがこのコルトギャランGTOだったのだ。

 ただ、トップグレードのMRは1972年8月に排出ガス規制によって廃止となり、販売台数は800台ほどと極わずかに留まっている。

排ガス規制で1.6リッターDOHCは2リッターSOHCに変更

 1973年1月にはマイナーチェンジを実施し、メインのエンジンを2リッターSOHCの4G52型へと置き換え、MRに代わってトップグレードにはオーバーフェンダーも勇ましい「GS-R」が登場。このGS-Rは、「Grand Sports&Rally」の頭文字を採ったもので、こちらもランエボのグレード名としてのちに使用されるものとなっていた(ただしランエボでは「GSR」表記)。

 そんなコルトギャランGTOではあるが、強大なライバルであるセリカには販売台数で太刀打ちすることができず、1976年5月に登場した「ギャランΣ」にバトンタッチする形で1977年に生産を終了した。

 なお、「コルト」、「ギャラン」、「GTO」とそれぞれ個別の車種の名前がひとつになっている同車だが、ベースとなったコルトギャランは、コルトセダンの後継車種でありながらも新たなコンセプトで生まれたモデルということで、ギャランのサブネームが付けられていた(その後、コルトの名前が消えて単にギャランとなった)。そしてGTOとは、「Grande Tourismo Omologare」というイタリア語が由来となっており、真のGTカーという意味を持つもの。

 このGTOも後に単独の車名として使用されているが、のちに登場したGTOはギャランではなく、ディアマンテがベースとなっていたため、ギャランGTOではなく単にGTOになったというワケだ。