(C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ

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自身の音楽活動のほか、Adoやまふまふなどネット発アーティストの楽曲への参加や、ジャニーズWESTなどへの楽曲提供など幅広く活躍するキタニタツヤが、アニメ『BLEACH 千年血戦篇』オープニングテーマ「スカー」を収録したEPをリリース。同作には他に、新曲「永遠」や、BLEACH生誕20周年記念原画展『BLEACH EX.』のイメージソング「タナトフォビア」と、同テーマソング「Rapport」など収録し、『BLEACH』をイメージした一作に。もともと原作の大ファンだったというキタニ。「スカー」の制作秘話と共に、『BLEACH』愛がほとばしるトークを展開してくれた。前半戦では『BLEACH』が呼び起こした、キタニタツヤの初期衝動について聞いた。(前編/全2回)

■大学生の時にコミックス全74巻を大人買い

――そもそも『BLEACH』ファンだったそうですけど、子どもの頃ですよね。
キタニ:小学生の頃にアニメをやっていて、でも当時は何となく観ているだけの感じでした。周りのみんなは『BLEACH』にハマっていたけど、僕はまだ『コロコロコミック』で止まっていて、『でんぢゃらすじーさん』くらいがちょうど良くて(笑)。だから、ちゃんと読んだのは大学生になってからです。周りにいたクリエイターとかミュージシャンの仲間から、「『BLEACH』を読んでいないのはヤバイよ」って。それで、みんながそこまで言うならと思って、全巻一気買いをして読み始めたわけです。

――全74巻を一気買いってすごいですね。
キタニ:漫画自体は好きだから、そこは何の抵抗もありませんでした。名作なら読んでおいて損はないだろうと、そのくらいの気持ちでした。でも読んだら、大ハマりしてしまいまして。少年漫画の延長でバトルや武器が格好いいという視点で読める作品でもあるけど、掘ろうと思えば考える余地はたくさんあると言うか、『BLEACH』の中にある哲学的な部分に対してすごく感銘を受けました。そういう部分では、子どもの頃にハマって読むより、大人になってから読んだのが、良かったと思いました。

――その感銘を受けた哲学と言うのは?
キタニ:それは、曲に反映されているところで。今回の『BLEACH』で言えば、重要キャラクターの藍染惣右介がフィーチャーされるシーンがあって、そのシーンをイメージして「スカー」と「永遠」を書いたんです。「Rapport」に関して言えば、志波海燕というキャラクターのとあるシーンに感銘を受けて作りました。きっと曲を聴けば、僕が『BLEACH』のどこから影響を受けたか、結構分かりやすいと思います。

――そんな大好きな作品と関われる。BLEACH生誕20周年記念原画展「BLEACH EX.」イメージソング「タナトフォビア」テーマソング「Rapport」の制作を依頼された時は、どういう気持ちでしたか?
キタニ:「マジ?」という感じでした(笑)。20周年という特別なタイミングでしたし、原作ファンが押しかける原画展だから、結構なプレッシャーだったと言うか、ちょっと怖かったです。『BLEACH』を追いかけ続けている人はすごくコアだし、中身が深い作品なので、歌詞で間違ったことを言ったらめっちゃ怒られるんじゃないかと。『BLEACH』の世界と相反することなく、その中で自己表現をしないといけなくて。だから、怖くてたまりませんでした(笑)。

■ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「アフターダーク」をたくさん聴いた

――TVアニメ「BLEACH 千年血戦篇」オープニングテーマを担当することが決まった時は、どんなお気持ちでしたか?
キタニ:普通にコンペだったんですけど、「そりゃあ俺が獲らなあかんでしょう!」という気持ちでした(笑)。文句を言わせないくらいいい曲を絶対に作って、キタニタツヤを選ばせてやるぜと、気合いが入っていました。