100年を超える最古参も「法要施設」として保存されています。

移譲公募に名乗り上げ3台目


元京都市電のN1860型。現在は枚方市内の霊園で保存(画像:西鶴)。

 大阪府内で霊園の運営などをおこなっている「西鶴」。17日の発表で、枚方市内の「ハピネスパーク牧野霊園」の来園者数が昨年に比べ134%と大幅増加したとしています。

 そのきっかけのひとつとなったのが、保存車両の移譲をうけて当地にやってきた、かつての「京都市電」で活躍していたN1860型路面電車です。

 N1860型の製造は1950(昭和25)年で、今年で72歳。1977(昭和52)年に一部線区が廃止されると余剰車両として引退し、大宮交通公園、岡崎公園と転々としたのち、市の移譲先公募によりこの霊園にやってきました。

 修復工事を受けた“3度目の余生”では、墓地の契約の場所として、また休憩施設として活用されています。西鶴では「家族と一緒にお墓参りに来た子どもたちの思い出に残り、将来のお墓参りの担い手となってほしい」という思いがあったしています。記憶に残る施設として何をすればいいかと検討していた時に、タイミングよく移譲の話が持ち上がったことで、全国的に珍しい「霊園にある鉄道車両」の実現に至ったとのことです。

 その結果として、先述のとおり来園者は大幅増加。墓参りの回数が増えて墓花の売り上げも昨年の1.3倍になったほか、新規予約の増加にもつながればとしています。家族連れでの来園も多く、「孫と楽しい思い出ができた」といった声も受けているといいます。

 この会社ではほかに、全国でも最古参級の通称「N電」を2か所の霊園に設置。それぞれ明治生まれで、「日本初の営業用電車」として、琵琶湖疎水による発電を利用した路面電車「京都電気鉄道」で活躍した、100歳を超える車両です。どちらも当時の雰囲気を残す形で修復され、こちらはなんと「法要施設」として、法事や休憩用に利用されています。