帯広から北へ 「国鉄士幌線」が全通した日 朽ちていく「絶景」人気 -1939.11.18
83年前の1939年11月18日、北海道の国鉄ローカル線「士幌線」が全通しました。
帯広から大雪山のふもとまで
国鉄士幌線の廃墟「タウシュベツ川橋梁」(画像:写真AC)。
今から83年前の1939(昭和14)年11月18日。北海道の国鉄ローカル線「士幌線」が全通しました。
士幌線は帯広駅からまっすぐ北へ向かい、士幌町・上士幌町を経由して、大雪山のふもとの十勝三股駅までをむすぶ路線でした。
1925(大正14)年に士幌までが開通。当初計画では三国峠を越え、現在の石北本線の上川駅へ到達するはずでした。上士幌から先の山間部へ徐々に延伸し、十勝三股へ到達したのが1939年のきょう。そこから線路が伸びることはありませんでした。
1967年10月時点のダイヤを見ると、帯広〜十勝三股の通し列車が1日5往復。上士幌発着の区間列車も2往復ありました。全線78.3kmを2時間かけて走っていました。
1970年代になると、末端部の糠平以北では過疎化が進行し、全人口が数十人というありさまになっていました。無人の列車が走り、100円の収入を得るのに22500円の支出が発生する状態であったことから、1978(昭和53)年には全国でも異例の「バス代行として路線存続」という措置が取られたのです。
モータリゼーションの波に押され、1980(昭和55)年に廃止が決定。1987(昭和62)年に廃止となりました。鉄道としての終着駅だった糠平駅には鉄道資料館が設置され、現在は廃線跡に観光用の足漕ぎトロッコが運営されています。
士幌線の廃線跡のハイライトとなるのが、糠平ダム湖の上流部に架けられていた「タウシュベツ橋梁」です。美しいアーチを描くコンクリート橋は水位によってさまざまな表情を見せ、「北海道遺産」にも選ばれています。しかし近年は劣化が激しく、到達困難な地理的条件などもあり、保存に向けた動きは目立っていません。