アメリカで飛行可能なゼロ戦が誕生! 角型主翼の32型で空飛べるのは初
新造機のため福岡県の機体とは性格が異なります。
エンジンはP&W製の新品を搭載
アメリカにある「MILITARY AVIATION MUSEUM(ミリタリー アビエーション ミュージアム)」は2022年11月11日、公式ツイッターで、コレクションに「A6M3 Zero」が加わったと発表しました。
「A6M3 Zero」とは第二次世界大戦中に旧日本海軍が使用した零式艦上戦闘機、通称「零戦(ゼロ戦)」の32型のことです。
MILITARY AVIATION MUSEUMが取得した新造の零戦32型(画像:MILITARY AVIATION MUSEUM)。
零戦32型は、各型合計で1万機以上が造られた零戦シリーズのなかで唯一、主翼端が角型のモデルです。ゆえに登場当初、アメリカ軍は別機種と認識しており、「Zeke」という零戦識別用のコードネームとは別に、32型にだけは「Hamp」という名称を付与していました。
なお、生産数は343機とほかのタイプよりも少ないため、これまで現存する零戦32型は、福岡県筑前町の町立大刀洗平和記念館で展示・保管されている機体が世界で唯一といわれていました。
今回、MILITARY AVIATION MUSEUMが取得した零戦32型は、ワシントン州エバレットのレジェンド・フライヤー社が、リバース・エンジニアリングで組み立てた新造機になります。リバース・エンジニアリングとは、現存する残骸などから部品ひとつひとつの形状や寸法を割り出し、新たな部材を複製し、それを組み立てて新製することです。
第2次世界大戦中に製造された残存機をレストア(修復)したわけではないため、前出の大刀洗平和記念館に残る実機とは性格が異なるものの、新造機であるため飛行可能というメリットも有しています。
説明によると、近いうちに大戦が終わってから最初となる飛行を行うとのこと。なお、エンジンについては、諸事情から取得しやすく整備部品なども豊富にあるプラット・アンド・ホイットニー(P&W)製の空冷星型エンジンを搭載しています