東京都の主要な都市計画道路「環状3号線」。大部分で開通済みですが、未開通区間が複数あり、ぐるっと回るルートには至っていません。どこまで計画は進んでいるのでしょうか。

東京の街をぐるっと回る計画、実際は

 戦後すぐに生まれた東京都心の都市計画道路のひとつ「環状3号線」。

「環七」「環八」とくらべて知名度には欠けますが、全通をめざして各地で事業が進められています。この「環3」はどこを通り、どこが開通済みで、どこが工事中なのでしょうか。


「外苑東通り」の愛称が付く環状3号線の信濃町付近(乗りものニュース編集部撮影)。

 環状3号線は、中央区勝どきの晴海通りから芝公園、青山、江戸川橋、鶯谷を経由し、江東区辰巳までを結ぶ計画です。

 現在の環状3号線の開通状況をざっくりまとめると、「外苑東通り」などとされる西半分と、「言問通り」「三ツ目通り」で構成される東半分が開通済み。その間の文京区内の大半と、台東区内の一部を中心に未開通となっている状況です。以下、未開通区間を中心に詳しく見ていきます。

●【未事業化】勝どき〜芝公園

 銀座や築地の隣接地域であり、東京湾の最奥部ともいえるのが中央区勝どきです。勝どきから西へ、海をまたいで麻布方面へ短絡するルートが、環状3号線の一部として構想されています。都が2016年に指定した「第4次優先整備路線」にも含まれていますが、まだ事業化には至っていません。

 しかし地道な前進は続けられ、2021年度には、JRや地下鉄など鉄道との交差部をどうするかという概略設計、ならびに首都高交差部での施工をどう対処するかという概略検討が行われています。実現すれば、都心南部と江東区方面を直結する重要なネットワークが形成されることとなります。

●【開通済み】芝公園〜青山〜江戸川橋

 港区から文京区まで、南北軸として「外苑東通り」がつながっています。新しい地形や周辺施設にあわせて終始グニャグニャとカーブを繰り返していますが、中央分離帯と全4車線が確保され、走りやすい道路です。

 狭隘なのが都営新宿線・曙橋駅北側から東京メトロ東西線にかけての区間で、いまだ2車線。しかし拡幅工事が進行中です。

 神田川にさしかかる鶴巻町交差点で新目白通りへT字路で接続すると、合流して東進し、江戸川橋交差点へ到達します。

東西に分離した「環3」しかし一部は開通済み

●【未事業化】江戸川橋〜春日通り(小石川)

 当初計画では純粋な環状道路だった「環3」も、計画変更によって右左折を繰り返すルートとなっています。江戸川橋周辺でも同様で、目白通りを300mほど東進し、関口1丁目付近で北へ分岐し、新設道路が伸びていく計画です。

 この区間を含む、言問通りまでの未開通区間は、都が2016年に指定した「第4次優先整備路線」にも含まれておらず、優先順位は低い区間となっています。ただ、文京区議会で明らかにされたところによると、都としては2025年までに事業化を進める構え。それに向け昨年度には、地質調査や道路構造物などの概略設計が実施されています。


「播磨坂」の愛称が付く環状3号線の小石川付近(画像:写真AC)。

●【開通済み】播磨坂(春日通り〜小石川植物園)

 約500mだけ「飛び地」のように開通済みなのがこの播磨坂の区間です。戦後すぐ、1950年代にはすでに現在の幅員で整備済みとなっていました。焼け野原になった一体の復興のために整備された道路のひとつで、中央分離帯に相当する部分は現在、桜並木となっています。

●【未事業化】小石川植物園〜言問通り(鶯谷)
 
 こちらも先述のとおり、整備の優先順位が低い区間で、近年も特に目立った動きはありません。ルートは、播磨坂からほぼまっすぐ東進し、小石川植物園の南端や、東京大学の北端、根津神社の南端をかすめて、台東区谷中で言問通りの現道へ合流するものとなっています。

 文京区をほぼ東西にまたがるこの道路、実現すれば春日通りと不忍通りの間の、数少ない東西軸となります。

●【開通済み】言問通り、三つ目通り

 環状3号線は「言問通り」としてJR鶯谷駅から4車線道路で東進し、浅草寺の北側を抜けていきます。しかし道なりに続くのではなく、隅田川を渡った言問橋交差点で南進する「三つ目通り」が環状3号線です。そのまま木場駅を超えて辰巳で首都高湾岸線へ到達し、終点となります。