ANA機の座席カバー、なんと「靴」に! ”元座席感”も残るこだわり仕様とは 実は普通の布より靴向き?
いい感じに「シートっぽさ」が残っているのがイイ!
通常の布より品質が良い?
ANA(全日空)などが2022年11月10日から、使用済みの客室のシート(座席)カバーを活用した「ANA 特製ルームシューズ」の予約抽選を開始します。初回販売個数は50足の予定で、受付は16日12時までです。
報道陣に公開された「ANA 特製ルームシューズ」(2022年11月10日、乗りものニュース編集部撮影)。
客室のシートカバーは、一定の基準により定期的にクリーニングおよび交換を実施しています。高い安全基準が求められる旅客機用ということだけあって、シートカバーは防火性や耐久性など高い基準が求められているほか、「品質表示ダグ印字が薄れてしまうだけで廃棄になってしまう」と担当者が話すほど厳格な管理がされているとのことです。
今回のルームシューズは、ANAの整備担当者から「このシートカバーの生地を捨ててしまうのはもったいない」といった会話があったことをきっかけに実現したものといいます。
価格は1足6930円。今回のルームシューズの原料となるシートカバーは、ボーイング787や737、ターボプロップ機のDHC8-Q400の座席から取り払われたものだそうです。シューズはかかとの部分を立てたり畳んだりすることで、スリッパとしてもルームシューズとしても使用できる2WAY仕様となっています。
ルームシューズに変身で廃棄量どれだけ変わる?
ANAによると、おおむねMサイズのルームシューズがシートカバー1枚、Lサイズ、LLサイズのものがシートカバー2枚分の生地量から構成されているとのこと。客室のシートカバーは1000枚ほど破棄されているなかで、100から200枚ほどがこのシューズに生まれ変わる計算なのだそうです。
報道陣に公開された「ANA 特製ルームシューズ」(2022年11月10日、乗りものニュース編集部撮影)。
シートカバーからシューズを作る作業は、スリッパ生産量で日本一を誇る山形県にある工場で行われています。すべて職人の手作りで製造されたもので、「シートカバーから製品にできる部分を目で確認し、生地の特性を活かしながら、型取り、裁断、ミリ単位での縫製をすべて手作業で仕上げている」としています。担当者はシューズの特徴を「履くと温かみを感じる履き物となっている」としているほか、クッション感性の高い履き心地が特徴です。
このルームシューズの発売は、ANAグループのサスティナビリティへの取り組み「ANA アップサイクルプロジェクト」の第1弾。この取り組みにより同社は「廃棄物の削減や資源の有効活用といった環境に配慮した持続可能な社会づくりにつなげ、今後も、お客様と共に SDGs活動に参加できるビジネスモデルを構築し続けます」とコメントしています。