〈大木淳夫の10月の新店アドレス〉ラグジュアリーホテルのレストランオープンや、三重の人気おでん店が東京進出！
数々のおいしいお店を訪れ、食べロググルメ著名人として、食べログマガジンでもさまざまなお店を教えてくれる大木淳夫さん。毎月たくさんの飲食店がオープンする中で、大木さんが注目する新店をずらりと紹介します。
〈大木淳夫の新店アドレス〉
急激に寒さが増した今月、おいしいものを食べて温まりたくなりますね。10月オープンした中でも、グルメ界で特に注目のお店をご紹介します。
教えてくれる人
大木淳夫
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に「キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由」（堀江貴文）、「新時代の江戸前鮨がわかる本」（早川光）、「にっぽん氷の図鑑」（原田泉）、「東京とんかつ会議」（山本益博、マッキー牧元、河田剛）、「一食入魂」（小山薫堂）、「いまどき真っ当な料理店」（田中康夫）など。
好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。最新刊「東京最高のレストラン2022」が発売中。
驚愕の夜景が楽しめる高級ホテルのテラスレストラン
ホテル「東京エディション虎ノ門」は、マリオット・インターナショナルの最上級ブランド「エディション」の東京1号店で、2020年に開業しました。
そのフロントである31階に10月3日、2年遅れでオープンしたシグネチャーレストランが「ジェイド ルーム ＋ ガーデン テラス」です。名前の通り、屋内のメインダイニングと、屋外のテラス席があります。
まず、この緑豊かなテラス席からの眺望が圧巻で、目の前に東京タワー、遠くにレインボーブリッジと、東京夜景を体感できます。こちらはシェアリングスタイルの小皿料理を提供していますので、本格的な冬が来る前にぜひ訪れてみてください。
そして、洗練された重厚さを感じる内装が素晴らしいジェイド ルームの料理監修は、26歳の若さでミシュラン二つ星を獲得したイギリス人、トム・エイキンズシェフ。和の食材を大胆に解釈した料理は、日本人ならその組み合わせや調理法に驚きながらも、新たなおいしさを発見するはずです。
歴史的フレンチから独立した2人のシェフの、対照的な新店舗
続いては10月1日、西麻布にオープンしたビストロ「N’onaka」です。オーナーシェフの野中靖幸氏は、働き盛りの35歳。「毎日3時間睡眠です！」と言いながら、とても楽しそうに鍋を振ります。
カウンター越しに見ているとバターも生クリームもたっぷり使っていて、おおっ！と思うのですが、これが不思議と重くはなく、でもソースが素晴らしい、まさにザ・フレンチ。
もともと専門学校時代に、日本におけるフランス料理の草分けアンドレ・パッション氏と出会い、代官山「レストラン・パッション」でスーシェフを務めた後、渡仏。「ポール・ボキューズ」などで研鑽後は「ル・コントワール・オクシタン」などで活躍しただけあって、現代に即しながらもトラディショナルなフランス料理を提供してくれます。
しかもアラカルト。グラスワインも豊富なので、その日の体調や気分に合わせて一皿でも、たっぷりでも、という素晴らしさ。
ドイツで8年修業したというスタッフが焼いたパンに、お皿のソースを掬って最後まで楽しんでください。
一方で、フランス料理の職人は本当になんでもできるのだなあと思ったのが10月1日、中目黒の高架下にオープンした「おばんざいBistroてんよう」。
店主の原天賜氏は「ポール・ボキューズ」や「ジョエル・ロブション」で修業した本格派ですが、お店のメニューには鴨のローストやトリッパの煮込みといったビストロ料理以外にも、唐揚げやフライドポテト（おいしかった）などが並び、各種サワーもそろって喫煙も可、とオシャレな居酒屋という感じ。お客さんも楽しそうで、2軒目使いにも重宝しそうです。
人気焼鳥店が808日だけ営業の居酒屋をオープン！
10月10日にオープンした「808labo（ヤオヤラボ）」も、とてもセンスのいい居酒屋です。場所は山手通りと淡島通りが交わる松見坂エリア。どの駅からも遠いわりには、有名グルメスポットとして知られています。
店主は2019年、池尻大橋に「焼鳥やおや」をオープンし、人気店に育て上げた遊津拓人氏。「リバーサイドヤオヤ」に続く3店目ですが、店名通り808日間限定の営業です。
誰もが知るメジャーな居酒屋メニューが、絶妙に少しだけアレンジされていて極めて魅力的。水餃子は牛ひき肉とタコ、豆鼓で、ラム肉のメンチカツは、ズマグニという辛味スパイスと桜エビをかけてと、どうにも酒が進みます。
そのお酒の種類も豊富なので、がっつり食べたい人も飲みたい人も、ふらっと一杯という人も取り込む懐の深さがあり、繁盛しそうです。
ちなみに店名は八百屋ではなく、遊津氏がアサヒビールの社員時代に営業を担当した、大阪・八尾市からです。
おでん、明太子、カレーの東京初進出店！
中目黒の「関西煮 理（おさむ）」は、三重県の津市で30年営業した人気店「おでんのオサム」の店主・加藤理さんが、コロナ禍を機に52歳で移転を決断して10月1日にオープンしました。
まず供される、おでんの出汁のスープが何とも美味で、食欲をそそります。お酒も有名銘柄である「作」や「而今」を筆頭に、三重の地酒がそろっていて、これからの季節にぴったり。
11月からは前の店でも人気だったという、金沢おでんの名作「蟹面（かにめん）」が2カ月限定で食べられるようです。若者向けのお店が多い中目黒にあって、大人がくつろげるお店といえるでしょう。
東京進出といえば、皆さん「椒房庵」という明太子はご存じでしょうか？ あの「茅乃舎だし」で有名な福岡の株式会社 久原本家のブランドです。その明太子が食べられる「博多 椒房庵」が10月1日、東京駅のグランスタ丸の内B1Fにオープンしました。福岡以外では初です。
料理はのり弁に、明太子が1本ドンとのった「博多めんたい膳 海苔」と、鶏そぼろにドンの「博多めんたい膳 かしわ」の2種のみ。あまりに潔いフォルムが食欲をかき立てます。 今まで通販でしか買えなかった椒房庵が、こちらなら冷凍品で購入できるのもうれしい限り。半年限定の出店ですが、人気が出れば延長もあるようです。
同じく福岡から、カレー店「RスリランカTOKYO」も10月11日、神保町にオープンしました。もともとスリランカの人々は辛い料理が大好きで、現地では「ライスアンドカリー」という定食スタイルで食されていますが、それが福岡で日本人向けのスープカレーとなって独自の進化を遂げ「九州ランカ」というジャンルが確立されているのです。発祥は1988年に創業された「ヌワラエリヤ」と言われていますが、興味深いですね。大阪発のスパイスカレーに続き、新たなブームになるか。ぜひ“九州ランカ”を体感してみてください。
名店の味を受け継ぐ中華とイタリアン
1965年、三田の地に誕生した「華都飯店」には、名物である塩漬けした白菜を使った「酸菜火鍋」食べたさに毎冬訪れていましたが、2012年、六本木一丁目のアークヒルズ仙石山森タワーに移転。森田恭通氏デザインの内装でよりモダンなお店になりました。
その六本木でオープンから10年、サービスで活躍した藤田朋希氏が独立し、10月11日、麻布十番にオープンしたのが「真皿」です。開店2日後にうかがいましたが、8席のカウンターと2つのテーブルの店内は早くも満席。現在、5,500円と7,700円のコースがあり、20時以降はアラカルトも可。2軒目にふらりと立ち寄って、ワインと点心といった使い方もよさそうです。
有名ホテル出身のシェフはIHを駆使して、無化調で穏やかな料理を提供。これがなぜかワインが進んでしまいますのでご注意ください……。
もう1店、この稿には間に合いませんが、10月27日、イタリアンの名店「タクボ」出身、北野司オーナーシェフの「malca」が南青山にオープンです。カウンター8席と2つの個室。シェフのご実家が淡路島の鮮魚店ということで、アラカルトでいただく魚料理、そしてタクボ仕込みの肉料理がきっとおいしいことでしょう。訪れるのが楽しみです！
＜店舗情報＞
◆The Jade Room + Garden Terrace
住所 : 東京都港区虎ノ門4-1-1 東京エディション虎ノ門 31F
TEL : 03-5422-1630
＜店舗情報＞
◆N'onaka
住所 : 東京都港区西麻布2-8-11 西麻布ビル 1F
TEL : 03-6421-0825
＜店舗情報＞
◆おばんざいBistroてんよう
住所 : 東京都目黒区上目黒3-5-23
TEL : 080-4802-1888
＜店舗情報＞
◆808labo
住所 : 東京都目黒区大橋2-8-18
TEL : 03-6416-8084
＜店舗情報＞
◆関西煮 理
住所 : 東京都目黒区上目黒2-16-1 リードシー中目黒 3F
TEL : 050-5590-2127
＜店舗情報＞
◆博多 椒房庵 東京駅店
住所 : 東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東日本東京駅 B1F 改札外 グランスタ丸の内
TEL : 03-6551-2305
＜店舗情報＞
◆RスリランカTOKYO
住所 : 東京都千代田区神田神保町1-54-5
TEL : 050-5590-3026
＜店舗情報＞
◆真皿
住所 : 東京都港区南麻布1-5-9 ラリシェス南麻布 201
TEL : 050-5589-9923
※価格はすべて税込。
※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名を掲載しています。最新の情報はお店にご確認ください。
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。
文：大木淳夫・食べログマガジン編集部
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