作家の李昂さん(右)と漫画家の柳広成さん

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(台北中央社)フェミニズムをテーマにした小説で知られる台湾の女性作家、李昂さんの作品「北港香爐人人插」が漫画化され、台北市内で18日、発表会が催された。漫画を手掛けたのは男性で、李さんは、男性の視点で描かれた同作をぜひ隅々まで楽しんでほしいと語った。

李さんは、国民党一党独裁体制下で形成された反対勢力「党外」の運動に参加した経験を持つ。97年に出版された「北港〜」は、男性が優位な政治の世界に生きる女性の姿を描き議論を巻き起こした。

自身について誰からも愛される作家ではないとしつつ、「喜んでやり、(結果を)受け止める」と語った李さん。今回の漫画化を通じ、台湾の創作環境の自由さを改めて深く感じたと話した。

漫画化を担当した柳広成さんは、台湾在住の香港人漫画家。香港で起きた大規模な反中デモを描いた「被消失的香港(仮訳:消された香港)」を台湾で20年に出版した。

柳さんは、台湾の政治や文化になじみはなかったものの、李さんからいろいろ学ぶものがあったと振り返った。作中の官能的な場面については、男性的な視点で描くべきではないとも考えたが、最終的には自身の直感を残して描いたという。

イベントに出席した李永得(りえいとく)文化部長(文化相)は、李昂さんは台湾の代表的な作家の1人だとし、香港人の柳さんとのコラボレーションは台湾の自由な出版業界と干渉を受けない創作環境の象徴だと喜びを示した。

(邱祖胤/編集:楊千慧)