ホンダ初! 新型「N-WGN」に「急アクセル抑制機能」搭載! 暴走事故を防ぐ“仕掛け”とは?

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「急アクセル抑制機能」をホンダ初採用

「N-WGN(エヌ・ワゴン)」はホンダの軽自動車ラインナップのなかで、「ハイトワゴン」と呼ばれるクラスを担うモデルです。

 ホンダの軽自動車の代名詞といえる「N-BOX」との大きな違いは背が低いこと、そしてリアドアがスライド式ではなくヒンジ式になっていること。また、背が低いだけでなく、価格帯が低めなのも魅力といっていいでしょう。

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 N-WGNのライバルはスズキ「ワゴンR」やダイハツ「ムーヴ」、日産「デイズ」、そして三菱「eKワゴン」などです。

ホンダ初の「急アクセル抑制機能」が搭載された新型「N-WGN」

 初代N-WGNは2013年にデビューし、現行モデルはフルモデルチェンジを経て2019年にデビューした2代目。現行の軽自動車では唯一となる、テレスコピックステア(ハンドル前後調整機能)を備えているのも特徴となっています。

 そんなN-WGNがマイナーチェンジを実施しました。といっても変更内容はそれほど多くなく、標準車(N-WGN)はボディカラーの追加のみ。

 N-WGNカスタムでは全車にプライムスムースと呼ばれる肌触りの良い人工皮革のシート表皮が全席に採用されたほか、フロントグリルはメッシュを組み合わせたデザインに変更。

 新意匠のアルミホイール採用(14インチ/15インチ)、ドアミラー、シャークフィンアンテナ、そしてリアゲートのガーニッシュにブラック塗装を施してリフレッシュしました。

 見える部分では変更点の少ない今回のマイナーチェンジですが、実は注目すべき安全機能が新たに搭載されました。それが「急アクセル抑制機能」というもので、ホンダ車としては初めて採用された仕掛けです。

 この機構の狙いは、ペダルの踏み間違いや踏みすぎを検知した際に急加速を抑制するというもの。アクセルの踏み間違いに起因する事故は、ドライバーが誤ってアクセルを踏み込んでもそれに対応してアクセルを戻すことができない場合に発生する確率が高いといわれています。

 これまでの安全機能は、前後に障害物があればアクセルの踏み間違いを防ぐ機能が働いたものの、障害物のない状態でのペダル踏み間違いを防ぐことができませんでした。

 しかし急アクセル抑制機能は、前進または後退時に急激にアクセルが踏み込まれると車両が「誤操作」と判定し、警告音とメーターに注意喚起のメッセージが出るほか、エンジン回転数を抑制(クリープほどの速度となる)。暴走による事故を防ぎます。

 一方で、ブレーキからアクセルへと2秒以内に踏みかえた際や、ゆっくりとアクセルを踏み込んだ際は「正常な運転」としてアクセル操作を受け付け、通常時はしっかりと加速するようにプログラムされています。

 また、ウインカー作動時は急激にアクセルを踏み込んでも「追い越し」と判断し、加速抑制がおこなわれない仕掛けです(ウインカーではなくハザードランプ点滅時は加速を抑制)。

トヨタやマツダの機能と異なる点とは?

 実際に敷地内のコースで運転操作を体験してみましたが、ブレーキと間違えてアクセルを操作する状況(アクセルを踏んでいなかった状態から何の前触れもなく踏み込む)を再現すると、しっかりとエンジン回転が抑えられて加速を抑制することがわかりました。

 この制御はあらかじめクルマに組み込まれていて、販売店で設定することで利用可能になります。

ホンダ新型「N-WGN」の「急アクセル抑制機能」を試してみた

 標準設定としないのは、その機構上運転操作に対して通常時と異なる反応をするので働きを理解したうえで活用してもらうためとのこと。

 また、キーごとに設定し、設定されたキーでドア解錠・エンジン始動をおこなうことで機能オンとなるのですが、設定されていないキーでドア解錠・エンジン始動をしたときはこの機能は作動しません。

 鋭い人は気が付いたかもしれませんが、実はこの仕掛けは、すでにトヨタ車に広く採用されているものと基本的に共通。マツダが2022年9月15日に発売した新型「CX-60」にも設定されています。

 しかし、N-WGN用がトヨタやマツダと大きく異なるのがその価格です。

 トヨタやマツダの場合は専用キーの購入が必要で、トヨタの場合は1万4300円(消費税込、以下同様)から、マツダは4万8620円がかかりますが、N-WGNは専用キーの購入ではなくN-WGNでは標準装備のキーを機能と紐づけする方法とすることで5500円という低価格を実現。

 販売店でのセットアップのみで使えるようになることから、他社よりもリーズナブルに機能を実装することが可能になりました。

 ちなみに機能を設定したキーでも、別途購入するトヨタやマツダと異なり、見た目が変わるわけではありません。

 そのため通常のキーと見分けるために販売店アクセサリーで用意するキーカバーの装着で見た目にもわかるようにすることが推奨されています。

※ ※ ※

 トヨタの調べによると、この機能は踏み間違い事故の約6割のシーンで作動を期待できるそうです。

 昨今のクルマ選びは自分が被害者にならないための先進安全装備はもちろん、運転中に加害者とならないような機構も注目されつつあります。

 そんな意味からも、この急アクセル抑制機能は注目すべき新機能といえるでしょう。