運用開始当初はなかなか普及率が伸びなかったマイナンバーカード。マイナポイント事業をはじめ、さまざまな普及促進のための取り組みによって、ようやく取得する人が増え始めています。2021年10月からは健康保険証利用登録の本格運用が開始されました。本記事では、マイナンバーカードの健康保険証利用の概要や、登録方法などについて紹介します。

マイナンバーカードの健康保険証利用登録とは

マイナンバーカードは、マイナンバー(個人番号)が記載された顔写真付きのカードです。パスポートや運転免許証のように本人確認のための身分証明書として利用できるだけでなく、自治体サービスや確定申告の電子申請など、さまざまなサービスにも利用できます。さらに、2021年10月からは健康保険証との紐づけによる運用が開始され、より利便性が高まることが期待されています。

ただし、マイナンバーカードを持っている人も、そのまま健康保険証として利用できるわけではありません。利用に際しては事前の申し込み手続きが必要です。

マイナンバーカードの健康保険証利用登録のメリット

マイナンバーカードの健康保険証利用に登録すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。さまざまなメリットを具体的に紹介します。

引っ越しや転職をしても継続的に使える
これまでは、引っ越しや転職、結婚などのライフイベントがあった場合は、健康保険証を切り替える必要があり、切り替えの際には、手元に健康保険証がない時期が発生しました。しかし、マイナンバーカードと健康保険証を紐づけておくと、医療機関でマイナンバーカードを健康保険証として利用することが可能になります。ただし、医療保険者(国民健康保険の場合は市町村または各国保組合、後期高齢者医療制度の場合は後期高齢者医療広域連合)への届け出は必要です。

また、後期高齢者医療制度に加入している場合は被保険者証の更新や高齢受給者証の持参も不要になります。

病院窓口での受付がスムーズになる

病院窓口での受付がスムーズに

マイナンバーカードの健康保険証利用で、病院窓口での受付もスムーズになります。窓口に設置された顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置いて、4桁の暗証番号を入力すると、本人確認が行えます。受付での待ち時間が減りますし、病状によっては必要とされた各種書類を用意する必要がありません。

また、医療機関に行く際に持参していた診察券やお薬手帳も不要になります。これまでは異なる医療機関を受診するたびに増えていた診察券も、マイナンバーカード1枚にまとめることができるため、便利です。

一時支払いの手続きが不要になる
これまでは、急な入院などで多額の支払いが必要になった場合、限度額適用認定証(高額支払いになる場合に、自己負担額を所得に応じた限度額にするために医療機関に提出する書類)の事前申請が必要で、認定証が間に合わない場合は一時支払いをしなければなりませんでした。マイナンバーカードの健康保険証利用をしていれば、患者本人が同意すると以下の情報が医療機関に共有され、手続きをすることなく限度額を超えた分の支払いが免除されます。

〈医療機関に共有される情報〉
・保険者番号
・被保険者証記号・番号
・枝番
・限度額適用認定証区分
・適用区分(自己負担限度額を算出する際に適用する区分)
・交付年月日
・回収年月日
・長期入院該当年月日

薬剤情報や特定健診の情報をマイナポータルで確認できる
特定健診や薬剤の情報がマイナポータルで閲覧できるのもメリットの一つです。特定健診とは40~74歳までを対象にしたメタボリックシンドロームに着目して行われる健診のことで、75歳以上は後期高齢者健診になります。

薬剤情報とは、医療機関を受診した際に受け取った薬の調剤年月日、医薬品名、成分名、用法、用量などのほか、注射や点滴の内容なども含まれた情報です。これらは患者の同意により、医療機関や薬局で共有されるため、転院した場合でも医師への説明が簡単になり、正確なデータに基づく診療や薬の処方が受けられます。

確定申告での医療費控除が容易になる

確定申告の医療費控除も簡単に

これまでは、確定申告で医療費控除を受けるために、医療費の領収書を管理しておく必要がありました。マイナンバーカードと健康保険証を紐づけていれば、マイナポータルで医療機関や薬局の窓口で支払った医療費の情報が閲覧できるだけでなく、e-Tax(電子申告・納税)に情報連携できるため、オンラインで簡単に医療費控除の申請ができるようになります。

7,500円分のマイナポイントがもらえる
マイナンバーカードの健康保険証利用登録をすると、7,500円分のマイナポイントが受け取れます。マイナポイントとは、マイナンバーカードを取得した後、マイナポイントサービスに申し込むことで付与されるポイントです。申し込みの際はQRコード決済や電子マネー、クレジットカードなどのキャッシュレス決済サービスを選択する必要があります。

マイナポイントは、マイナンバーカードの新規取得で5,000円分、公金受取口座登録で7,500円分受け取れるので、合計で20,000円分を受け取れることになります。

マイナンバーカードの健康保険証利用登録の流れ

マイナンバーカードを健康保険証と紐づけするには3通りの方法があり、一つ目がパソコンで行う方法、二つ目がスマートフォンで行う方法、三つ目がマイナポイント手続きスポットで行う方法です。それぞれの方法の手順と流れを解説します。

パソコンで登録する方法の流れ
パソコンで登録する際は、マイナンバーカード、設定した暗証番号(数字4桁)、カードリーダー、パソコンが必要です。

マイナポータルアプリがインストールされていない場合は、インストールが必要です。初めに、マイナポータルの「利用者登録の手順のご案内」にアクセスします。端末は「パソコン」、マイナンバーカードの読み取り方法は「ICカードリーダライタで読み取り」を選択します。インストールが完了したら、「Chromeに追加」ボタンを押します。

次に、健康保険証の利用者登録を行います。「利用を申し込む」ボタンを押すと「保険証利用登録」画面になるので、「同意して申し込む」ボタンを押します。画面の表示に従ってICカードリーダーをPCに接続し、マイナンバーカードをセットして、「OK」ボタンをクリックします。4桁の暗証番号を入力して「OK」を押したら完了です。

スマートフォンで登録する方法の流れ
スマートフォンで登録する場合は、マイナンバーカード、設定した暗証番号、マイナンバーカードが読み取れるスマートフォンを用意しておきます。初めにマイナポータルアプリをインストールします。

アプリを開いて、「マイナンバーカードの健康保険証利用申込」を選択します。「同意して次へ進む」ボタンを押すと「保険証利用登録」画面になるので、「申し込む」ボタンを押します。パスワードの入力画面が表示されたら、数字4桁の暗証番号を入力し、「次へ」を押します。最後にマイナンバーカードをスマートフォンにかざして、完了画面が表示されたら完了です。

マイナポイント手続きスポットで行う方法の流れ

PC・スマートフォンがなくても手続き可能

パソコンやカードリーダー、カードリーダー機能のあるスマートフォンを持っていない人も手続きを行うことができるスポットがあります。マイナポイントの手続きスポットは、市区町村に設置されている住民向け端末、医療機関や薬局の窓口に設置されている顔認証付きカードリーダー、セブン銀行のATMです。

セブン銀行のATMであれば、平日はもちろん、土日祝日にも原則24時間申し込みができます。ここでは、セブン銀行のATMから申し込む方法を紹介します。

申し込みに必要なものは、マイナンバーカードと設定した暗証番号です。初めに、ATMの画面の「マイナンバーカードでの手続き」ボタンを押します。次に、「健康保険証利用の申込み」ボタンを選択し、マイナンバーカードを挿入し、暗証番号を入力すれば申し込み完了です。

まとめ

マイナンバーカードは健康保険証と紐づけると、さらに便利になります。マイナンバーカードをまだ取得していない人は、取得の際に健康保険証との紐づけや、公金受取口座の登録をまとめて行うと20,000円分のマイナポイントが受け取れます。マイナポイントのチャージやお買い物利用には期限があるので、早めに手続きを済ませるのがおすすめです。