生徒の携帯を没収した結果、燃やされた教室(画像は『Witness - The Citizen 2022年9月5日付「Durban high school closed indefinitely after pupils torched classrooms」(PHOTO: SUPPLIED)』のスクリーンショット)

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携帯電話を学校に持ち込むことついて賛否両論の声があるが、南アフリカのある高校では抜き打ち検査で携帯を没収したことから不満を募らせた生徒たちが教室を燃やすという事件が起こった。『The South African』などが伝えている。

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南アフリカの高校では、携帯電話の持ち込みについて学校によって対応は異なる。クワズール・ナタール州のダーバン西部にある「ンデンゲト高校(Ndengetho High School)」では原則、携帯電話を校内に持ち込むことを禁止している。しかし持ち物検査での発覚が難しく、送迎などで親との連絡を取ることができるため教師たちも授業に支障が出ない限り見て見ぬふりをしていた。そのどっちつかずの対応が生徒の怒りを買うこととなった。

ンデンゲト高校のメンジ・ブサニ校長(Menzi Busani)は最近、複数の教師から薬物や武器など違法なものを所持している疑いがある生徒がいるという情報があったことから警察に抜き打ち検査の依頼をした。すると9月1日、警察は校長にも事前に告げることなく「あと数分で高校にて抜き打ち検査を行う」と伝えた。警察はそこでタバコなどを見つけて没収したが、問題になったのが携帯電話だ。持ち込み禁止に指定されていたため没収に踏み切ったが、およそ400台もあったのだ。

持ち物検査で発覚した携帯電話は通常、学校の金庫に保管されることになっているが、400台も入りきらないため警察署で保管されることとなった。検査が終了し大量の没収品とともに警察が去った後、携帯電話を奪われた生徒たちは納得がいかず、休み時間になると教室の窓やドアを破壊し、さらに放火するという暴挙に出た。生徒が撮ったと思われる動画では、校舎内に黒煙が立ち上っている外で避難している生徒らが抗議の声をあげている様子が映っている。この暴挙に警察が駆けつけ、学校はしばらく閉鎖されることとなった。

9月3日と4日、学校は保護者や地元議員、学校運営団体などが参加する公開ミーティングを行った。保護者らは新型コロナウイルスによるパンデミック以降、生徒たちがオンラインで宿題を受け取れるように「学校に携帯電話を持ち込むことは許可されている」と主張した。保護者のシンフィウェ・ジャリさん(Simphiwe Jali)は「学校側が携帯電話の持ち込みを禁止しているのであれば、没収すべきです。ある時は甘く、またある時は厳しくというのは混乱を招きます」と学校は行動規範を一貫すべきだと話している。また学校管理委員会のブシ・ムテトゥワ委員長(Vusi Mthethwa)は、校内での暴力や喫煙、携帯電話所持などは長年の問題だったと述べ、今回の件で真剣にこれらの問題に取り組んでいく必要があると主張した。一方で校舎の修復にかかる費用や今回の件で放火を行った生徒を逮捕すべきという声もあり、この件は簡単に収まりそうにない。

画像は『Witness - The Citizen 2022年9月5日付「Durban high school closed indefinitely after pupils torched classrooms」(PHOTO: SUPPLIED)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)