エンゼルスのアンソニー・レンドン【写真:ロイター】

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レンドンとの契約は2026年まで…大谷翔平との新契約にも影響

 日本とは契約の規模が桁違いのメジャーリーグでは、年俸に見合わない選手が“不良債権”と扱われるケースも多い。米スポーツ専門メディア「ブリーチャー・リポート」では、今季の「もらいすぎベストナイン」を選出。三塁手部門ではエンゼルスの大谷翔平投手のチームメート、アンソニー・レンドン内野手が選出された。

 記事はレンドンについて「最悪の投資利益率だ」としている。今季年俸は3660万ドル(約49億5000万円)ながら、WAR(勝利寄与度)はわずか0.9にすぎない。

 レンドンは2020年にFAでエンゼルス入りした。ナショナルズで過ごした直前の3シーズンでは「少なくとも打率.300、長打率.530、OPS.900が見込めた」と記事は指摘している。2017年から2019年の間、出塁率、打率、打点、二塁打の平均値が234人のうちトップ10入りしており、その当時29歳で比較的若かった。当時は巨額契約にふさわしい存在で、記事も「エンゼルスが彼を球界で最も高い年俸の選手の一人にしたことは、それほど驚くことではなかった」としている。

 ただレンドンはエンゼルス入り後、2020年が52試合、昨季も58試合に出場したにすぎない。今季も45試合で打率.228を残したところで右手首の故障のため離脱。手術を受けシーズン中の復帰は難しい状況だ。記事は「エンゼルスは、マイク・トラウトのような活躍を願って彼に高額の年俸を支払っている」一方で、結果が全く見合っていないと指摘する。

 さらに問題なのは、レンドンの契約が2026年まで残ることだ。大谷翔平との新契約においても足かせになりかねない。記事は「彼にスーパースターのような金額を支払わなければならないので、彼が健康になって、問題が解決することを願っている。もし彼の契約が理由で、エンゼルスがショウヘイ・オオタニと長期契約を結ばないことになるとしたら、それは大変なことだ」と結ばれている。

鈴木誠也にポジションを譲った男も「今季はどん底に落ちた」

 同じように、この記事が最も投資利益率の低い遊撃手として挙げているのが、ディディ・グレゴリアス(フィリーズ)だ。年俸は1530万ドル(約20億7000万円)、WARは-0.6で、平均的な選手にも劣る数値だ。

 記事は「昨シーズン前にフィラデルフィアがディディ・グレゴリアスに与えた2年2800万ドル(約37億9000万円)の契約が、最近の野球史で最悪の短期契約の1つであることは間違いない」とすら述べている。新型コロナウイルスの影響で短縮シーズンとなった2020年には60試合で打率.284、10本塁打を残したものの、昨季は103試合で打率.209、13本塁打。今季は63試合で同.210、1本に終わるとついに8月4日、フィリーズから放出されている。

 また、中堅手部門で名前が挙がったのは、鈴木誠也外野手に右翼のポジションを譲ったジェイソン・ヘイワード外野手(カブス)だ。年俸は2450万ドル(約33億1500万円)、WARはこちらも-0.7にすぎない。今季は6月30日に右膝の炎症で負傷者リスト入りしており、ジェド・ホイヤーGMは「来年はチームの一員として彼がチームにいることはないと思う」と語り、今季終了後に自由契約とするとを明かしたという。

 ヘイワードは2015年オフに8年総額1億8400万ドルの契約を結んでカブス入り。2016年と2017年にはゴールドグラブ賞を獲得したもの、昨季は104試合で打率.214。今季も右膝の怪我で離脱し、48試合の出場で打率.204、1本塁打10打点にとどまっている。記事はこの転落を「彼はいつも不調だったが、今年はどん底に落ちた」としている。(Full-Count編集部)