大河原克行のNewsInsight 第172回 「人」を支えるテック、米国発・パナソニック「Yohana」が日本上陸する意味
パナソニックグループは、2021年9月から、北米で先行サービスを開始していた「Yohanaメンバーシップ」サービスを、日本でも開始することを発表した。具体的な時期やサービス内容については明らかにはしていないが、2022年4月〜6月にかけて、数10人を対象にしたトライアル調査を日本で実施しており、それらの成果をもとに、年内にはサービスの提供を開始する予定だという。現在、サービスに興味を持った人を対象にしたウェイトリストを公開し、登録ができるようにしている。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/6/3/63820_1223_8207a4b2476a0f6ab55618ef7ba4e35d.jpg)
「Yohana」は「現代の家庭」を支えるサービス
○テクノロジーで忙しい現代「家庭」を支える
Yohanaメンバーシップは、「パーソナライズされたサポートを提供する会員制サービス」とし、共働き世帯などの忙しい家族が、日々こなさねばならないことや、やりたいことを整理し、専門チームが助けて、それらのテーマを解決。忙しい現代の家族がもっと誰かに頼りやすく、一人ひとりの多様な「ありたいくらし」を叶えることを支援するサービスと位置づけている。
米国では、月額249ドルを支払えば、件数制限がなく、利用者のタスク遂行を支援。家庭内の困りごとや家族のケア、家事、買い物などの手配やサポートをしてくれるというサービスであり、利用者は、Yohanaアプリのチャット機能を利用して、Yoアシスタントと呼ばれる問題解決のプロフェッショナルに連絡を取り、やりたいことや、やらなくてはならないことを相談。Yoアシスタントは、社内外の様々な分野別エキスパートや専任リサーチャー、地域ネットワークを駆使して、タスクを実行するための手配を行うことになる。
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クレジットカード会社でも、各種の手配を行うコンシェルジュサービスがあるが、Yohanaメンバーシップでは、家のなかでの困りごとや、日常の生活に必要な予約の手配など、より家族に寄り添ったサービスを提供している点が異なるとする。
2021年9月から、米シアトルでサービスを開始。1,000世帯以上の家族が利用し、それぞれ2万件以上のタスクを処理。2022年6月からはロサンゼルスでサービスを開始したところだ。順次、米国の他の都市への展開も考えているという。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/4/9/4914b_1223_ed9920c473ef30525a10f268e8056ee3.jpg)
「ユーザーからの反響に手応えを実感している。多くの家庭で、週8〜10時間のゆとりが生まれたとの成果もあがっている。次は、母国である日本の家族の力になりたい。日本に恩返ししたい気持ちもある」と、パナソニック ホールディングス 執行役員 くらしソリューション事業本部長であり、Yohana.LLCのCEOを務める松岡陽子氏は語る。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/2/9/29e6d_1223_76c706b604557e7e33d2e3c3eb845c9d.jpg)
パナソニックホールディングス 執行役員兼Yohana.LLC 創業者CEOの松岡陽子氏
北米で先行サービスを開始したYohanaメンバーシップの利用者からは、「様々なタスクが自分の手から離れ、息子たちと一緒にいられる時間が増えた」、「Yohanaは、もはや彼女我が家の一員であり、必要な時にいつでも頼れる存在である」、「驚くほど気持ちが軽くなり、ウェルビーイングを実現できている」といった声があがっていると語る。
その一方、日本でのトライアル調査では、「日本ではどんなサービスが利用されるのか、どこに困っているのか、どんな点に喜んでくれるのかということを目的に調査を実施した」(松岡氏)とし、「トライアル調査の結果、自分にはできない+αの提案が示されたこと、人が寄り添ってくれるサービスであること、日常の負担が減り、To-doが片づいていくことに対する関心が高かった。これは米国と同じであり、日本でのサービス展開に自信がついた。だが、米国で行っているサービスをそのまま持ってくるのではなく、日本の状況を見てサービスを提供したい」とする。
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日本におけるフィールドトライアルの声
日本におけるYohanaメンバーシップのサービス開始が、どんなインパクトをもたらすのかがこれから注目される。
○女性を家事労働から解放してきた「家電」
松岡氏は、1971年、東京都出身。幼少時からテニスに打ち込み、中学卒業後に渡米し、プロテニスプレーヤーを目指していたという。だが、相次ぐ怪我によってその夢を断念。得意な数学や科学の道に進むことを決めて、様々な人たちを助けることができるロボットやAI、ウェアラブルデバイスなどの開発に取り組んできた。
カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)科学学士号を取得後、マサチューセッツ工科大学(MIT)では電気工学とコンピュータサイエンスの博士号をそれぞれ取得。1998〜2000年まではハーバード大学工学・応用科学部で博士研究員、2001〜2006年まではカーネギー・メロン大学教授、2006〜2011年まではワシントン大学教授を務め、ロボットによる人体および脳のリヒバリ機器の開発などに携わってきた。
さらに、2009年からは、Google Xのイノベーション責任者兼共同創業者として、産業界でも活躍。その後NestのCTO、アップルの副社長や、ウェアラブルヘルステクノロジーのベンチャー企業であるQuanttus(カンタス)のCEO、Googleヘルスケア部門の副社長、米ヒューレット・パッカードの取締役などを務めた。
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愛称はYoky(ヨーキー)。パナソニックで松岡氏が率いる組織は、「Team Yoky」と呼ばれる
愛称はYoky(ヨーキー)。パナソニックで松岡氏が率いる組織は、「Team Yoky」と呼ばれる。そして、Yohana.LLCのビジョンを「今を生きる家族にこれからの支え合いのスタイルを。」としている。
松岡氏は、「これまでに様々なことをしてきたが、それらのすべては、『家族のウェルビーイングを高めるテクノロバーを生み出す』という私のミッションにつながっているものばかりである」とし、「パナソニックが初めて洗濯機を商品化した狙いは、女性の家事労働からの解放であり、その話を聞いてワクワクした。創業者である松下幸之助のDNAはいまにつながっている。そのDNAを活かして、Yohanaは現代の家族を支える仕組みを作りたいと考えている」と述べた。
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変わる「ウェルビーイング」への価値観
○パナソニックとシリコンバレー、グループ変革の原動力にも
一方、パナソニックホールディングス グループCEOの楠見雄規氏は、「パナソニックは、創業から1985年頃までは、重労働であった家事の負担軽減のために生活に必要な家電の技術と、モノづくり力を磨き、多くの家庭に家電製品を届けてきた。その後、より豊かなくらしを実現するために、デジタル技術などを活用した高性能な家電を開発してきた」と前置きし、「現在は、生活が豊かになると同時に、少子高齢化や、社会での女性活躍などの変化のなかで、個人のキャリア形成と幸せな家庭の両立など、個々のお客様の価値観やニーズが多様化し、新たなお役立ちの形で求められている。その一方で、AI技術の応用も進んでおり、多様化する潜在的ニーズを捉えることができる時代になった。パナソニックグループは、AIやサービスを磨き上げ、個々のお客様に寄り添いながら、くらしのウェルビーイングへのお役立ちを果たしていかなくてはならない。まだお客様が気づいていないくらしのニーズを先取りし、ユーザーファーストで価値を提供していかなくてはならない」と語る。
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パナソニックホールディングス グループCEOの楠見雄規氏
その上で、「日本の暮らしに寄り添い、時代ごとのお客様の困りごとに対応してきたパナソニックと、多様な潜在ニーズを掴み、顧客価値を素早く生み出すシリコンバレーのエキスパート集団であるTeam Yokyが手を組んで、これからのくらしのウェルビーイングを支えていくひとつの形を提案していく。その成果が、Yohanaメンバーシップになる。パナソニクックグループのひとつの事業会社のなかでやるのではなく、スピーディーに事業を推進してもらうことが大切であり、そのために、パナソニックホールディングスのなかで事業を進めている。新しい取り組みではあるが、米国でも実績を出し始めている。今回、日本でのサービス開始を決定した。日本のお客様の生活に寄り添い、お客様のくらしのウェルビーイングに貢献するとともに、サービスの進化を続けていく」と期待を寄せた。
そして、「このサービスを日本で展開することによって、ハードウェアがどう関わっていくのかといったことの検証も可能になり、家電や電材との連携も進めることができるかもしれない。Yohanaメンバーシップの会員に向かい合っているYohanaのスタッフが、お客様の困りごとを特定することを、さらに強化するために家電のセンシングを利用したり、配電盤からのデータを用いたりすることもできる。Yohanaのソフトウェアプラットフォームと、パナソニックの家電が連携することで、どんなことが生まれるのかも楽しみである」と述べた。
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Yohanaのソフトウェアプラットフォームと、パナソニックの家電が連携することで、新しい価値が見いだせるかもしれない
すでに、Team Yokyには、パナソニックグループの各事業会社から、累計60人以上が出向し、2週間から3カ月間に渡り、開発支援などを行いながら、シリコンバレーのレベル感などを実体験しているという。
楠見社長兼CEOは、「この取り組みは、今後のパナソニックグループの商品、サービスを進化させるスピードを加速する原動力になる。パナソニックグループの変革にもつながる」と期待する。
Yohanaは、新たなサービスを創出するという役割だけでなく、パナソニックグループの変革にも貢献する役割を担うことになる。
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○テクノロジーで忙しい現代「家庭」を支える
Yohanaメンバーシップは、「パーソナライズされたサポートを提供する会員制サービス」とし、共働き世帯などの忙しい家族が、日々こなさねばならないことや、やりたいことを整理し、専門チームが助けて、それらのテーマを解決。忙しい現代の家族がもっと誰かに頼りやすく、一人ひとりの多様な「ありたいくらし」を叶えることを支援するサービスと位置づけている。
米国では、月額249ドルを支払えば、件数制限がなく、利用者のタスク遂行を支援。家庭内の困りごとや家族のケア、家事、買い物などの手配やサポートをしてくれるというサービスであり、利用者は、Yohanaアプリのチャット機能を利用して、Yoアシスタントと呼ばれる問題解決のプロフェッショナルに連絡を取り、やりたいことや、やらなくてはならないことを相談。Yoアシスタントは、社内外の様々な分野別エキスパートや専任リサーチャー、地域ネットワークを駆使して、タスクを実行するための手配を行うことになる。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/7/d/7dc24_1223_b80fae2e00483684d3ca7d33d5c4d1d6.jpg)
クレジットカード会社でも、各種の手配を行うコンシェルジュサービスがあるが、Yohanaメンバーシップでは、家のなかでの困りごとや、日常の生活に必要な予約の手配など、より家族に寄り添ったサービスを提供している点が異なるとする。
2021年9月から、米シアトルでサービスを開始。1,000世帯以上の家族が利用し、それぞれ2万件以上のタスクを処理。2022年6月からはロサンゼルスでサービスを開始したところだ。順次、米国の他の都市への展開も考えているという。
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「ユーザーからの反響に手応えを実感している。多くの家庭で、週8〜10時間のゆとりが生まれたとの成果もあがっている。次は、母国である日本の家族の力になりたい。日本に恩返ししたい気持ちもある」と、パナソニック ホールディングス 執行役員 くらしソリューション事業本部長であり、Yohana.LLCのCEOを務める松岡陽子氏は語る。
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北米で先行サービスを開始したYohanaメンバーシップの利用者からは、「様々なタスクが自分の手から離れ、息子たちと一緒にいられる時間が増えた」、「Yohanaは、もはや彼女我が家の一員であり、必要な時にいつでも頼れる存在である」、「驚くほど気持ちが軽くなり、ウェルビーイングを実現できている」といった声があがっていると語る。
その一方、日本でのトライアル調査では、「日本ではどんなサービスが利用されるのか、どこに困っているのか、どんな点に喜んでくれるのかということを目的に調査を実施した」(松岡氏)とし、「トライアル調査の結果、自分にはできない+αの提案が示されたこと、人が寄り添ってくれるサービスであること、日常の負担が減り、To-doが片づいていくことに対する関心が高かった。これは米国と同じであり、日本でのサービス展開に自信がついた。だが、米国で行っているサービスをそのまま持ってくるのではなく、日本の状況を見てサービスを提供したい」とする。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/0/1/013a0_1223_ffa301b630148879c3756c18f422ea93.jpg)
日本におけるYohanaメンバーシップのサービス開始が、どんなインパクトをもたらすのかがこれから注目される。
○女性を家事労働から解放してきた「家電」
松岡氏は、1971年、東京都出身。幼少時からテニスに打ち込み、中学卒業後に渡米し、プロテニスプレーヤーを目指していたという。だが、相次ぐ怪我によってその夢を断念。得意な数学や科学の道に進むことを決めて、様々な人たちを助けることができるロボットやAI、ウェアラブルデバイスなどの開発に取り組んできた。
カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)科学学士号を取得後、マサチューセッツ工科大学(MIT)では電気工学とコンピュータサイエンスの博士号をそれぞれ取得。1998〜2000年まではハーバード大学工学・応用科学部で博士研究員、2001〜2006年まではカーネギー・メロン大学教授、2006〜2011年まではワシントン大学教授を務め、ロボットによる人体および脳のリヒバリ機器の開発などに携わってきた。
さらに、2009年からは、Google Xのイノベーション責任者兼共同創業者として、産業界でも活躍。その後NestのCTO、アップルの副社長や、ウェアラブルヘルステクノロジーのベンチャー企業であるQuanttus(カンタス)のCEO、Googleヘルスケア部門の副社長、米ヒューレット・パッカードの取締役などを務めた。
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愛称はYoky(ヨーキー)。パナソニックで松岡氏が率いる組織は、「Team Yoky」と呼ばれる。そして、Yohana.LLCのビジョンを「今を生きる家族にこれからの支え合いのスタイルを。」としている。
松岡氏は、「これまでに様々なことをしてきたが、それらのすべては、『家族のウェルビーイングを高めるテクノロバーを生み出す』という私のミッションにつながっているものばかりである」とし、「パナソニックが初めて洗濯機を商品化した狙いは、女性の家事労働からの解放であり、その話を聞いてワクワクした。創業者である松下幸之助のDNAはいまにつながっている。そのDNAを活かして、Yohanaは現代の家族を支える仕組みを作りたいと考えている」と述べた。
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○パナソニックとシリコンバレー、グループ変革の原動力にも
一方、パナソニックホールディングス グループCEOの楠見雄規氏は、「パナソニックは、創業から1985年頃までは、重労働であった家事の負担軽減のために生活に必要な家電の技術と、モノづくり力を磨き、多くの家庭に家電製品を届けてきた。その後、より豊かなくらしを実現するために、デジタル技術などを活用した高性能な家電を開発してきた」と前置きし、「現在は、生活が豊かになると同時に、少子高齢化や、社会での女性活躍などの変化のなかで、個人のキャリア形成と幸せな家庭の両立など、個々のお客様の価値観やニーズが多様化し、新たなお役立ちの形で求められている。その一方で、AI技術の応用も進んでおり、多様化する潜在的ニーズを捉えることができる時代になった。パナソニックグループは、AIやサービスを磨き上げ、個々のお客様に寄り添いながら、くらしのウェルビーイングへのお役立ちを果たしていかなくてはならない。まだお客様が気づいていないくらしのニーズを先取りし、ユーザーファーストで価値を提供していかなくてはならない」と語る。
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その上で、「日本の暮らしに寄り添い、時代ごとのお客様の困りごとに対応してきたパナソニックと、多様な潜在ニーズを掴み、顧客価値を素早く生み出すシリコンバレーのエキスパート集団であるTeam Yokyが手を組んで、これからのくらしのウェルビーイングを支えていくひとつの形を提案していく。その成果が、Yohanaメンバーシップになる。パナソニクックグループのひとつの事業会社のなかでやるのではなく、スピーディーに事業を推進してもらうことが大切であり、そのために、パナソニックホールディングスのなかで事業を進めている。新しい取り組みではあるが、米国でも実績を出し始めている。今回、日本でのサービス開始を決定した。日本のお客様の生活に寄り添い、お客様のくらしのウェルビーイングに貢献するとともに、サービスの進化を続けていく」と期待を寄せた。
そして、「このサービスを日本で展開することによって、ハードウェアがどう関わっていくのかといったことの検証も可能になり、家電や電材との連携も進めることができるかもしれない。Yohanaメンバーシップの会員に向かい合っているYohanaのスタッフが、お客様の困りごとを特定することを、さらに強化するために家電のセンシングを利用したり、配電盤からのデータを用いたりすることもできる。Yohanaのソフトウェアプラットフォームと、パナソニックの家電が連携することで、どんなことが生まれるのかも楽しみである」と述べた。
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すでに、Team Yokyには、パナソニックグループの各事業会社から、累計60人以上が出向し、2週間から3カ月間に渡り、開発支援などを行いながら、シリコンバレーのレベル感などを実体験しているという。
楠見社長兼CEOは、「この取り組みは、今後のパナソニックグループの商品、サービスを進化させるスピードを加速する原動力になる。パナソニックグループの変革にもつながる」と期待する。
Yohanaは、新たなサービスを創出するという役割だけでなく、パナソニックグループの変革にも貢献する役割を担うことになる。