上下階をつなぐ階段の位置やデザインは、暮らし方に大きく影響します。会話のしやすさ、家事のしやすさ、ひとりの時間の過ごし方…。家族のライフスタイルを変えてしまうケースもあるようです。日刊住まいライターは、1階LDKの中心にオープンな階段がある家に3年暮らしています。感じているメリット&デメリットについて紹介。

オープンな階段を家の中心に配置

筆者は、夫婦と子どもの3人家族。3年ほど前に中古の戸建住宅を購入し、リノベーションしました。築35年ということもあり、内部はフルリノベーション。既存の間取りを生かす部分もありながら、1階にリビングをはじめとする生活スペースを、2階に夫婦の寝室と子ども部屋をつくりました。

 

さて、そんな筆者の家。この図面にあるように、階段は家の中心に配置されています。

リノベーション前は玄関横にあった階段ですが、2階の間取りの関係から、家の中心にあたる部分に移動したのです。

 

筆者の家は、リビング・ダイニング・キッチンをメインに、家がひとつの空間に感じられるよう、間仕切りをできる限り減らしたつくりになっています。廊下もありません。

家の中心に配置した階段も、こうした大きなひとつの空間に属していて、オープンになっているのが特徴です。

 

いちばんのメリットは2階への行きやすさ

オープンな階段が家の中心にあるメリットは、なんと言っても2階への行きやすさ。1階のどこにいても階段が近いので、サッと2階へ行くことができます。ちょっとした2階への用事もおっくうに感じません。

以前はマンション暮らしだった筆者。「階段の上り下りって、面倒でないかな」と心配していましたが、この階段の位置なら、1階と2階の行き来にストレスはありません。もちろん、2階へ行きやすいことで、掃除などの家事もスムーズです。

また、1階にいながらにして、2階の子ども部屋も近くに感じられます。この先、子どもが部屋で過ごす時間が増えても、会話のしやすさにひと役買ってくれるのでは、と期待しています。

 

インテリアの役目も兼ねています

筆者の家の内装は、白を基調としたシンプルなもの。家具やインテリアアイテムも多くはなく、リビングやダイニングを部分的に見ると、殺風景でものたりないくらいです。

しかし、全体的に見れば階段の存在がポイントとなり、インテリアとしてバランスを取ってくれていると感じています。

もっとも予算の関係もあり、目新しいデザインの階段を採用することはありませんでした。でも、温かみのある木製のスケルトン階段により、圧迫感もなく、家に暖かみをプラスすることができたと思っています。

 

ネコも喜んでいます

ネコを飼っている筆者の場合、階段が猫のお気に入りスポットになったことも、うれしいかったことのひとつでした。

背の高い家具のないわが家。高い所が好きなネコにとっては、この階段がキャットタワーの役目も兼ねている模様。リビングで過ごしながら、同じ空間にある階段を、上ったり下りたりして遊んでいます。

デメリットは空調が効きにくいこと

オープンな空間に階段があることのデメリット。わが家の場合は、やはり空調にまつわることです。生活スペースと同じ空間に階段があるので、夏場は冷房が効きにくく、冬場は暖かい空気が2階へと上がってしまいます。

もっとも、わが家はダイニングの上が吹き抜けなので、この問題はオープンな階段室が直接的な原因ではありません。それに、リノベーションの計画時から、この結果は想定していました。

空調問題の対策として、吹き抜けの天井部分にシーリングファンを設置。いつでも空気を循環させるようにしています。おかげで、実際に暮らしていて、暑すぎたり寒すぎたりして、生活に不便を感じたことはありません。しかし、1階と2階のつながりが、オープンでなければ、光熱費はもう少し抑えられただろうと思います。

 

また、空気の流れと同様、音も2階へ伝わってしまいます。家族の気配を感じられるという意味ではメリットに感じていますが、ひとりの時間を過ごしたいときには、デメリットなのかもしれません。

 

安全面も少し心配です

筆者がこの家で暮らしはじめたとき、子どもはすでに小学生でした。そのため、あまり気にかけたことはありませんが、もし未就学の子どもがいたとすれば、家の中心やオープンな空間に階段があることは、少し心配なことだったかもしれません。

一般的には、小さな子がいる場合、落下防止などといった対策を階段にすることが多いもの。そのうえわが家のように、リビングと同じ空間に階段があるとなれば、使用頻度も高くなるので、対策にいっそう気を使う必要がありそうです。

「オープンな階段を家の中心に配置したこと」についてのメリット・デメリット、ぜひ参考にしてみてください。