熱中症の判断法。手足のしびれ、立ちくらみ、こむら返りは初期サイン
大人も子ども気をつけたい「熱中症」。その予防が大切なのはもちろん、対処法を知っておくことも重要です。熱中症の専門家でもある、帝京大学医学部教授の三宅康史先生に、熱中症になってしまったときの対処法を教わりました。
熱中症の対処の仕方。素早く適切な判断を
素早く適切に対処することで、大切な命が救えることも。具合が悪そうな人を見かけたら、まずは意識の確認から始めましょう。
●手足のしびれ、立ちくらみ、こむら返りは熱中症のサイン!
「熱中症を悪化させないためには、できるだけ早くカラダの異変に気づくこと。軽度の段階で適切な対処をすれば、20〜30分程度で回復が可能です」。そのために知っておきたい熱中症のサイン、3段階で覚えておいて!
軽度 I
手足がしびれる、めまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返りなど。涼しいところで水分補給し、様子見を。
中等度 II
吐き気や激しい頭痛、体がだるいなど。軽度1と同様の処置をしつつ、救急車の手配を。
重度 III
意識がない、けいれん、呼びかけに応じないなどは、命の危険性が。大至急、救急車を呼んで。
●「熱けいれん」と「熱失神」は熱中症の初期症状
「熱けいれん」とは、けいれん発作ではなく、暑さと疲労、脱水が重なって、ふくらはぎなど筋肉の一部で起こる「こむら返り」のこと。「熱失神」とは、暑さのせいで一瞬の「立ちくらみ」が起きることを指します。どちらも熱中症の初期サイン!
●冷やすべきは首・脇の下・脚のつけ根の3か所と心得よう!
体内にこもった熱を取るためには、体表近くの太い静脈がある部位を冷やすのが効果的。「具体的には首の前側の両脇と首の後ろ、両方の脇の下、脚のつけ根の前面(鼠径部・そけいぶ)です。保冷剤や氷のう、冷えたペットボトルなどを使って冷やしましょう」
●軽度の熱中症なら、6ステップで対応を!
「声かけに応じ、意識があるなら、すぐに1〜6の処置を行ってください。意識があっても、急に症状が悪化することがあるので、必ずつき添いを」。6つのステップのなかでも「水分補給」と「カラダの冷却」は重点的に行うように。
<6つのSTEP>
1.涼しい場所に移動させる
2.衣服をゆるめたり、カラダを締めつけるものをゆるめる
3.脚を少し高くして、心臓への血流を増やす
4.冷水をかけたり、あおいだりしてカラダを冷やす
5.首の両脇と後ろ、脇の下などを氷のうなどで冷やす
6.経口補水液や食塩水、スポーツドリンクを自力で飲ませる(無理矢理飲ませるのはNG)
熱中症の応急処置のキーワードは「FIRE」
F(Fluid)水分補給
I(Icing)冷却
R(Rest)安静
E(Emergency)119番通報
熱中症は早期発見、早期対応がなにより重要なポイント。周りで具合が悪そうな人がいたら、まずは「大丈夫ですか?」と声をかけ、症状に応じて適切な対処をしましょう。