年齢を重ね、小さな暮らしを目指す人が増えています。エッセイスト・カウンセラーの若松美穂さんは食器を整理。減らしてよかったこと、どうしても減らせなかった器とは?

食器を厳選。どうしても捨てられないのは「幸福な思い出」が詰まった器たち

昨年、食器棚を見直しました。使っていないものを処分したり、重い鍋を下部に入れるなど収納場所を変え、ずいぶんわかりやすく、使いやすくなったように感じます。
今もそのままキープ中です…といいますか、買いおきの食品などもなるべく使うようにして少しずつ減らし、あきスペースが増えているのを感じます。
迷いなく処分することは得意な方なのですが、それでも捨てない食器たちがあります。

<写真>あえてひとつしか買わないお皿も多くあります

 

●自分のためだけに丁寧にお茶を淹れるということ

亡くなった叔母が大事にしていたカップ&ソーサ―。譲ってもらったのですが、残念ながらカップをひとつ割ってしまいました。でもお皿は捨てません。

普通にお皿として使う際に気になるのはソーサーの「くぼみ」ですが、ペーパーをのせて使えば大丈夫。

叔母はよく言っていました。「自分のためだけにでも、お菓子は皿に乗せ、ソーサーつきのカップにコーヒーや紅茶を入れて、座っていただきましょう。そうすると、よりおいしく感じるわよ」って。
忙しいときほど、ゆとりって大切ですもの。

見ただけでだれかの顔が浮かんだり、「○○で買ったよね」など家族との楽しい思い出がよみがえるものは取っておくことが多いです。
一方、パッと見たときに、思い出よりもヒビや傷に目が止まってしまう場合は処分してもいいものかな…と。見るたび気分が落ちますから。

 

●器で料理に彩りをプラス。ひとつしか買わないお皿も

ほかにもセットで買ったけれど、ひとつだけになった食器。カップが割れ、ソーサーだけ残った茶色の三角のお皿、注ぎ口が欠けているグリーンの小鉢なども、大きさや色など使い勝手がいいので残しています。

私がつくる食事は、あまり工夫がないので、お皿が彩りを加えてくれます。
お皿の色や形が色々あることで、変化が生まれて助けられていると思っています。

家族に同じおかずをつくって、違うお皿に盛りつけてもわが家はまったく問題がありません。

あえてひとつしか買わないお皿も多くあります。