Intel GPUのLinux向けドライバーがアップデートでパフォーマンスが100倍に、いったいなぜ?
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Intel Linux向けグラフィックスドライバーの開発者が、Arc GPU用レイトレーシングのパフォーマンスが100倍に向上するアップデートを公開しました。しかし、実はこのアップデートはあるコーディングのミスを修正したもので、これまでは本来のパフォーマンスの100分の1しか発揮できていなかっただけであることが報じられています。
Intel's Open-Source Vulkan Driver For Ray-Tracing Gets "Like A 100x Improvement" - Phoronix
Coding Mistake Made Intel GPUs 100X Slower in Ray Tracing | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/intel-gpu-100x-performance-ray-tracing
Intelは2021年8月に高性能グラフィックスブランドの「Intel Arc」を発表しました。このIntel Arcに含まれる第1世代マイクロアーキテクチャ「Alchemist」は、数十年ぶりにIntelが開発したディスクリートGPUの命令セットアーキテクチャの1つであるXe-HPGがベースになっています。
Intelが高性能グラフィックスブランド「Intel Arc」を発表、次世代以降のアーキテクチャのコードネームも明らかに - GIGAZINE
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/0/8/08586_88_d1e56b164bfd54e6796151b4826d4c75.png)
Linux関連のニュースサイトであるPhoronixによると、Intel GPUのLinux向けグラフィックスドライバーの開発者であるLionel Landwerlin氏が、オープンソースのIntel Arc Alchemistドライバーにマージされた修正を実装しました。
しかし、実はもともとドライバーのコードにたった1行の欠落があり、Vulkan Ray Tracingの作業に使用する一時メモリの割当タスクが設定できなくなっていました。そのため、Vulkan Ray TracingのデータがグラフィックスボードのVRAMではなく、より低速なシステムメモリに割り当てられてしまい、パフォーマンスが本来の100分の1程度にまで落ちてしまっていたというわけです。Landwerlin氏は「この修正は(冗談ではなく)Vulkan Ray Tracingのパフォーマンスを100倍に向上させる改善だろう」と、皮肉を交えてコメントしています。
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結果として、「ANV_BO_ALLOC_LOCAL_MEM」のフラグを設定することで、Vulkan Ray Tracingの作業にVRAMが割り当てられ、パフォーマンスが100倍に向上したとのこと。修正されたドライバーを含むMesaのバージョン22.2は数日中にブランチされる予定で、8月末までにエンドユーザーの手元に届く予定だとのこと。
ハードウェア関連のニュースサイトであるTom's Hardwareは「ハードウェアをサポートする優れたドライバーの重要性を再認識させられます。IntelのディスクリートGPUとドライバーは確かに未熟で、Arc Alchemistの期待された初期性能と実際の性能はかけはなれているかもしれません。Intelは最近の公式ベンチマークで、Arc A750をNVIDIAのGeForce RTX 3060と比較して、自社のカードが勝者であると示しました。しかし、Arc A750をGeForce RTX 3060のライバルとして出したのか、それとももっと高いところを目指していたのかは不明です」とコメントしています。