一関学院vs盛岡一

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雨にも負けず!投打かみ合ったノーシード一関学院が決勝進出

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<第104回全国高校野球選手権岩手大会:一関学院7−0盛岡一>◇23日◇準決勝◇岩手県営

 9度の甲子園出場を誇る伝統校・盛岡一と、シード校を倒し勝ち上がってきた一関学院の一戦。勢いに乗る2校が、大雨が降り続き泥だらけになったグラウンドで、ユニホームを真っ黒にしながら熱戦を演じた。

 盛岡一の先発は、ここまで4試合すべてを一人で投げ抜いてきたエース藤平 聖生(3年)。初回、一死から連続四球を与えピンチを背負うもここをしのぐと、2回以降は立ち直り抜群の制球力を披露する。疲労が溜まる中、「私学を倒すために解禁した」というフォークを含む多彩な変化球を武器に6回まで0を連ねた。

 一方の一関学院は序盤から継投策に出る。1、2回は背番号20の左腕・高澤 奏大(1年)、3、4回は背番号11の右腕・寺尾 皇汰(2年)が毎回走者を出しながらも無失点で切り抜けた。すると5回、昨夏の優勝校・盛岡大附戦で7回無失点と好投したアンダースロー右腕・小野 涼介(2年)がマウンドへ。小野涼も5、6回とピンチを背負ったが、100〜110キロ台の球で相手打者を翻弄し0に抑えた。

 雨脚が強まる中、今大会ここまで9本塁打をマークしている一関学院の強力打線が息を吹き返す。7回、主将・小松 大樹(3年)の安打から好機をつくると、敵失で先制。8回には無死二塁で4番・後藤 叶翔(3年)が犠打で走者を進め、5番・小野 唯斗(2年)が貴重な犠飛を放った。打席に入る前、高橋滋監督から「任せた」と声をかけられた小野唯。初球から思い切り振り抜き、期待に応えた。投手が代わった9回にはその小野唯が雨を切り裂く2ランを放つなど5得点を奪い、試合を決定づけた。

 小野涼は8回に約45分の中断があったもののペースを乱さず、最後まで0を連ねた。「雨でボールが滑るので、一球ずつ丁寧に投げた。ピンチでも落ち着いて投げることができた」。冷静な2年生が決勝進出に大きく貢献した。

 一関学院は2年前の県大会で優勝するも、その年は新型コロナの影響で夏の甲子園は開催されなかった。「2年前や去年のメンバーの思いも背負い、このチームで甲子園の土を踏みたい」。高橋監督は力強くそう言い放った。

 敗れた盛岡一も、公立で唯一4強入りし、伝統校らしい戦いぶりを見せた。中でも、チームを引っ張ってきたエース藤平は、この日も8回2失点と力投。試合後の取材では大粒の涙を流したが、「3年間やってきたものは出せた。最後に県営球場で終われてよかった」とやり切った表情だった。

 岩手県営野球場で行われる夏の大会は、あと決勝の1試合を残すのみ。最後にどんな歴史が刻まれるのか。2日後の岩手からも目が離せない。

(文=川浪 康太郎)