桐生第一vs関東学園大附 桐生第一、140キロ超え投手が揃う関東学園大附投手陣を攻略し、壮絶な打撃戦を制する
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<第104回全国高校野球選手権群馬大会:桐生第一15−9関東学園大附>◇23日◇準々決勝◇上毛新聞敷島
桐生第一vs関東学園大附と、ともに今年の群馬を代表する実力校同士の対決は壮絶な打撃戦になった。
1回表、桐生第一は5番三森が147キロ右腕・堀越 蒼空投手(3年)が投じた144キロの直球を逆方向へ運ぶ2ランで先制。2回表にもスクイズで1点を追加し、3対0といい形で先制したが、3回裏、関東学園大附は2死一、三塁の場面で、桐生第一はリードが大きい三塁走者を見て三塁走者を刺そうとしたが、送球が逸れて、三塁走者が生還。さらに5番早川颯真外野手(3年)の左前安打、6番須永の適時二塁打で同点に追いつく。
だが、桐生第一は4回表、エース・北村 流音投手の適時二塁打、1番宮本 亜鈴内野手(3年)の適時打で5対3と突き放す。さらに5回表には無死一、二塁からバントが悪送球となり、二者生還。さらに犠飛で8対3と点差を広げた。
だが7回裏、関東学園大附は無死一、二塁から4番吉田壮太内野手の中越え二塁打で2点を返す。
8回表、桐生第一は北村の本塁打、そして3番三塚 琉生外野手(3年)の本塁打で3点を入れて、11対5とする。しかしその裏、関東学園大附も1死一、三塁から4番吉田、5番早川、6番須永の適時打で11対8とする。それでも9回表、桐生第一は、敵失からの1点、満塁のチャンスで三塚の走者一掃の適時三塁打が飛び出し、4点を入れ、15対8と突き放す。9回裏に1点を取られるが、逃げ切りに成功し、桐生第一が3時間29分のゲームを制して、準決勝進出を決めた。
全国レベルの打線として評価が高い桐生第一。140キロ超えの投手が揃う関東学園大附を圧倒した。
4番三森が先制2ラン。今年は大型スラッガー・三塚が注目されているが、打撃技術、対応力自体は三森がNO.1である。バットを立てて構える姿は力みが全く見られない。体の使い方も素晴らしく、ゆったりとタイミングを取り、トップに入った時もグリップが体の後ろに入りすぎず、さらに立ち遅れもせず振り出すことができる。スイング軌道も無駄がなく、様々なコースに打ち返すことができている。横から見ると、打撃の教科書のような構え、スイングをしているのだ。この日は2安打を放ったが、インパクトは十分だ。
魅力は打撃だけではなく、常に投手に対して声をかけており、視野も広く、気配りができる。あとはフィジカルを強化していけば、大学でも主力打者として活躍できる雰囲気を持っている。先発全員安打を放ち、今泉監督は「選手たち全員がチームの勝利のために必死にやっている結果だと思います」と選手たちを称えた。
今年の桐生第一は、三塚と北村が注目されるが、全選手レベルが高い。打線は全国でも上位に入る。
140キロ超えの投手が多く揃う関東学園大附相手に猛追されながらも、15得点を挙げたことは、かなり自信になったはずだ。
桐生第一が誇る投打の柱が躍動 打の主役・三塚は3安打5打点、投の主役・北村は無死満塁から三者連続三振先発・北村 流音(桐生第一)今年の桐生第一の投打の主役が準々決勝で魅せた。
打の主役・三塚も8回表に豪快な本塁打を放った。打った瞬間、本塁打と確信したのか、歩いて打球の行方を見る姿が様になっている。
大会1週間前に守備の際に左足を負傷。毎日治療を行い、日々、状態を高めてきた。
「周りの方々の懸命なサポートのおかげでプレーができています」と感謝する。
「自分が引っ張る立場なのに、逆に僕が足を引っ張るプレーをしてしまい申し訳なかった」と第2打席はつまりながら左前安打を記録したが、満足いく当たりではなかった。そして8回表の第5打席は甘く入った変化球を豪快に振り抜き、本塁打とした。
「タイミングがここまでうまく取れていなかったので、まずは軸をしっかりと残すことを意識しました」
やや、振り遅れ気味だった前半の打席と比べても明らかに変わってきた。そして9回表の第6打席も変化球をしっかりとひきつけて、ライト方向へ三塁打とした。
9回表に三塁打を打った三塚(桐生第一)まだ足の状態は絶好調ではないだろう。それでも、チームの勝利のために気力を張って、プレーし続ける姿には覚悟が感じられる。自分がグラウンドに立ち、最大限のパフォーマンスを魅せなければ、甲子園の道はないと。ポテンシャルも素晴らしいが、この春から見続けて、マインドの強さが三塚の魅力だといえる。準決勝では樹徳の好投手・亀井 颯玖投手との対決が予想されるが、良い状態で迎えることができそうだ。
春、不調だったエースの北村もかなり良い内容だ。勢いよく左足を上げて、滑らかな体重移動、綺麗な旋回を見せるテークバック、鋭い腕の振り。三塁側から撮影すると、実に「美しい」と表現したくなるほど、躍動感がある。直球は常時130キロ後半〜144キロで威力抜群。ここまで群馬大会に限らず、140キロ超えの投手を見てきたが、回転数が高いのか、手元での勢いが違う。
桐生第一はラプソードを使い、北村は2300回転をマークするが、実戦でも高回転の直球を投げ込み、しっかりと圧倒できるのは素晴らしい。また、120キロ後半のスライダーは落差があり、要所で三振を奪うことができていた。リードした中山 寛明捕手は「今日は高めに浮いていて危なかったのですが、ずっと北村さんには粘ろうと言い続けてきました」と語るように後輩捕手の要求に応え、7回裏には、無死満塁から三者連続三振に奪ったあと、8回表には本塁打を放って突き放すなど、まるで野球漫画の主人公のような活躍であった。
北村は7.0回を投げ、9奪三振、7四球と四球は多かったが、最後まで攻める投球ができた。
苦しい状況でありながらも粘りを見せて、最高のパフォーマンスを発揮した桐生第一の投打の柱は、準決勝でも大暴れできるか。
(取材=河嶋 宗一)