調湿機能がある珪藻土をDIYで塗るのは難しい、と思う方は多いかもしれません。日刊住まいライターが愛用している「U-SELECT」の珪藻土塗料は、初心者でも塗りやすく、さまざまな色や質感も楽しめます。また、昔ながらの日本家屋でよく見られる砂壁に使えるのも魅力的です。使用感やDIYのポイントについてレポートします。

DIYで手軽に塗れる「U-SELECT」の珪藻土塗料

調湿機能がある自然素材として高い人気を誇る珪藻土。DIYではなかなかトライできないという方も多いと思います。

筆者もかつてDIYで珪藻土を塗ったことがありますが、水を混ぜて練り上げる手間もかかるうえ、コテで模様をつけながら塗るのがなかなか難しく、施工の大変さを実感しました。そこで、もう少し手軽にDIYできる珪藻土はないかと探していたときに出会ったのが「U-SELECT」の珪藻土塗料シリーズでした。

「U-SELECT」は本格的な左官塗りの珪藻土も発売していますが、今回紹介するのはより手軽に扱える「ペイントタイプ」です。ほぼ液状なので、コテで模様をつけたりすることはできません。しかし、ハケやローラーで簡単に塗ることができるので、DIYには最適です。

 

ペイントシリーズのカラーは全36色もあります。好みに近いものが、見つかるはずです。

 

パテ塗りしてから、やすりがけして下地を整える

すぐに塗ってみたい衝動に駆られますが、まずは下地を整える作業から始めましょう。珪藻土塗料は、合板や石こうボード、ビニールクロスなど、さまざまな素材の上に塗ることが可能です。ただし、下地処理をしっかりする必要があります。

 

まず、板やボードの継ぎ目や穴などをパテで埋める作業をします。

 

パテが乾いたあとに、やすりがけをして平らな面をつくります。ちなみに、とある現場で職人さんに聞いたところ、プロはこの作業を2〜3回はおこなってきれいな平面をつくるそうです。ただし、これがかなり地味で手間のかかる作業。DIYでは気持ちが折れそうになることも。

プロのようなきれいな平面に仕上げることにこだわらないのであれば、一度ですませてもいいかも。

プライマーをしっかり塗るのが大事

続いてプライマーやシーラーと呼ばれる下地調整材を塗ります。ここが仕上がりのよし悪しを分ける、大事なポイントです。

写真は「U-SELECT」の珪藻土専用のプライマー。これを塗ることで、下地に隠れているアクや汚れが表面に上がってくるのをガードできるのです。

 

こちらは2度塗りが基本。1度目は水で薄めたものを塗り、2度目は原液のままで塗ります。

 

面倒くさがってこの作業で手を抜いてしまうと、地の奥に隠れていたアクが浮き出てしまいました。どうやら塗り方が甘かったようです。こんな残念な仕上がりにならないように、手を抜かずしっかり塗りましょう。

 

2度目のプライマーを塗るころには、壁が白っぽくなってきます。ようやく塗装の準備が完了しました。

 

液だれしにくいのでDIYでも塗装しやすい

いよいよ珪藻土塗料の登場です。ごらんのとおり、液体でありながらもドロリとしていて粘度が高いのが特徴です。バットや容器に移して、ローラーやハケで塗りつけます。

 

塗ってみて驚くのは、たれたりはねたりすることが少なく塗りやすいこと。

 

天井のように、液だれがしやすい場所の塗装にも安心です。ふつうのペンキなら頭上から降ってくる塗料と格闘しながらの作業になるところ。でも、珪藻土塗料だと驚くほどラクに作業できます。

 

こちらは塗装後の床の様子です。茶色のペイント汚れはまばら。ローラーで天井一面を塗装したあととは思えません。体に塗料がかかることも少なく、ストレスなく作業できるのがうれしいです。

ただし、粘性がある分、凹凸のある面に塗料が入っていきづらく、塗り残しが出やすいので注意が必要です。

 

デコボコしたところには、ハケを使って塗料を押し込んでいくように塗装しなければなりません。これはひと苦労でした。

 

マットな質感で落ち着いた空間がつくれる

珪藻土ならではのマットな仕上がりも魅力です。左が塗装直後で、右が乾いた後。光沢が消えたのがわかります。落ち着いた空間をつくりたいときにはもってこいの塗料だと思います。個人的におすすめなのが、和室を砂壁や土壁風にするリフォーム。

 

そのままだと古臭さを感じさせてしまう砂壁も、プライマーを塗れば珪藻土塗料での塗装が可能になります。

 

右側が砂壁だったところですが、珪藻土塗料のおかげでシックな雰囲気に変身しました。冒頭にも書きましたが、珪藻土塗料は基本的には液状の塗料なので、塗りながら模様をつけることはできません。

 

表面にテクスチャーがほしい方は、デコボコやツブツブで質感をつける下地塗料などと組み合わせてみる方法も。

写真は「ザラザラベース」という下地塗料を塗った上に珪藻土塗料を塗った例。まっ平な壁に塗装した場合と比較すると、独特の表情が出ました。

こんなふうに工夫次第で可能性も広がります。DIYでも塗りやすく、落ち着いた色合いに仕上がる珪藻土塗料、トライしてみてはいかがでしょうか。