NHKも怯える「N国」立花孝志氏はYouTubeで年間2億円荒稼ぎ!? - 渡邉裕二
※この記事は2019年09月17日にBLOGOSで公開されたものです
「NHKから国民を守る党」(N国)の党首・立花孝志参院議員(52)が話題になっている。もっとも、ここ最近は「話題になっている」というより「物議を醸している」と言った方が適切かもしれないが…。
矛先がNHKからマツコ・デラックスに
先の参院選挙では比例代表で約99万票を獲得し見事1議席を獲得した。当初は公約もあって「NHKをぶっ壊す!」と叫んでいた立花氏だったが、そのうち矛先はタレントのマツコ・デラックス(46)に。
マツコが、TOKYO MXの看板番組「5時に夢中!」で「N国」について「何をしてくれるか判断しないと」「ただ気持ち悪い人たち」「ふざけて入れた(投票した)人も相当数いるんだろう」などと発言したことに立花氏が反発。「投票してくれた有権者をバカにした発言は許せない」と、いつの間にか「マツコ・デラックスをぶっ壊す!」と叫び始めた。
しかも、マツコやMXが「時間が解決してくれる」と事態を〝静観〟したことにも怒りをぶつけ「総額1億円の慰謝料を求め、原告1万人の集団訴訟を起こします」と〝狼煙〟を上げた。
そんな立花氏の動きに法律専門家の間からは「偽計業務妨害罪(刑法233条)や威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する」なんて声が上がっていたが、立花氏にとっては、それも「想定内」のことだったかもしれない。
「脅迫容疑」で任意事情聴取
それはそれとして立花氏の行動は、さらにエスカレートする。
「N国」から立候補して当選した東京都中央区議の二瓶文徳氏(25)への「脅迫容疑」で、警視庁月島署から任意での聴取を求められたというニュースが飛び出したのだ。
この一件、今年4月の統一地方選で中央区議に当選した二瓶氏に対して、「(有権者に)断りもなく勝手に(N国を)離党した」と立花氏の怒りが爆発。YouTubeで二瓶氏を攻撃し、最後には「二瓶をぶっ壊す!」「中央区を歩けなくしてやる」と叫んだことから、二瓶氏は「恐怖を感じた」と月島署に被害届を提出したというのだが、立花氏は内心「新たなネタになった」と思ったに違いない。
それにしても、二瓶氏が「(立花氏に)恐怖を感じた」と言えば「脅迫容疑」になるのかもしれないが、本を正せば「何も言わずに党をバックレた!」「二瓶出てこーい!」と叫びまくっていた立花氏を避け続けてきた二瓶氏にも問題がないわけではない。「N国」で区議会議員に当選した以上は、それなりの筋と責任を通すのは当然のことだろう。
その二瓶氏とは「5ヶ月間音信不通だった」そうだが、警察からの事情聴取後に対面となった。二瓶氏は「NHKの被害の悩みの電話には対応していきたい」と、「N国」での公約を果たしていくことを明言していたというのだが…。
立花氏は「国会議員によるネット上での発言を脅迫だと警察が判断した以上は、起訴しろと言い続けていく。それで有罪なら議員を辞める」と意固地になっているが、この案件、たとえ起訴されたとしても不起訴処分になることは目に見えているだけに警察も内心は「面倒な事件に関わってしまった」という気分に違いない。
衆院選への資金集めに集中 YouTubeで年間収入2億円か
それにしても、一連の立花氏の行動には呆れる声も多いが、YouTubeを使ってのネット戦略としては実に巧妙である。
「NHKの放送のスクランブル化」などを掲げ「NHKをぶっ壊す!」と叫んでいるだけで、肝心な政党としての政策は全く見えてこないのだが、立花氏にとって重要なのは、現時点では政策よりも「知名度アップ」と「資金集め」。
実際、立花氏は、自身の政治活動に関して「今は知名度を高める」とし、その狙いを「次の衆院選」と断言している。おそらく、次の衆院選では相当数の候補者を立てての当選を狙っていることは確か。そのためには「信頼度」はどうでもよく、今は「資金集め」にしか関心がないはずだ。
その手法に対しては「炎上商法」との批判もある。が、今の時代、ネットでの炎上商法は日常茶飯事である。立花氏は「〝商法〟というのだから、合法的なこと」とした上で「炎上商法を使わないのはむしろバカ」とも言い切っている。さらに「政治家というのは長期的プランに立ってやらないとだめ」とも。
総務省は、政党の要件を満たした「N国」には6900万円の政党交付金が配分されるとしている。一方、YouTubeの広告から得られる収入は年間数千万円にも及ぶというが、視聴者が増えれば当然、比例して金額も増してくる。
「あざとい炎上商法という批判もあって、さすがにメディアも立花氏の行動を報じることを控えるムキはあるんですが、立花氏の方が一枚も二枚も上手です。とにかくマツコに対しては集団訴訟を行うとか、二瓶氏とは脅迫容疑で警察から事情聴取されたと平然と嘯く。いかにもワイドショーやネットニュースが喜びそうなネタを作りまくっています。どこまでが計算ずくの行動で、狙い通りに行っているのかは分かりません。が、マツコの抗議行動のときは、MXの番組スポンサーである崎陽軒まで巻き込むなど、それこそ国会議員とは思えないような行動で波紋を広げました。その結果、YouTubeの再生回数は一気にアップしたそうで、この調子でいくと、一説には広告収入で年間2億円前後が懐に入るのではないかとも言われています」(週刊誌記者)
NHKに不満抱える局員が内部情報を流している?
そう考えると、「N国」入りした丸山穂高衆院議員が日本固有の領土「竹島」について、自身のTwitterで「戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」とツイートしたことなども、実は、何らかの思惑があっての行動のように思えてならない。
「とにかく、N国というのはネットの使い方が手馴れています。騒動にしてもダラダラ長引かせず、気づいたときには次の話題に移っている。ある意味で飽きさせない。見方によっては、2年前の女優・松居一代(62)による俳優・船越英一郎(59)に対しての〝ブログ〟と〝動画〟を使った宣戦布告にも似ています。しかも、この手法は批判も多いのですが、N国を支持する人の中は、逆に、こうした過激な行動に期待を寄せる人が多いのかもしれません」(プロダクション関係者)
何かとネット配信に注力するNHKだが、今や立花氏のYouTube攻撃に怯えているのも事実。というのも、NHKから「N国」に内部情報が流れ始めているからだ。「NHK内で不満を抱いている職員は多いですからね」(放送記者)。
いずれにしてもナメてはかかれない。特にNHKにとっては目の離せない、厄介な政党になっていく可能性は十分にある。